北海道大学 2002年 理系 第5問 解説

方針・初手
直線 $l$ の方向ベクトルを求め、点 $P$ を媒介変数 $t$ を用いて表します。 線分 $PQ$ が直線 $l$ および線分 $RQ$ に垂直であるという条件を、内積を用いて立式します。 点 $Q$ は球面 $C$ 上にあることと垂直条件を組み合わせ、点 $Q$ が存在するための $t$ の条件を求めます。 幾何的な図形の性質に着目すると計算量を減らすことができますが、成分計算で代数的に押し切ることも可能です。
解法1
直線 $l$ は $2$ 点 $A(1, 0, 0), B(0, 2, 0)$ を通るから、その方向ベクトルを $\vec{d}$ とすると、
$$ \vec{d} = \vec{AB} = (-1, 2, 0) $$
である。点 $P$ は直線 $l$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて $\vec{OP} = \vec{OA} + t\vec{d} = (1-t, 2t, 0)$ と表せる。すなわち $P(1-t, 2t, 0)$ である。
線分 $PQ$ は直線 $l$ と垂直であるから、$\vec{PQ} \cdot \vec{d} = 0$ が成り立つ。 これは、点 $Q$ が、点 $P$ を通り法線ベクトルが $\vec{d}$ である平面 $\alpha$ 上にあることを意味する。 平面 $\alpha$ の方程式は、
$$ -1 \{ x - (1-t) \} + 2 (y - 2t) = 0 $$
$$ x - 2y = 1 - 5t $$
となる。 球面 $C$ は中心 $R(0, 0, 2)$、半径 $1$ である。 中心 $R$ から平面 $\alpha$ に下ろした垂線の足を $H$ とすると、線分 $RH$ の長さ $h$ は点と平面の距離の公式より、
$$ h = \frac{|0 - 2 \cdot 0 - (1 - 5t)|}{\sqrt{(-1)^2 + (-2)^2 + 0^2}} = \frac{|5t - 1|}{\sqrt{5}} $$
点 $Q$ は平面 $\alpha$ 上にあり、かつ球面 $C$ 上にある。したがって、平面 $\alpha$ と球面 $C$ が共有点を持つことが必要であり、その条件は $h \le 1$ である。 このとき、平面 $\alpha$ が球面 $C$ から切り取る図形は、中心 $H$、半径 $r = \sqrt{1 - h^2}$ の円 $K$(または $1$ 点)となり、点 $Q$ はこの円 $K$ 上に存在する。
さらに、線分 $PQ$ は線分 $RQ$ と垂直であるから、$\vec{PQ} \cdot \vec{RQ} = 0$ が成り立つ。 ここで $\vec{RQ} = \vec{RH} + \vec{HQ}$ であり、$\vec{RH}$ は平面 $\alpha$ の法線ベクトル、$\vec{PQ}$ は平面 $\alpha$ 上のベクトルであるから、$\vec{PQ} \cdot \vec{RH} = 0$ である。よって、
$$ \vec{PQ} \cdot \vec{RQ} = \vec{PQ} \cdot (\vec{RH} + \vec{HQ}) = \vec{PQ} \cdot \vec{HQ} = 0 $$
平面 $\alpha$ 上において、$\vec{PQ} \cdot \vec{HQ} = 0$ は $\angle PQH = 90^\circ$ を意味する。 すなわち、点 $Q$ は、点 $P$ から円 $K$ に引いた接線の接点である。 このような接点 $Q$ が存在するための条件は、点 $P$ が円 $K$ の周上または外部にあること、すなわち $PH \ge r$ である。 両辺を $2$ 乗すると、
$$ PH^2 \ge r^2 = 1 - h^2 $$
$\triangle PRH$ は $\angle PHR = 90^\circ$ の直角三角形であるから、三平方の定理より $PH^2 = PR^2 - h^2$ が成り立つ。これを代入すると、
$$ PR^2 - h^2 \ge 1 - h^2 $$
$$ PR^2 \ge 1 $$
ここで、$P(1-t, 2t, 0), R(0,0,2)$ より、
$$ PR^2 = (1-t)^2 + (2t)^2 + (-2)^2 = 5t^2 - 2t + 5 = 5 \left( t - \frac{1}{5} \right)^2 + \frac{24}{5} $$
となるため、すべての実数 $t$ について $PR^2 \ge \frac{24}{5} > 1$ を満たす。 したがって、点 $Q$ が存在するための条件は $h \le 1$ のみとなる。
$$ \frac{|5t - 1|}{\sqrt{5}} \le 1 $$
両辺を正の数とみて $2$ 乗すると、
$$ (5t - 1)^2 \le 5 $$
$$ 25t^2 - 10t - 4 \le 0 $$
これを解いて、
$$ \frac{1 - \sqrt{5}}{5} \le t \le \frac{1 + \sqrt{5}}{5} $$
点 $P$ の座標は $x = 1 - t, y = 2t, z = 0$ である。 $t = \frac{1 - \sqrt{5}}{5}$ のとき、$x = \frac{4 + \sqrt{5}}{5}, y = \frac{2 - 2\sqrt{5}}{5}$。 $t = \frac{1 + \sqrt{5}}{5}$ のとき、$x = \frac{4 - \sqrt{5}}{5}, y = \frac{2 + 2\sqrt{5}}{5}$。 点 $P$ の軌跡は直線 $l$ の一部であるから、求める範囲はこの $2$ 点を結ぶ線分である。
解法2
点 $P(1-t, 2t, 0)$ とし、点 $Q$ の座標を $(x, y, z)$ とする。 点 $Q$ は球面 $C$ 上にあるから、
$$ x^2 + y^2 + (z-2)^2 = 1 \quad \cdots \text{①} $$
$\vec{d} = (-1, 2, 0)$ であり、$\vec{PQ} \perp \vec{d}$ より $\vec{PQ} \cdot \vec{d} = 0$ となるので、
$$ -1 \{ x - (1-t) \} + 2 (y - 2t) = 0 $$
$$ x - 2y = 1 - 5t \quad \cdots \text{②} $$
また、$\vec{PQ} \perp \vec{RQ}$ より $\vec{PQ} \cdot \vec{RQ} = 0$ となる。 $\vec{PQ} = (x - 1 + t, y - 2t, z)$、$\vec{RQ} = (x, y, z - 2)$ であるから、
$$ x(x - 1 + t) + y(y - 2t) + z(z - 2) = 0 \quad \cdots \text{③} $$
①より $x^2 + y^2 + z^2 - 4z + 3 = 0$。 ③より $x^2 + y^2 + z^2 - (1-t)x - 2ty - 2z = 0$。 これらの辺々を引いて整理すると、
$$ (1-t)x + 2ty - 2z + 3 = 0 \quad \cdots \text{④} $$
②より $x = 2y - 5t + 1$。これを④に代入すると、
$$ (1-t)(2y - 5t + 1) + 2ty - 2z + 3 = 0 $$
$$ z = y + \frac{5t^2 - 6t + 4}{2} $$
$x, z$ を $y$ の式として①に代入すると、
$$ (2y - 5t + 1)^2 + y^2 + \left( y + \frac{5t^2 - 6t}{2} \right)^2 = 1 $$
展開して $y$ について整理すると、次の方程式を得る。
$$ 24y^2 + 4(5t^2 - 26t + 4)y + 25t^4 - 60t^3 + 136t^2 - 40t = 0 $$
点 $Q$ が存在するためには、この $y$ についての $2$ 次方程式が実数解を持てばよい。 判別式を $D$ とすると、$\frac{D}{4} \ge 0$ より、
$$ 4(5t^2 - 26t + 4)^2 - 24(25t^4 - 60t^3 + 136t^2 - 40t) \ge 0 $$
展開して整理すると、
$$ -500t^4 + 400t^3 - 400t^2 + 128t + 64 \ge 0 $$
$$ 125t^4 - 100t^3 + 100t^2 - 32t - 16 \le 0 $$
$5t = u$ とおくと、
$$ u^4 - 4u^3 + 20u^2 - 32u - 80 \le 0 $$
$$ (u^2 - 2u)^2 + 16(u^2 - 2u) - 80 \le 0 $$
$$ (u^2 - 2u + 20)(u^2 - 2u - 4) \le 0 $$
全ての実数 $u$ について $u^2 - 2u + 20 = (u - 1)^2 + 19 > 0$ であるから、
$$ u^2 - 2u - 4 \le 0 $$
$$ 1 - \sqrt{5} \le u \le 1 + \sqrt{5} $$
$u = 5t$ より、
$$ \frac{1 - \sqrt{5}}{5} \le t \le \frac{1 + \sqrt{5}}{5} $$
これを満たす点 $P(1-t, 2t, 0)$ の軌跡が求める範囲である(端点の座標は解法1に同じ)。
解説
(1) では、複数の条件を座標成分で直接立式する代数的なアプローチ(解法2)と、図形的意味を読み解く幾何的なアプローチ(解法1)が考えられます。解法2は立式が機械的で済みますが、終盤の多項式の処理と因数分解に工夫が求められます。解法1のように空間図形の断面をイメージできると、計算量が大幅に軽減されます。
(2) では、$\triangle PQR$ が直角三角形であることを利用します。線分の長さを点と点の距離の公式だけで処理しようとすると式が複雑になりますが、図形の関係性に気づけば二次関数の最小値問題に帰着します。
答え
(1) $2$ 点 $\left( \frac{4 + \sqrt{5}}{5}, \frac{2 - 2\sqrt{5}}{5}, 0 \right)$ と $\left( \frac{4 - \sqrt{5}}{5}, \frac{2 + 2\sqrt{5}}{5}, 0 \right)$ を結ぶ線分。
(2) $\triangle PQR$ において $\angle PQR = 90^\circ$ であるから、三平方の定理より、
$$ PQ^2 + RQ^2 = PR^2 $$
$RQ = 1$ より $PQ^2 = PR^2 - 1$ となるため、$PQ$ の長さが最小になるのは、$PR^2$ が最小になるときである。 $PR^2$ は (1) の過程より、
$$ PR^2 = 5 \left( t - \frac{1}{5} \right)^2 + \frac{24}{5} $$
$PQ$ が最小となるのは $t = \frac{1}{5}$ のときである。 この値は (1) で求めた $t$ の範囲に含まれる。 このとき、点 $P$ の座標は $x = 1 - \frac{1}{5} = \frac{4}{5}, y = 2 \cdot \frac{1}{5} = \frac{2}{5}, z = 0$ である。 よって求める点 $P$ の座標は、
$$ \left( \frac{4}{5}, \frac{2}{5}, 0 \right) $$
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