京都大学 1976年 文系 第4問 解説

方針・初手
動点を $(X, Y)$ とおき、$X, Y$ を $x$ と $a$ で表す。(i) では媒介変数である $x$ を消去して $X$ と $Y$ の関係式を導く。その際、$x$ の係数が $0$ になるかどうかで場合分けを行う。(ii) では (i) で求めた直線 $l$ の傾きと $a$ が等しいという方程式を立て、得られた2次方程式の実数解の個数を調べる。なす角については、正接の加法定理($\tan$ のなす角の公式)を利用する。
解法1
(i)
点 $(x, y)$ は直線 $y = ax$ 上にあるので、$y = ax$ が成り立つ。 点 $(2x - y, x - 2y)$ の座標を $(X, Y)$ とおくと、
$$ \begin{aligned} X &= 2x - ax = (2 - a)x \\ Y &= x - 2ax = (1 - 2a)x \end{aligned} $$
となる。$x$ が任意の実数をとって動くときの点 $(X, Y)$ の軌跡を考える。
(ア)
$2 - a \neq 0$ すなわち $a \neq 2$ のとき
$X = (2 - a)x$ より $x = \frac{X}{2 - a}$ となる。 これを $Y$ の式に代入して、
$$ Y = \frac{1 - 2a}{2 - a}X $$
$x$ が任意の実数をとるとき $X$ も任意の実数をとるので、これは原点を通る傾き $\frac{1 - 2a}{2 - a}$ の直線である。
(イ)
$2 - a = 0$ すなわち $a = 2$ のとき
$X = 0 \cdot x = 0$、 $Y = (1 - 4)x = -3x$ となる。 $x$ が任意の実数をとるとき $Y$ は任意の実数をとるので、点 $(X, Y)$ の軌跡は $y$ 軸(直線 $X = 0$)であり、これも原点を通る直線である。
(ア)、(イ) より、点 $(2x - y, x - 2y)$ は原点を通る1つの直線 $l$ の上を動く。(証明終)
(ii)
(i) の結果より、点 $(x, y)$ が描く直線 $l$ の方程式は以下のようになる。
$a \neq 2$ のとき、 $y = \frac{1 - 2a}{2 - a}x$ $a = 2$ のとき、 $x = 0$
直線 $y = ax$ と直線 $l$ が一致する条件を考える。 $a = 2$ のとき、$y = 2x$ と $x = 0$ は一致しないため不適である。 よって $a \neq 2$ であり、2直線が一致する条件は傾きが等しいことである。
$$ a = \frac{1 - 2a}{2 - a} $$
分母を払って整理すると、
$$ \begin{aligned} a(2 - a) &= 1 - 2a \\ 2a - a^2 &= 1 - 2a \\ a^2 - 4a + 1 &= 0 \end{aligned} $$
この $a$ についての2次方程式の判別式を $D$ とすると、
$$ \frac{D}{4} = (-2)^2 - 1 \cdot 1 = 3 > 0 $$
となる。したがって、この2次方程式は異なる2つの実数解をもつため、条件を満たす $a$ の値は2つある。(証明終)
その2つの解を $a_1, a_2$ とすると、2次方程式の解の公式より $a = 2 \pm \sqrt{3}$ であるから、
$$ a_1 = 2 - \sqrt{3}, \quad a_2 = 2 + \sqrt{3} $$
とする(順不同)。 直線 $y = a_1 x$ と直線 $y = a_2 x$ が $x$ 軸の正の向きとなす角をそれぞれ $\alpha_1, \alpha_2$ $\left( -\frac{\pi}{2} < \alpha_1 < \frac{\pi}{2}, -\frac{\pi}{2} < \alpha_2 < \frac{\pi}{2} \right)$ とすると、 $\tan \alpha_1 = a_1$, $\tan \alpha_2 = a_2$ である。 2直線のなす角を $\theta$ $\left( 0 \le \theta \le \frac{\pi}{2} \right)$ とすると、
$$ \begin{aligned} \tan \theta &= |\tan (\alpha_2 - \alpha_1)| \\ &= \left| \frac{\tan \alpha_2 - \tan \alpha_1}{1 + \tan \alpha_1 \tan \alpha_2} \right| \\ &= \left| \frac{a_2 - a_1}{1 + a_1 a_2} \right| \end{aligned} $$
ここで、$a_2 - a_1 = (2 + \sqrt{3}) - (2 - \sqrt{3}) = 2\sqrt{3}$ であり、方程式 $a^2 - 4a + 1 = 0$ における解と係数の関係(または直接の計算)より $a_1 a_2 = 1$ であるから、
$$ \tan \theta = \frac{2\sqrt{3}}{1 + 1} = \sqrt{3} $$
$0 \le \theta \le \frac{\pi}{2}$ であるから、
$$ \theta = \frac{\pi}{3} $$
解説
軌跡の基本問題と、2直線のなす角を求める問題の融合です。 (i) では、動点を $(X, Y)$ とおき、媒介変数 $x$ を消去するという定石に従います。このとき、$x$ を $X$ の式で表す際に割る式 $(2-a)$ が $0$ になる場合($a=2$)とそうでない場合とで場合分けを忘れないようにすることが重要です。 (ii) では、2直線のなす角を求めるために正接の加法定理を利用します。傾き $a_1, a_2$ の具体的な値を代入して直接計算してもよいですが、解と係数の関係 $a_1 + a_2 = 4, a_1 a_2 = 1$ と、対称式・交代式の変形 $(a_2 - a_1)^2 = (a_1 + a_2)^2 - 4a_1 a_2$ を利用すると、根号の計算を減らすことができ、計算ミスを防ぎやすくなります。
答え
(i)
略(解法1の証明を参照)
(ii)
(前半の証明は解法を参照)、$\frac{\pi}{3}$
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