京都大学 1972年 理系 第2問 解説

方針・初手
被積分関数が有理関数であるため、まずは部分分数分解を行って定積分を計算し、$F(x)$ を具体的に求める。その後、求めたい極限の式に代入し、対数の性質を用いてひとつの対数にまとめてから極限をとばすという基本方針で進める。
解法1
被積分関数 $\frac{t}{(t+1)(t+3)}$ を部分分数分解する。
$$ \frac{t}{(t+1)(t+3)} = \frac{A}{t+1} + \frac{B}{t+3} $$
とおき、両辺に $(t+1)(t+3)$ を掛けると、
$$ t = A(t+3) + B(t+1) $$
$$ t = (A+B)t + 3A+B $$
これが $t$ についての恒等式となるため、係数を比較して、
$$ \begin{cases} A+B = 1 \\ 3A+B = 0 \end{cases} $$
これを解くと、$A = -\frac{1}{2}$, $B = \frac{3}{2}$ となる。したがって、
$$ \frac{t}{(t+1)(t+3)} = -\frac{1}{2(t+1)} + \frac{3}{2(t+3)} $$
これより、$F(x)$ を計算する。$x > 0$ であるため、積分区間 $0 \leqq t \leqq x$ において $t+1 > 0$ かつ $t+3 > 0$ であることに注意して定積分を行うと、
$$ F(x) = \int_{0}^{x} \left( -\frac{1}{2(t+1)} + \frac{3}{2(t+3)} \right) dt $$
$$ F(x) = \left[ -\frac{1}{2}\log(t+1) + \frac{3}{2}\log(t+3) \right]_{0}^{x} $$
$$ F(x) = -\frac{1}{2}\log(x+1) + \frac{3}{2}\log(x+3) - \left( -\frac{1}{2}\log 1 + \frac{3}{2}\log 3 \right) $$
$\log 1 = 0$ であるから、
$$ F(x) = -\frac{1}{2}\log(x+1) + \frac{3}{2}\log(x+3) - \frac{3}{2}\log 3 $$
次に、極限 $\lim_{x\to+\infty} [F(x) - \log x]$ を計算する。
$$ F(x) - \log x = -\frac{1}{2}\log(x+1) + \frac{3}{2}\log(x+3) - \log x - \frac{3}{2}\log 3 $$
$$ F(x) - \log x = \frac{1}{2} \left\{ -\log(x+1) + 3\log(x+3) - 2\log x \right\} - \frac{3}{2}\log 3 $$
対数の性質を用いて、括弧の中をひとつの対数にまとめる。
$$ F(x) - \log x = \frac{1}{2} \log \frac{(x+3)^3}{x^2(x+1)} - \frac{3}{2}\log 3 $$
真数部分について、$x \to +\infty$ の極限を考えると、分母・分子ともに $x$ の3次式であるため、分母の最高次の項である $x^3$ で分母分子を割って、
$$ \frac{(x+3)^3}{x^2(x+1)} = \frac{x^3 \left(1 + \frac{3}{x}\right)^3}{x^3 \left(1 + \frac{1}{x}\right)} = \frac{\left(1 + \frac{3}{x}\right)^3}{1 + \frac{1}{x}} $$
$x \to +\infty$ のとき、$\frac{3}{x} \to 0$, $\frac{1}{x} \to 0$ となるため、
$$ \lim_{x\to+\infty} \frac{(x+3)^3}{x^2(x+1)} = \frac{1^3}{1} = 1 $$
したがって、
$$ \lim_{x\to+\infty} \frac{1}{2} \log \frac{(x+3)^3}{x^2(x+1)} = \frac{1}{2} \log 1 = 0 $$
よって、求める極限値は、
$$ \lim_{x\to+\infty} [F(x) - \log x] = 0 - \frac{3}{2}\log 3 = -\frac{3}{2}\log 3 $$
解説
有理関数の積分と、対数関数の極限を組み合わせた標準的な問題だ。有理関数の積分では、分母が因数分解されている形であれば部分分数分解を行うのが定石だ。極限の計算においては、複数の対数を足し引きする形($\infty - \infty$ の不定形)になるため、対数の性質を用いて1つの対数にまとめ、真数部分の極限を考える処理が重要になる。
答え
$$ -\frac{3}{2}\log 3 $$
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