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京都大学 1991年 文系 第4問 解説

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京都大学 1991年 文系 第4問 解説

方針・初手

3次方程式がすべて実数解をもつ条件は、グラフが極値をもつことと、「(極大値) $\times$ (極小値) $\leqq 0$」となることです。これを用いて $p, q$ の満たすべき条件の不等式を導き、目的の方程式のグラフの上下関係に帰着させるのがオーソドックスな解法です。 もう一つの視点として、「方程式の解」そのものに着目し、与えられた方程式の解を $\alpha, \beta, \gamma$ とおいたときに、新しい方程式の解がどのように表せるか(解の変換)を考えるアプローチも非常に有効です。

解法1

$f(x) = x^3 - px + q$ とおく。方程式 $f(x) = 0$ がすべて実数解をもつための条件を求める。

$$ f'(x) = 3x^2 - p $$

(i)

$p < 0$ のとき $f'(x) > 0$ となり $f(x)$ は常に単調増加する。このとき実数解は1つのみとなるため不適である。

(ii)

$p = 0$ のとき $f(x) = x^3 + q$ となる。$x^3 + q = 0$ がすべて実数解(3つの実数解)をもつのは重解となるとき、すなわち $q = 0$ のときに限られる。

(iii)

$p > 0$ のとき $f(x)$ は $x = \pm \sqrt{\frac{p}{3}}$ で極値をもつ。 方程式が3つの実数解(重解を含む)をもつための条件は、極大値と極小値の積が $0$ 以下になることである。

$$ f\left(-\sqrt{\frac{p}{3}}\right) f\left(\sqrt{\frac{p}{3}}\right) \leqq 0 $$

$$ \left( q + \frac{2p}{3}\sqrt{\frac{p}{3}} \right) \left( q - \frac{2p}{3}\sqrt{\frac{p}{3}} \right) \leqq 0 $$

$$ q^2 - \frac{4}{27}p^3 \leqq 0 $$

$$ q^2 \leqq \frac{4}{27}p^3 $$

(ii) の $p=0, q=0$ もこの不等式を満たすため、求める条件は $p \geqq 0$ かつ $q^2 \leqq \frac{4}{27}p^3$ である。

次に、示すべき方程式 $x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2 = 0$ について考える。 左辺を変形すると、$x(x^2 - 2px + p^2) - q^2 = x(x-p)^2 - q^2$ となる。 $g(x) = x(x-p)^2$ とおき、曲線 $y = g(x)$ と直線 $y = q^2$ の共有点を調べる。

$$ g'(x) = (x-p)^2 + 2x(x-p) = (x-p)(3x-p) $$

$g'(x) = 0$ とすると $x = p, \frac{p}{3}$ である。 $p \geqq 0$ における極値($p=0$ のときは極値なし)は、

$$ g(p) = 0 $$

$$ g\left(\frac{p}{3}\right) = \frac{p}{3} \left(-\frac{2}{3}p\right)^2 = \frac{4}{27}p^3 $$

これより、関数 $g(x)$ の極小値は $0$、極大値は $\frac{4}{27}p^3$ である。 条件より $0 \leqq q^2 \leqq \frac{4}{27}p^3$ が成り立っているため、直線 $y = q^2$ は曲線 $y = g(x)$ の極小値と極大値の間(境界を含む)に存在する。 したがって、方程式 $g(x) = q^2$ は常に3つの実数解(重解を含む)をもつ。 ゆえに、$x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2 = 0$ の解もすべて実数であることが示された。

解法2

$x^3 - px + q = 0$ の3つの実数解を $\alpha, \beta, \gamma$ とする。 因数定理より、次のように因数分解できる。

$$ x^3 - px + q = (x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma) $$

この恒等式において、$x$ を $-x$ に置き換えると

$$ -x^3 + px + q = (-x-\alpha)(-x-\beta)(-x-\gamma) $$

$$ -(x^3 - px - q) = -(x+\alpha)(x+\beta)(x+\gamma) $$

$$ x^3 - px - q = (x+\alpha)(x+\beta)(x+\gamma) $$

元の式と辺々を掛け合わせると

$$ (x^3 - px + q)(x^3 - px - q) = (x-\alpha)(x+\alpha)(x-\beta)(x+\beta)(x-\gamma)(x+\gamma) $$

左辺は和と差の積を用いて展開し、右辺はペアごとに展開すると

$$ (x^3 - px)^2 - q^2 = (x^2 - \alpha^2)(x^2 - \beta^2)(x^2 - \gamma^2) $$

$$ x^2(x^2 - p)^2 - q^2 = (x^2 - \alpha^2)(x^2 - \beta^2)(x^2 - \gamma^2) $$

$$ (x^2)^3 - 2p(x^2)^2 + p^2(x^2) - q^2 = (x^2 - \alpha^2)(x^2 - \beta^2)(x^2 - \gamma^2) $$

ここで、$X = x^2$ とおくと、次の $X$ についての恒等式が得られる。

$$ X^3 - 2pX^2 + p^2X - q^2 = (X - \alpha^2)(X - \beta^2)(X - \gamma^2) $$

この式は、方程式 $X^3 - 2pX^2 + p^2X - q^2 = 0$ の解が $X = \alpha^2, \beta^2, \gamma^2$ であることを示している。 仮定より $\alpha, \beta, \gamma$ はすべて実数であるから、その2乗である $\alpha^2, \beta^2, \gamma^2$ もすべて実数である。 ゆえに、$x^3 - 2px^2 + p^2x - q^2 = 0$ の解はすべて実数であることが示された。

解説

3次方程式が実数解をいくつもつかという問題において、微分を用いてグラフの極値の符号を調べる(解法1)のは基本であり、最も汎用性が高い方法です。 一方で、本問のように2つの方程式の係数に明確な関連性が見られる場合、解の置換(解法2)によって劇的に見通しが良くなることがあります。解法2は、$f(x)f(-x)$ という対称性を利用して $x^2$ を巧みに作り出す鮮やかな手法であり、難関大で時折見られる「解の変換」の定石として知っておくと強力な武器になります。

答え

略(解法1の証明を参照)

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