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北海道大学 2003年 理系 第2問 解説

数学C/複素数平面テーマ/軌跡・領域
北海道大学 2003年 理系 第2問 解説

方針・初手

(1) では、与えられた複素数の式が実数となるための条件を求める。複素数 $\alpha$ が実数である条件は $\alpha = \bar{\alpha}$ であること、または $\alpha = x + yi$ ($x, y$ は実数)とおいて虚部が $0$ になることを利用する。このとき、式の分母が $0$ にならない条件(除外点)をあらかじめ明確にしておく。

(2) では、$w = \frac{z+i}{z-i}$ を $z$ について解き、$z = f(w)$ の形に変形する。これを (1) で求めた $z$ の満たす条件式に代入し、$w$ が満たすべき図形の方程式を導く。ここでも除外点がどのように変換されるかに注意して軌跡を求める。

解法1

(1)

与えられた複素数を $A = \frac{1}{z+i} + \frac{1}{z-i}$ とおく。 分母が $0$ にならないための条件から、

$$ z \neq i \quad \text{かつ} \quad z \neq -i $$

である。与式を通分して整理すると、

$$ A = \frac{(z-i) + (z+i)}{(z+i)(z-i)} = \frac{2z}{z^2 - i^2} = \frac{2z}{z^2 + 1} $$

$A$ が実数であるための必要十分条件は $A = \bar{A}$ であるから、

$$ \frac{2z}{z^2+1} = \frac{2\bar{z}}{\bar{z}^2+1} $$

両辺の分母を払って整理する。

$$ z(\bar{z}^2+1) = \bar{z}(z^2+1) $$

$$ z\bar{z}^2 + z - \bar{z}z^2 - \bar{z} = 0 $$

$$ z\bar{z}(\bar{z}-z) - (\bar{z}-z) = 0 $$

$$ (z\bar{z}-1)(\bar{z}-z) = 0 $$

$z\bar{z} = |z|^2$ であるから、

$$ (|z|^2-1)(\bar{z}-z) = 0 $$

したがって、次が成り立つ。

$$ |z|^2 = 1 \quad \text{または} \quad \bar{z} = z $$

すなわち、

$$ |z| = 1 \quad \text{または} \quad z \text{ は実数} $$

$z$ が実数のとき、条件 $z \neq \pm i$ は常に満たされる。 $|z|=1$ のとき、条件 $z \neq \pm i$ により、点 $i$ と $-i$ は除かれる。

よって、点 $z$ 全体の描く図形 $P$ は、 「実軸全体」および「原点を中心とする半径 $1$ の円(ただし、点 $i, -i$ を除く)」 を図示したものとなる。

(2)

与えられた関係式は以下の通りである。

$$ w = \frac{z+i}{z-i} $$

これを $z$ について解くために変形する。

$$ w(z-i) = z+i $$

$$ (w-1)z = i(w+1) $$

ここで $w=1$ とすると、$0 = 2i$ となり矛盾するため、$w \neq 1$ である。 両辺を $w-1$ で割ると、次を得る。

$$ z = i \frac{w+1}{w-1} $$

(1) より、$z$ は図形 $P$ 上にあるので、「$z$ が実数」または「$|z|=1 \ (z \neq \pm i)$」を満たす。それぞれの場合について $w$ の軌跡を調べる。

(i) $z$ が実数の場合

条件は $z = \bar{z}$ であるから、代入すると

$$ i \frac{w+1}{w-1} = \overline{\left( i \frac{w+1}{w-1} \right)} $$

$$ i \frac{w+1}{w-1} = -i \frac{\bar{w}+1}{\bar{w}-1} $$

両辺を $i$ で割り、分母を払うと、

$$ (w+1)(\bar{w}-1) = -(w-1)(\bar{w}+1) $$

展開して整理する。

$$ w\bar{w} - w + \bar{w} - 1 = -(w\bar{w} + w - \bar{w} - 1) $$

$$ 2w\bar{w} - 2 = 0 $$

$$ |w|^2 = 1 \quad \implies \quad |w| = 1 $$

$w \neq 1$ を考慮すると、$w$ の軌跡は原点を中心とする半径 $1$ の円(ただし、点 $1$ を除く)となる。

(ii) $|z|=1 \ (z \neq \pm i)$ の場合

条件 $|z|=1$ に代入すると、

$$ \left| i \frac{w+1}{w-1} \right| = 1 $$

$|i| = 1$ であるから、

$$ \frac{|w+1|}{|w-1|} = 1 $$

$$ |w+1| = |w-1| $$

これは、点 $-1$ と点 $1$ からの距離が等しい点の軌跡、すなわち虚軸(実部が $0$ の直線)を表す。 ここで、除外点の対応を考える。 $z \neq i$ は $w \neq 1$ に対応するが、虚軸上の点はすべて $w \neq 1$ を満たしている。 また、$z = -i$ を $w = \frac{z+i}{z-i}$ に代入すると $w = 0$ となる。図形 $P$ では $z = -i$ が除外されているため、$w \neq 0$ となる。

よって、$w$ の軌跡は虚軸(ただし、原点を除く)となる。

以上 (i), (ii) より、$w$ の描く図形は、 「原点を中心とする半径 $1$ の円(ただし、点 $1$ を除く)」 および「虚軸(ただし、原点を除く)」 を図示したものとなる。

解法2

(1) について、$z = x + yi$ とおいて計算する別解を示す。

(1)

$z = x+yi$ ($x, y$ は実数)とおく。 分母が $0$ にならない条件から、$z \neq \pm i$ すなわち $(x, y) \neq (0, \pm 1)$ である。 与式を $A$ とおくと、

$$ A = \frac{2z}{z^2+1} = \frac{2(x+yi)}{(x+yi)^2+1} = \frac{2x+2yi}{x^2-y^2+1+2xyi} $$

分母の実数化を行うために、分母・分子に $(x^2-y^2+1) - 2xyi$ を掛ける。

$$ A = \frac{(2x+2yi) \{(x^2-y^2+1) - 2xyi\}}{(x^2-y^2+1)^2 + (2xy)^2} $$

$A$ が実数となる条件は、$A$ の虚部が $0$ になることであるから、分子の虚部に着目する。 分子の虚部は、

$$ 2y(x^2-y^2+1) - 2x(2xy) = 2y(x^2-y^2+1-2x^2) = 2y(1-x^2-y^2) $$

よって、虚部が $0$ となる条件は、

$$ y(x^2+y^2-1) = 0 $$

したがって、次が成り立つ。

$$ y=0 \quad \text{または} \quad x^2+y^2=1 $$

$y=0$ のとき、$(x, y) \neq (0, \pm 1)$ は常に満たされる。これは実軸全体を表す。 $x^2+y^2=1$ のとき、$(x, y) \neq (0, \pm 1)$ より点 $(0, 1)$ と $(0, -1)$ を除く。これは原点中心、半径 $1$ の円で、点 $\pm i$ に対応する上下の端点を除いた図形を表す。

以上から、図形 $P$ は「実軸全体」および「原点を中心とする半径 $1$ の円(ただし、点 $\pm i$ を除く)」となる。

解説

複素数平面における軌跡を求める典型問題である。 (1) では、複素数が実数である条件を処理する。$z=x+yi$ とおいて実部・虚部に分ける方法(解法2)と、$\alpha = \bar{\alpha}$ を用いる方法(解法1)の2通りがある。分数の形をしている式に対しては、解法1の共役複素数を用いた処理の方が計算が簡略化されやすく、計算ミスのリスクを減らすことができる。また、分母が $0$ にならない条件(除外点)を最初に確認しておくことが極めて重要である。

(2) では、$w = f(z)$ の形から $z = g(w)$ と逆算し、(1) で得た条件に代入する。これは軌跡を求める際の定石である。(1) で場合分けされた2つの図形それぞれに対して $w$ の軌跡を計算し、最後に除外点の対応関係を丁寧に調べることが完答の鍵となる。

答え

(1) 点 $z$ 全体の描く図形 $P$ は、実軸全体、および原点を中心とする半径 $1$ の円(ただし、点 $i$ と $-i$ を除く)。

(2) 点 $w$ の描く図形は、原点を中心とする半径 $1$ の円(ただし、点 $1$ を除く)、および虚軸(ただし、原点を除く)。

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