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北海道大学 2008年 理系 第5問 解説

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北海道大学 2008年 理系 第5問 解説

方針・初手

定積分 $\int_{0}^{1} \dots dt$ は定数になるという、積分方程式の定石を用いる。被積分関数に含まれる $x$ を積分の外に出し、残りの定積分部分を文字で置くことで、関数を決定していく。

解法1

(1)

与えられた等式は、次のように変形できる。

$$ f(x) = e^x \int_{0}^{1} e^t f(t) dt $$

ここで、積分 $\int_{0}^{1} e^t f(t) dt$ は $x$ に無関係な定数であるから、これを $k$ とおく。

$$ k = \int_{0}^{1} e^t f(t) dt $$

すると、$f(x)$ は次のように表される。

$$ f(x) = k e^x $$

これを $k$ の定義式に代入する。

$$ \begin{aligned} k &= \int_{0}^{1} e^t (k e^t) dt \\ &= k \int_{0}^{1} e^{2t} dt \\ &= k \left[ \frac{1}{2} e^{2t} \right]_{0}^{1} \\ &= k \cdot \frac{e^2 - 1}{2} \end{aligned} $$

整理すると、

$$ k \left( 1 - \frac{e^2 - 1}{2} \right) = 0 $$

$$ k \left( \frac{3 - e^2}{2} \right) = 0 $$

ここで自然対数の底 $e$ は $e > 2$ であるから、$e^2 > 4$ となり $e^2 \neq 3$ である。よって $\frac{3 - e^2}{2} \neq 0$ となる。

したがって、

$$ k = 0 $$

これを $f(x) = k e^x$ に代入すると、$f(x) = 0$ となる。 以上より、条件を満たす $f(x)$ は定数関数 $f(x) = 0$ のみであることが示された。

(2)

(1) と同様に、与えられた等式を変形する。

$$ g(x) = e^x \int_{0}^{1} e^t g(t) dt + x $$

ここで、積分 $\int_{0}^{1} e^t g(t) dt$ を定数 $C$ とおく。

$$ C = \int_{0}^{1} e^t g(t) dt $$

すると、$g(x)$ は次のように表される。

$$ g(x) = C e^x + x $$

これを $C$ の定義式に代入する。

$$ \begin{aligned} C &= \int_{0}^{1} e^t (C e^t + t) dt \\ &= \int_{0}^{1} (C e^{2t} + t e^t) dt \\ &= C \int_{0}^{1} e^{2t} dt + \int_{0}^{1} t e^t dt \end{aligned} $$

右辺の2つの定積分をそれぞれ計算する。

$$ \int_{0}^{1} e^{2t} dt = \left[ \frac{1}{2} e^{2t} \right]_{0}^{1} = \frac{e^2 - 1}{2} $$

$$ \begin{aligned} \int_{0}^{1} t e^t dt &= \left[ t e^t \right]_{0}^{1} - \int_{0}^{1} 1 \cdot e^t dt \\ &= e - \left[ e^t \right]_{0}^{1} \\ &= e - (e - 1) \\ &= 1 \end{aligned} $$

これらを $C$ の式に代入すると、

$$ C = C \cdot \frac{e^2 - 1}{2} + 1 $$

整理して $C$ について解く。

$$ C \left( 1 - \frac{e^2 - 1}{2} \right) = 1 $$

$$ C \left( \frac{3 - e^2}{2} \right) = 1 $$

$e^2 \neq 3$ であるから両辺を $\frac{3 - e^2}{2}$ で割ることができ、

$$ C = \frac{2}{3 - e^2} $$

これを $g(x) = C e^x + x$ に代入して、求める関数 $g(x)$ を得る。

$$ g(x) = \frac{2}{3 - e^2} e^x + x $$

解説

積分区間が定数から定数となっている定積分を含む方程式の典型問題である。被積分関数に変数 $x$ と積分変数 $t$ が混在している場合は、まず $x$ を積分の外にくくり出し、「定積分=定数」と置いて関数を決定するという定石の手順を確実に踏むことが重要となる。 (1) では未知定数 $k$ についての一次方程式 $k \cdot A = 0$ が導かれ、$A \neq 0$ を確認することで $k=0$ を導く。(2) では部分積分を含む基本的な積分計算を正確に実行する計算力が問われている。

答え

(1)

$f(x)=0$ を満たす $f(x)$ は定数関数 $f(x)=0$ のみ

(2)

$$ g(x) = \frac{2}{3 - e^2} e^x + x $$

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