京都大学 1982年 理系 第1問 解説

方針・初手
(1) 点 $P$ の $x$ 座標を文字でおき、曲線 $C$ の微分を用いて接線の方程式を求める。その後、曲線 $C$ の方程式と接線の方程式を連立し、交点の $x$ 座標を求める3次方程式を解く。接点では重解をもつことを利用して因数分解するとスムーズである。
(2) (1)で求めた交点の $x$ 座標と接点の $x$ 座標の間で、上下関係に注意して定積分を計算する。$y$ 軸($x=0$)を境目にして2つの区間に分けて面積を計算し、その比をとる。接点の $x$ 座標の符号によって場合分けが生じることに気をつけよう。
解法1
(1) 曲線 $C: y = x^3 + ax$ を $f(x) = x^3 + ax$ とおく。 $f'(x) = 3x^2 + a$ 点 $P$ の $x$ 座標を $p$ とおく。点 $P$ は原点と異なるので、$p \neq 0$ である。 $P$ の座標は $(p, p^3 + ap)$ であり、$P$ における接線 $l$ の傾きは $3p^2 + a$ となる。 接線 $l$ の方程式は
$$ y - (p^3 + ap) = (3p^2 + a)(x - p) $$
$$ y = (3p^2 + a)x - 3p^3 - ap + p^3 + ap $$
$$ y = (3p^2 + a)x - 2p^3 $$
曲線 $C$ と接線 $l$ の共有点の $x$ 座標は、次の方程式の解である。
$$ x^3 + ax = (3p^2 + a)x - 2p^3 $$
$$ x^3 - 3p^2 x + 2p^3 = 0 $$
曲線 $C$ と直線 $l$ は $x = p$ で接するため、左辺は $(x - p)^2$ を因数にもつ。 左辺を因数分解すると、
$$ (x - p)^2 (x + 2p) = 0 $$
ゆえに、$x = p, -2p$ $p \neq 0$ より $p \neq -2p$ であるから、点 $P$ における曲線 $C$ の接線 $l$ は、$P$ と異なる点 $Q$ ($x$ 座標が $-2p$ の点)で曲線 $C$ と交わることが示された。
(2) 曲線 $C$ と線分 $PQ$ で囲まれた部分を考える。 $P$ の $x$ 座標は $p$、$Q$ の $x$ 座標は $-2p$ であり、$x=0$ は $p$ と $-2p$ の間にある。 この囲まれた部分を、$y$ 軸 ($x=0$) を境にして、点 $Q$ を含む側の面積 $S_Q$ と、点 $P$ を含む側の面積 $S_P$ に分ける。
(i) $p > 0$ のとき 区間 $-2p \leqq x \leqq p$ において、
$$ (x^3 + ax) - \{ (3p^2 + a)x - 2p^3 \} = (x - p)^2(x + 2p) \geqq 0 $$
であるから、曲線 $C$ が接線 $l$ の上側にある。
$$ S_Q = \int_{-2p}^0 (x^3 - 3p^2 x + 2p^3) dx = \left[ \frac{1}{4}x^4 - \frac{3}{2}p^2 x^2 + 2p^3 x \right]_{-2p}^0 $$
$$ = 0 - \left( \frac{1}{4}(-2p)^4 - \frac{3}{2}p^2(-2p)^2 + 2p^3(-2p) \right) $$
$$ = - (4p^4 - 6p^4 - 4p^4) = 6p^4 $$
$$ S_P = \int_0^p (x^3 - 3p^2 x + 2p^3) dx = \left[ \frac{1}{4}x^4 - \frac{3}{2}p^2 x^2 + 2p^3 x \right]_0^p $$
$$ = \frac{1}{4}p^4 - \frac{3}{2}p^4 + 2p^4 = \frac{3}{4}p^4 $$
よって、$S_Q : S_P = 6p^4 : \frac{3}{4}p^4 = 24 : 3 = 8 : 1$
(ii) $p < 0$ のとき 区間 $p \leqq x \leqq -2p$ において、
$$ (x^3 + ax) - \{ (3p^2 + a)x - 2p^3 \} = (x - p)^2(x + 2p) \leqq 0 $$
であるから、接線 $l$ が曲線 $C$ の上側にある。
$$ S_Q = \int_0^{-2p} - (x^3 - 3p^2 x + 2p^3) dx = - \left[ \frac{1}{4}x^4 - \frac{3}{2}p^2 x^2 + 2p^3 x \right]_0^{-2p} $$
$$ = - (4p^4 - 6p^4 - 4p^4 - 0) = 6p^4 $$
$$ S_P = \int_p^0 - (x^3 - 3p^2 x + 2p^3) dx = - \left[ \frac{1}{4}x^4 - \frac{3}{2}p^2 x^2 + 2p^3 x \right]_p^0 $$
$$ = - \left( 0 - \left( \frac{1}{4}p^4 - \frac{3}{2}p^4 + 2p^4 \right) \right) = \frac{3}{4}p^4 $$
よって、$S_Q : S_P = 6p^4 : \frac{3}{4}p^4 = 8 : 1$
以上より、いずれの場合も $y$ 軸によって分けられる面積の比は、点 $Q$ を含む部分と点 $P$ を含む部分で $8 : 1$ となる。
解説
3次関数とその接線が囲む図形の面積に関する定番問題である。 変曲点(本問では原点)を持つ3次関数において、接点 $P$ の $x$ 座標を $p$ としたとき、接線が再び交わる点 $Q$ の $x$ 座標が必ず $-2p$ になるという性質は頻出である。 面積を求める積分では、被積分関数が必ず $(x-p)^2(x-\alpha)$ の形に因数分解できることを意識しておくと、計算のミスを防ぎやすくなる。また、面積比が常に一定値($8:1$)になるという結果も、興味深い数学的性質の一つである。
答え
(1)
略(解法1の証明を参照)
(2)
$y$ 軸を境にして、点 $Q$ を含む部分と点 $P$ を含む部分の面積比は $8 : 1$ に分けられる。
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