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京都大学 1969年 理系 第1問 解説

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京都大学 1969年 理系 第1問 解説

方針・初手

(イ) は実数係数の3次関数の極限と連続性に着目し、まず実数解の存在を確かめる。 (ロ) は(イ)で得た因数分解を用いて2次因子の係数の符号を調べる。あるいは、3次方程式の解と係数の関係から直接評価してもよい。

解法1

(イ)

$f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ において、

$$ \lim_{x \to \infty} f(x) = \infty $$

$$ \lim_{x \to -\infty} f(x) = -\infty $$

である。$f(x)$ は連続関数であるから、中間値の定理より $f(\alpha) = 0$ となる実数 $\alpha$ が少なくとも1つ存在する。

因数定理より、$f(x)$ は $x - \alpha$ を因数にもつ。したがって、$f(x)$ を $x - \alpha$ で割った商を $x^2 + Bx + C$ とすると、

$$ f(x) = (x - \alpha)(x^2 + Bx + C) $$

と表せる。ここで、$f(x)$ の係数および $\alpha$ は実数であるから、割り算の結果現れる商の係数 $B, C$ も実数となる。

$A = -\alpha$ とおくと、$A, B, C$ は実数であり、

$$ f(x) = (x + A)(x^2 + Bx + C) $$

と因数分解できる。

(ロ)

(イ)より、$f(x) = 0$ の解は $x = -A$ と $x^2 + Bx + C = 0$ の解である。

仮定より、$f(x) = 0$ の3つの根の実数部分はすべて負である。 $x = -A$ は実数根であるため、その実数部分は $-A$ 自身である。よって、$-A < 0$ すなわち $A > 0$ である。

次に、2次方程式 $x^2 + Bx + C = 0$ の2つの根を $\beta, \gamma$ とする。実数係数方程式であるから、$\beta, \gamma$ はともに実数であるか、互いに共役な虚数である。

(i)

$\beta, \gamma$ がともに実数のとき

仮定より $\beta < 0, \gamma < 0$ である。解と係数の関係より、

$$ B = -(\beta + \gamma) > 0 $$

$$ C = \beta\gamma > 0 $$

となる。

(ii)

$\beta, \gamma$ が互いに共役な虚数のとき

$\beta = p + qi, \gamma = p - qi$ ($p, q$ は実数、$q \neq 0$)とおける。 仮定より、実数部分は負であるから $p < 0$ である。解と係数の関係より、

$$ B = -(\beta + \gamma) = -2p > 0 $$

$$ C = \beta\gamma = p^2 + q^2 > 0 $$

となる。

(i), (ii) のいずれの場合も $B > 0, C > 0$ である。

ここで、$f(x) = (x + A)(x^2 + Bx + C)$ を展開すると、

$$ f(x) = x^3 + (A + B)x^2 + (AB + C)x + AC $$

となる。元の式 $f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ の各次数の係数を比較して、

$$ a = A + B $$

$$ b = AB + C $$

$$ c = AC $$

を得る。先に示した通り $A > 0, B > 0, C > 0$ であるから、

$$ a > 0 $$

$$ b > 0 $$

$$ c > 0 $$

となる。したがって、$a, b, c$ はすべて正である。

解法2

(ロ) について、3次方程式の解と係数の関係を直接用いる別解を示す。

$f(x) = 0$ の3つの根を $\alpha, \beta, \gamma$ とする。 実数係数の方程式であるから、虚数根をもつ場合は互いに共役な複素数となる。

(i) 3根がすべて実数のとき

仮定より、$\alpha < 0, \beta < 0, \gamma < 0$ である。 解と係数の関係より、

$$ a = -(\alpha + \beta + \gamma) > 0 $$

$$ b = \alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha > 0 $$

$$ c = -\alpha\beta\gamma > 0 $$

となり、$a, b, c$ はすべて正である。

(ii) 1つの実数根と、2つの互いに共役な虚数根をもつとき

実数根を $\alpha$、虚数根を $p + qi, p - qi$ ($p, q$ は実数、$q \neq 0$)とする。 仮定より、3根の実数部分はすべて負であるから、$\alpha < 0, p < 0$ である。 解と係数の関係より、

$$ a = -\{\alpha + (p + qi) + (p - qi)\} = -(\alpha + 2p) $$

$\alpha < 0, p < 0$ より $a > 0$ である。

$$ b = \alpha(p + qi) + (p + qi)(p - qi) + (p - qi)\alpha = 2p\alpha + p^2 + q^2 $$

$p < 0, \alpha < 0$ より $2p\alpha > 0$ であり、$p^2 + q^2 > 0$ であるから、$b > 0$ である。

$$ c = -\alpha(p + qi)(p - qi) = -\alpha(p^2 + q^2) $$

$\alpha < 0, p^2 + q^2 > 0$ より $c > 0$ である。

(i), (ii) より、いずれの場合も $a, b, c$ はすべて正である。

解説

(イ) は3次関数の連続性と極限の性質から実数解の存在を確認する問題である。高校数学の範囲では、中間値の定理を用いて十分に説明できる。 (ロ) は(イ)で得た因数分解を足場にしてもよく、解法2のように解と係数の関係から直接調べてもよい。実数係数方程式では虚数解が共役になることと、根の実部の条件と係数の符号とを結びつける点が要点である。

答え

(イ)

実数 $A, B, C$ を用いて

$$ f(x) = (x + A)(x^2 + Bx + C) $$

と表せる。

(ロ) $a > 0,\ b > 0,\ c > 0$

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