京都大学 2002年 文系 第4問 解説

方針・初手
三角関数の倍角・三倍角の公式を用いて、与えられた方程式を $t = \cos\theta^\circ$ の多項式に変換します。その後、方程式の解の個数を「関数 $y = f(t)$ のグラフと直線 $y = a$ の共有点の個数」として視覚的に捉えます。このとき、変数変換した $t$ の値と、元の変数 $\theta$ の個数の対応関係に注意する必要があります。$0 \leqq \theta < 360$ の範囲において、$t = \pm 1$ のときは対応する $\theta$ が1個ですが、$-1 < t < 1$ のときは対応する $\theta$ が2個存在することを踏まえて場合分けを行います。
解法1
$t = \cos\theta^\circ$ とおく。$0 \leqq \theta < 360$ より、$\theta^\circ$ は $0^\circ \leqq \theta^\circ < 360^\circ$ の範囲を動くため、$t$ のとり得る値の範囲は
$$ -1 \leqq t \leqq 1 $$
である。また、$t$ の値1つに対して対応する $\theta$ の個数は次のようになる。
$t = 1$ のとき、$\theta = 0$ の $1$ 個
$t = -1$ のとき、$\theta = 180$ の $1$ 個
$-1 < t < 1$ のとき、対応する $\theta$ は $2$ 個
倍角の公式 $\cos 2\theta^\circ = 2\cos^2\theta^\circ - 1$ と三倍角の公式 $\cos 3\theta^\circ = 4\cos^3\theta^\circ - 3\cos\theta^\circ$ を用いて、与えられた方程式の左辺を $t$ で表す。
$$\begin{aligned} \cos 3\theta^\circ - \cos 2\theta^\circ + 3\cos \theta^\circ - 1 &= (4t^3 - 3t) - (2t^2 - 1) + 3t - 1 \\ &= 4t^3 - 2t^2 \end{aligned}$$
よって、与えられた方程式は
$$ 4t^3 - 2t^2 = a \quad (-1 \leqq t \leqq 1) $$
と同値である。この方程式の実数解 $t$ は、関数 $f(t) = 4t^3 - 2t^2 \ (-1 \leqq t \leqq 1)$ のグラフと、直線 $y = a$ の共有点の $t$ 座標として求められる。
関数 $f(t)$ の増減を調べるために微分する。
$$ f'(t) = 12t^2 - 4t = 4t(3t - 1) $$
$f'(t) = 0$ となるのは $t = 0, \dfrac{1}{3}$ のときである。定義域 $-1 \leqq t \leqq 1$ における $f(t)$ の増減表は次のようになる。
$$\begin{array}{c|ccccccc} t & -1 & \cdots & 0 & \cdots & \dfrac{1}{3} & \cdots & 1 \\ \hline f'(t) & & + & 0 & - & 0 & + & \\ \hline f(t) & -6 & \nearrow & 0 & \searrow & -\dfrac{2}{27} & \nearrow & 2 \end{array}$$
端点の値および極値は以下の通り計算した。
$f(-1) = -4 - 2 = -6$、$f(0) = 0$、$f\!\left(\dfrac{1}{3}\right) = \dfrac{4}{27} - \dfrac{6}{27} = -\dfrac{2}{27}$、$f(1) = 4 - 2 = 2$
この増減表をもとに、$y = f(t)$ のグラフと直線 $y = a$ の共有点を調べ、$t$ の値の範囲から $\theta$ の個数を分類する。
(i)
$a < -6, \ 2 < a$ のとき
共有点はないため、$t$ は存在しない。よって、$\theta$ の値は $0$ 個。
(ii)
$a = -6$ のとき
共有点は $t = -1$ の $1$ つのみ。$t = -1$ に対応する $\theta$ は $1$ 個。
(iii)
$-6 < a < -\dfrac{2}{27}$ のとき
共有点は $-1 < t < 0$ の範囲に $1$ つ存在する。この $t$ に対応する $\theta$ は $2$ 個。
(iv)
$a = -\dfrac{2}{27}$ のとき
共有点は $-1 < t < 0$ の範囲に $1$ つ、$t = \dfrac{1}{3}$ に $1$ つの合計 $2$ つ存在する。いずれも $-1 < t < 1$ の範囲であるため、それぞれに対応する $\theta$ は $2$ 個ずつある。よって、$\theta$ の値は $2 + 2 = 4$ 個。
(v)
$-\dfrac{2}{27} < a < 0$ のとき
共有点は $-1 < t < 0$、$0 < t < \dfrac{1}{3}$、$\dfrac{1}{3} < t < 1$ の範囲にそれぞれ $1$ つずつ、合計 $3$ つ存在する。これらはすべて $-1 < t < 1$ の範囲であるため、それぞれに対応する $\theta$ は $2$ 個ずつある。よって、$\theta$ の値は $2 \times 3 = 6$ 個。
(vi)
$a = 0$ のとき
共有点は $t = 0$ と、$\dfrac{1}{3} < t < 1$ の範囲に $1$ つの合計 $2$ つ存在する。(具体的には $f(t) = 0 \iff 2t^2(2t-1)=0$ より $t = 0, \dfrac{1}{2}$ である)いずれも $-1 < t < 1$ の範囲であるため、それぞれに対応する $\theta$ は $2$ 個ずつある。よって、$\theta$ の値は $2 + 2 = 4$ 個。
(vii)
$0 < a < 2$ のとき
共有点は $0 < t < 1$ の範囲に $1$ つ存在する。この $t$ に対応する $\theta$ は $2$ 個。
(viii)
$a = 2$ のとき
共有点は $t = 1$ の $1$ つのみ。$t = 1$ に対応する $\theta$ は $1$ 個。
解説
三角方程式の解の個数を問う典型的な問題です。倍角・三倍角の公式を用いて一種類の三角関数(ここでは $\cos\theta^\circ$)に統一し、多項式の問題に帰着させるのが定石です。
最大の罠であり最も重要なポイントは、**「$t$ の個数と $\theta$ の個数は必ずしも一致しない」**という点です。単位円を想像すると分かりますが、$y$ 軸に平行な直線 $x = t$ を引いたとき、$-1 < t < 1$ の範囲では単位円と $2$ 点で交わりますが、$t = \pm 1$ では接するため $1$ 点でしか交わりません。この「端点での対応関係の崩れ」を正確に把握して場合分けを行う必要があります。
答え
$a < -6, \ a > 2$ のとき、$0$ 個
$a = -6, \ a = 2$ のとき、$1$ 個
$-6 < a < -\dfrac{2}{27}, \ 0 < a < 2$ のとき、$2$ 個
$a = -\dfrac{2}{27}, \ a = 0$ のとき、$4$ 個
$-\dfrac{2}{27} < a < 0$ のとき、$6$ 個
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