京都大学 2014年 文系 第1問 解説

方針・初手
- 与えられた 4 次方程式が「2 つの 2 次方程式の積 $= 0$」の形になっていることに着目する。
- 4 次方程式が虚数解を少なくとも 1 つ持つことを示すには、2 つの 2 次方程式の少なくとも一方が虚数解を持つ(判別式が負)ことを示せばよい。
- 「少なくとも一方が〜」の証明であるため、背理法を用いて「両方とも実数解を持つ(両方の判別式が $0$ 以上)」と仮定し、矛盾を導く。
解法1(背理法)
与えられた $x$ についての 4 次方程式
$$ \{x^2 - 2(\cos\theta)x - \cos\theta + 1\}\{x^2 + 2(\tan\theta)x + 3\} = 0 $$
の解は、次の 2 つの 2 次方程式の解を合わせたものである。
$$ x^2 - 2(\cos\theta)x - \cos\theta + 1 = 0 \quad \cdots \textcircled{1} $$
$$ x^2 + 2(\tan\theta)x + 3 = 0 \quad \cdots \textcircled{2} $$
$\textcircled{1}$、$\textcircled{2}$ の判別式をそれぞれ $D_1,\, D_2$ とすると、
$$ \frac{D_1}{4} = \cos^2\theta + \cos\theta - 1, \quad \frac{D_2}{4} = \tan^2\theta - 3 $$
背理法による証明: $\textcircled{1}$、$\textcircled{2}$ がともに実数解を持つ、すなわち $D_1 \geq 0$ かつ $D_2 \geq 0$ と仮定する。
$D_2 \geq 0$ の条件:
$$ \tan^2\theta \geq 3 \implies |\tan\theta| \geq \sqrt{3} $$
$0° \leq \theta < 90°$ において $\tan\theta \geq 0$ であるから、$\tan\theta \geq \sqrt{3}$。これを満たすのは、
$$ 60° \leq \theta < 90° \quad \cdots \textcircled{3} $$
この範囲では $\cos\theta$ は単調減少で $\cos60° = \dfrac{1}{2}$ であるから、
$$ 0 < \cos\theta \leq \frac{1}{2} \quad \cdots \textcircled{4} $$
$D_1 \geq 0$ の条件:
$$ \cos^2\theta + \cos\theta - 1 \geq 0 $$
$\cos\theta$ についての 2 次不等式として解くと、$\cos\theta \leq \dfrac{-1-\sqrt{5}}{2}$ または $\cos\theta \geq \dfrac{-1+\sqrt{5}}{2}$。
$0° \leq \theta < 90°$ において $\cos\theta > 0$ であるから、
$$ \cos\theta \geq \frac{\sqrt{5}-1}{2} \quad \cdots \textcircled{5} $$
矛盾の導出: $\sqrt{5} > 2$ より $\dfrac{\sqrt{5}-1}{2} > \dfrac{1}{2}$ であるから、$\textcircled{4}$ と $\textcircled{5}$ を同時に満たす $\cos\theta$ は存在しない。
これは $D_1 \geq 0$ かつ $D_2 \geq 0$ が同時に成り立つような $\theta$($0° \leq \theta < 90°$)が存在しないことを意味し、矛盾する。
よって仮定は誤りであり、$D_1 < 0$ または $D_2 < 0$ の少なくとも一方が成り立つ。ゆえに $\textcircled{1}$、$\textcircled{2}$ の少なくとも一方は虚数解を持ち、元の 4 次方程式は虚数解を少なくとも 1 つ持つ。$\blacksquare$
解説
「少なくとも 1 つ」を示す論証問題における、背理法の典型的な活用例である。2 つの 2 次方程式の判別式から得られる条件が同時に成立しないことを示せばよい。
$D_2 \geq 0$ の条件から $\theta$ の範囲を絞り込み、そのときの $\cos\theta$ のとりうる値の範囲と、$D_1 \geq 0$ の条件から得られる $\cos\theta$ の範囲とを比較するのが最も見通しが良い。
最後に $\dfrac{1}{2}$ と $\dfrac{\sqrt{5}-1}{2}$ の大小を比較する際は、$\sqrt{5} > 2$ などの根拠を明示して論理の飛躍がないように記述することが大切である。
答え
略(解法1の証明を参照)
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











