北海道大学 2005年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) まずは漸化式を用いて $a_2$ の値を求める。その後、複素数平面上の3点 $0, a_1, a_2$ の座標から、これらを通る円の中心と半径を決定し、円の方程式を求める。 (2) (1)で求めた円の方程式を $|z-c|=r$ の形で表し、すべての自然数 $n$ について $|a_n - c|=r$ が成り立つことを数学的帰納法で示す。あるいは、漸化式が表す写像の性質を利用して示す。
解法1
(1) 与えられた漸化式より、$a_2$ を求める。
$$ a_2 = \frac{a_1}{2a_1 - 3} = \frac{1+i}{2(1+i) - 3} = \frac{1+i}{-1+2i} $$
分母を実数化する。
$$ a_2 = \frac{(1+i)(-1-2i)}{(-1+2i)(-1-2i)} = \frac{-1-2i-i-2i^2}{1^2+2^2} = \frac{-1-3i+2}{5} = \frac{1}{5} - \frac{3}{5}i $$
複素数平面上で $z=x+yi$ ($x,y$ は実数) とおくと、原点 $0$ を通る円の方程式は $x^2+y^2+lx+my=0$ ($l,m$ は実数) と表せる。 $a_1 = 1+i$ は点 $(1, 1)$ に対応するので、代入すると、
$$ 1^2 + 1^2 + l + m = 0 \iff l + m = -2 $$
$a_2 = \frac{1}{5} - \frac{3}{5}i$ は点 $\left(\frac{1}{5}, -\frac{3}{5}\right)$ に対応するので、代入すると、
$$ \left(\frac{1}{5}\right)^2 + \left(-\frac{3}{5}\right)^2 + \frac{1}{5}l - \frac{3}{5}m = 0 $$
整理すると、
$$ \frac{10}{25} + \frac{l - 3m}{5} = 0 \iff \frac{2}{5} + \frac{l - 3m}{5} = 0 \iff l - 3m = -2 $$
2つの式を連立する。
$$ \begin{cases} l + m = -2 \\ l - 3m = -2 \end{cases} $$
これを解くと、$m = 0, l = -2$ となる。 したがって、円の方程式は $x^2+y^2-2x=0$ である。 これを変形すると $(x-1)^2+y^2=1$ となり、中心が実軸上の点 $1$、半径が $1$ の円であることがわかる。 複素数 $z$ を用いて表すと、求める円の方程式は、
$$ |z - 1| = 1 $$
である。
(2) すべての自然数 $n$ について、「$a_n$ は (1) の円上にある」すなわち $|a_n - 1| = 1$ であることを、数学的帰納法を用いて示す。
(I) $n=1$ のとき $a_1 = 1+i$ より、
$$ |a_1 - 1| = |(1+i) - 1| = |i| = 1 $$
よって、$n=1$ のとき成り立つ。
(II) $n=k$ ($k$ は自然数) のとき成り立つと仮定する。すなわち、
$$ |a_k - 1| = 1 $$
が成り立つとする。両辺を2乗すると、
$$ (a_k - 1)(\overline{a_k} - 1) = 1 \iff a_k \overline{a_k} - a_k - \overline{a_k} + 1 = 1 \iff a_k \overline{a_k} = a_k + \overline{a_k} $$
このとき、$n=k+1$ について考えると、
$$ a_{k+1} - 1 = \frac{a_k}{2a_k - 3} - 1 = \frac{a_k - (2a_k - 3)}{2a_k - 3} = \frac{3 - a_k}{2a_k - 3} $$
ここで、$|a_{k+1} - 1|^2$ の分子と分母の絶対値の2乗をそれぞれ計算する。 分子について、
$$ |3 - a_k|^2 = (3 - a_k)(3 - \overline{a_k}) = 9 - 3(a_k + \overline{a_k}) + a_k \overline{a_k} $$
帰納法の仮定から得られた $a_k \overline{a_k} = a_k + \overline{a_k}$ を代入して、
$$ |3 - a_k|^2 = 9 - 3a_k \overline{a_k} + a_k \overline{a_k} = 9 - 2a_k \overline{a_k} $$
分母について、
$$ |2a_k - 3|^2 = (2a_k - 3)(2\overline{a_k} - 3) = 4a_k \overline{a_k} - 6(a_k + \overline{a_k}) + 9 $$
同様に $a_k \overline{a_k} = a_k + \overline{a_k}$ を代入して、
$$ |2a_k - 3|^2 = 4a_k \overline{a_k} - 6a_k \overline{a_k} + 9 = 9 - 2a_k \overline{a_k} $$
したがって、
$$ |a_{k+1} - 1|^2 = \frac{|3 - a_k|^2}{|2a_k - 3|^2} = \frac{9 - 2a_k \overline{a_k}}{9 - 2a_k \overline{a_k}} = 1 $$
(ただし、$2a_k - 3 = 0$ とすると $a_k = \frac{3}{2}$ となり、$|a_k - 1| = \left| \frac{3}{2} - 1 \right| = \frac{1}{2} \neq 1$ であるため、仮定 $|a_k - 1| = 1$ に反する。よって分母は $0$ ではない。) $|a_{k+1} - 1|^2 = 1$ より $|a_{k+1} - 1| = 1$ となり、$n=k+1$ のときも成り立つ。
(I), (II) より、すべての自然数 $n$ について $a_n$ は円 $|z - 1| = 1$ 上にあることが示された。
解法2
(2)の別解(写像の性質を利用する)
(1)で求めた円 $|z-1|=1$ の方程式を両辺2乗して展開すると、$z\overline{z} - z - \overline{z} = 0$ と表される。 漸化式 $z_{n+1} = \frac{z_n}{2z_n - 3}$ が表す変換を $w = \frac{z}{2z - 3}$ とおく。 これを $z$ について解く。
$$ w(2z - 3) = z \iff 2wz - 3w = z \iff z(2w - 1) = 3w $$
$w = \frac{1}{2}$ とすると $0 = \frac{3}{2}$ となり不適なので $w \neq \frac{1}{2}$ である。よって、
$$ z = \frac{3w}{2w - 1} $$
点 $z$ が円 $z\overline{z} - z - \overline{z} = 0$ 上を動くとき、この式を代入して変換先の $w$ の軌跡を調べる。
$$ \left( \frac{3w}{2w - 1} \right) \overline{\left( \frac{3w}{2w - 1} \right)} - \frac{3w}{2w - 1} - \overline{\left( \frac{3w}{2w - 1} \right)} = 0 $$
分母を払うために、両辺に $|2w - 1|^2 = (2w - 1)(2\overline{w} - 1)$ を掛ける。
$$ 9w\overline{w} - 3w(2\overline{w} - 1) - 3\overline{w}(2w - 1) = 0 $$
展開して整理する。
$$ 9w\overline{w} - 6w\overline{w} + 3w - 6w\overline{w} + 3\overline{w} = 0 $$
$$ -3w\overline{w} + 3w + 3\overline{w} = 0 $$
両辺を $-3$ で割ると、
$$ w\overline{w} - w - \overline{w} = 0 $$
これを変形すると $(w-1)(\overline{w}-1) = 1$ すなわち $|w - 1| = 1$ となり、変換 $w = \frac{z}{2z - 3}$ は円 $|z - 1| = 1$ を自分自身に移す写像であることがわかる。 $a_1 = 1+i$ は $|1+i - 1| = |i| = 1$ よりこの円上にある。 したがって、漸化式によって順次定まるすべての $a_n$ は、この円上に存在し続けることが示された。
解説
(1) では、具体的な点を3つ代入することで円の方程式を導くのが平易な手法である。一般の円の方程式を $x, y$ の実数係数で設定し、得られた中心と半径を複素数の形 $|z-c|=r$ に翻訳すればよい。 (2) は、(1) で得た円の方程式を仮定として帰納法を回す解法1が標準的である。式の絶対値の2乗を計算する際、$a_k \overline{a_k} = a_k + \overline{a_k}$ の関係を用いると分母分子が一致することが見えやすい。 また、解法2のように一次分数変換(メビウス変換)の逆変換を利用して、軌跡の方程式に直接代入する手法は、複素数平面における写像問題の典型的なアプローチであり、計算が見通しよく進む。
答え
(1) $|z - 1| = 1$
(2) すべての自然数 $n$ について $|a_n - 1| = 1$ が成り立つことが示され、すべての $a_n$ が(1)の円上にあることが証明された。
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