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九州大学 1991年 理系 第5問 解説

数学2/指数対数数学3/微分法数学3/極限テーマ/最大・最小テーマ/存在証明
九州大学 1991年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1) は関数 $g(x)$ を微分して増減を調べます。定義域が $x \ge 0$ であることに注意し、極値と $x \to \infty$ における極限、および $x$ 軸との交点を調べてグラフの概形を把握します。

(2) は $f(x)$ を微分し、$f'(x) = 0$ の解の存在とその前後での導関数の符号変化を調べます。$f'(x) = a + g(x)$ となるため、$f'(x)$ の符号変化は $y = g(x)$ のグラフと直線 $y = -a$ の上下関係の入れ替わりとして視覚的に捉えることができます。

解法1

(1)

$g(x) = e^{-x} (\cos x - \sin x)$ を $x$ について微分する。積の微分公式より、

$$\begin{aligned} g'(x) &= -e^{-x}(\cos x - \sin x) + e^{-x}(-\sin x - \cos x) \\ &= -2e^{-x}\cos x \end{aligned}$$

$x \ge 0$ において $g'(x) = 0$ となる $x$ の値は、$\cos x = 0$ より、

$$x = \frac{\pi}{2} + n\pi \quad (n = 0, 1, 2, \dots)$$

また、$g(x) = 0$ となる $x$ の値は、$\cos x - \sin x = 0$ すなわち $\tan x = 1$ より、

$$x = \frac{\pi}{4} + n\pi \quad (n = 0, 1, 2, \dots)$$

さらに、$x \to \infty$ のとき、$- \sqrt{2} \le \cos x - \sin x \le \sqrt{2}$ であり、$e^{-x} \to 0$ であるからはさみうちの原理より、

$$\lim_{x \to \infty} g(x) = 0$$

以上より、$x \ge 0$ における $g(x)$ の増減表は以下のようになる。

$x$ $0$ $\dots$ $\frac{\pi}{2}$ $\dots$ $\frac{3\pi}{2}$ $\dots$ $\frac{5\pi}{2}$ $\dots$
$g'(x)$ $-$ $0$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$g(x)$ $1$ $\searrow$ $-e^{-\frac{\pi}{2}}$ $\nearrow$ $e^{-\frac{3\pi}{2}}$ $\searrow$ $-e^{-\frac{5\pi}{2}}$ $\nearrow$

グラフの概形は、点 $(0, 1)$ を出発し、$x = \frac{\pi}{4}, \frac{5\pi}{4}, \dots$ で $x$ 軸と交わりながら、極大値と極小値を交互に取りつつ $x$ 軸($y = 0$)に漸近していく減衰振動の曲線となる。(解答用紙にはこの増減表と特徴をもとにグラフを描画する)

(2)

$f(x) = ax + e^{-x} \sin x$ を微分する。

$$\begin{aligned} f'(x) &= a - e^{-x}\sin x + e^{-x}\cos x \\ &= a + e^{-x}(\cos x - \sin x) \\ &= a + g(x) \end{aligned}$$

$f(x)$ が区間 $0 < x < 2\pi$ 内で極値として極大値のみを $1$ つだけもつための条件は、同区間内において $f'(x)$ の符号が「正から負」に変化する $x$ の値がただ $1$ つ存在し、かつ「負から正」に変化する $x$ の値が存在しないことである。

これは、関数 $y = g(x)$ のグラフが区間 $0 < x < 2\pi$ において直線 $y = -a$ と交わり、かつその交点の前後で $g(x)$ の値が $-a$ より大きい状態から小さい状態へただ $1$ 回だけ移行し、逆の移行が起こらないことと同値である。

(1) で求めた $y = g(x)$ のグラフの $0 \le x \le 2\pi$ の範囲における特徴を整理する。

ここで、$1 > e^{-\frac{3\pi}{2}} > e^{-2\pi} > 0 > -e^{-\frac{\pi}{2}}$ であることに注意して、直線 $y = -a$ の位置によって交点と符号変化を場合分けする。

(i) $-a \ge 1$ すなわち $a \le -1$ のとき 区間 $0 < x < 2\pi$ において常に $g(x) < -a$ となり、$f'(x) < 0$ であるため極値をもたない。

(ii) $e^{-\frac{3\pi}{2}} \le -a < 1$ すなわち $-1 < a \le -e^{-\frac{3\pi}{2}}$ のとき 区間 $0 < x < \frac{\pi}{2}$ で $y = g(x)$ と $y = -a$ はただ $1$ 回交わる。この交点を $x = \alpha$ とすると、$x = \alpha$ の前後で $g(x)$ は $-a$ より大きい値から小さい値へと変化する($f'(x)$ は正から負へ変化)。 さらに、$\frac{\pi}{2} \le x < 2\pi$ においては常に $g(x) \le e^{-\frac{3\pi}{2}} \le -a$ であるため、$y = g(x)$ が $y = -a$ を下から上へまたぐことはない。したがって、極大値のみを $1$ つだけもつ条件を満たす。 (なお、$-a = e^{-\frac{3\pi}{2}}$ のとき、$x = \frac{3\pi}{2}$ で $g(x) = -a$ となるが、その前後で $g(x) \le -a$ のままであり符号は変化しないため極値とならない)

(iii) $e^{-2\pi} < -a < e^{-\frac{3\pi}{2}}$ すなわち $-e^{-\frac{3\pi}{2}} < a < -e^{-2\pi}$ のとき 区間 $0 < x < \frac{\pi}{2}$ に加え、区間 $\frac{\pi}{2} < x < \frac{3\pi}{2}$ および $\frac{3\pi}{2} < x < 2\pi$ でも $1$ 回ずつ交わる。これにより極小値ももつことになり不適。

(iv) $-e^{-\frac{\pi}{2}} < -a \le e^{-2\pi}$ すなわち $-e^{-2\pi} \le a < e^{-\frac{\pi}{2}}$ のとき 区間 $0 < x < \frac{\pi}{2}$ と区間 $\frac{\pi}{2} < x < \frac{3\pi}{2}$ で $1$ 回ずつ交わる。極大値と極小値を $1$ つずつもつため不適。

(v) $-a \le -e^{-\frac{\pi}{2}}$ すなわち $a \ge e^{-\frac{\pi}{2}}$ のとき 区間 $0 < x < 2\pi$ において常に $g(x) \ge -a$ となり(等号は $x = \frac{\pi}{2}$ でのみ成立)、$f'(x)$ の符号は負にならないため極値をもたない。

以上より、求める $a$ の範囲は (ii) の場合である。

解説

(1) は減衰振動する関数の典型的なグラフ描画問題です。微分計算を正確に行い、極大値・極小値を与える $x$ とその値、さらに $x$ 軸との交点や無限遠での振る舞いを調べることがポイントです。

(2) は方程式・不等式への応用問題です。「極値をもつ」という条件を「導関数の符号が変化する」と言い換え、それをグラフの上下関係の入れ替わりとして視覚化する手法が非常に有効です。極大値と極小値の対応関係を間違えないよう、グラフを動かして丁寧に交点の数とまたぎ方を検証する必要があります。

答え

(1) 省略(本文中の増減表と概形の説明を参照) (2) $-1 < a \le -e^{-\frac{3\pi}{2}}$

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