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京都大学 1977年 理系 第3問 解説

数学2/微分法数学2/三角関数テーマ/接線・法線テーマ/図形総合
京都大学 1977年 理系 第3問 解説

方針・初手

交点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とおき、$C_1$ と $C_2$ が交わる条件($y$ 座標が等しい)を立式します。

次に、$C_1$ と $C_2$ のそれぞれの方程式を微分して、導関数を求めます。交点 $P$ におけるそれぞれの接線の傾き $m_1, m_2$ を $t$ を用いて表し、直交条件である $m_1 m_2 = -1$ となることを示します。

その際、$f(x) = \sin x$ の高階微分における性質(位相が $\frac{\pi}{2}$ ずつずれることや、2回微分すると符号が反転すること)を利用して式を整理します。

解法1

交点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とおく。 $P$ は $C_1: y = x f^{(n-1)}(x)$ と $C_2: y = f^{(n)}(x)$ の交点であるから、以下の等式が成り立つ。

$$ t f^{(n-1)}(t) = f^{(n)}(t) \cdots ① $$

次に、$C_1$、$C_2$ の接線の傾きを求める。 $C_1$ の方程式 $y = x f^{(n-1)}(x)$ を $x$ で微分すると、積の微分法より以下のようになる。

$$ y' = 1 \cdot f^{(n-1)}(x) + x \cdot \frac{d}{dx} f^{(n-1)}(x) = f^{(n-1)}(x) + x f^{(n)}(x) $$

したがって、$x=t$ における $C_1$ の接線 $t_1$ の傾き $m_1$ は次のように表せる。

$$ m_1 = f^{(n-1)}(t) + t f^{(n)}(t) $$

また、$C_2$ の方程式 $y = f^{(n)}(x)$ を $x$ で微分する。

$$ y' = f^{(n+1)}(x) $$

したがって、$x=t$ における $C_2$ の接線 $t_2$ の傾き $m_2$ は次のように表せる。

$$ m_2 = f^{(n+1)}(t) $$

接線 $t_1, t_2$ が直交することを示すには、$m_1 m_2 = -1$ を示せばよい。$m_1$ と $m_2$ の積を計算する。

$$ m_1 m_2 = \{ f^{(n-1)}(t) + t f^{(n)}(t) \} f^{(n+1)}(t) $$

ここで、$f(x) = \sin x$ の高階微分について考える。任意の0以上の整数 $k$ に対して、以下が成り立つ。

$$ f^{(k)}(x) = \sin\left(x + \frac{k\pi}{2}\right) $$

これを用いると、$f^{(n+1)}(t)$ は次のように変形できる。

$$ f^{(n+1)}(t) = \sin\left(t + \frac{(n+1)\pi}{2}\right) = \sin\left(t + \frac{(n-1)\pi}{2} + \pi\right) = -\sin\left(t + \frac{(n-1)\pi}{2}\right) = -f^{(n-1)}(t) $$

この関係式 $f^{(n+1)}(t) = -f^{(n-1)}(t)$ を $m_1 m_2$ の式に代入して展開する。

$$ m_1 m_2 = \{ f^{(n-1)}(t) + t f^{(n)}(t) \} \{ -f^{(n-1)}(t) \} $$

$$ = - \{ f^{(n-1)}(t) \}^2 - t f^{(n)}(t) f^{(n-1)}(t) $$

ここで、交点条件 ①($f^{(n)}(t) = t f^{(n-1)}(t)$)を用いると、第2項は次のように書き換えられる。

$$ t f^{(n)}(t) f^{(n-1)}(t) = f^{(n)}(t) \cdot \{ t f^{(n-1)}(t) \} = \{ f^{(n)}(t) \}^2 $$

よって、傾きの積は以下のようになる。

$$ m_1 m_2 = - \{ f^{(n-1)}(t) \}^2 - \{ f^{(n)}(t) \}^2 $$

$$ = - \left[ \{ f^{(n-1)}(t) \}^2 + \{ f^{(n)}(t) \}^2 \right] $$

さらに、各項は具体的に次のように表される。

$$ f^{(n-1)}(t) = \sin\left(t + \frac{(n-1)\pi}{2}\right) $$

$$ f^{(n)}(t) = \sin\left(t + \frac{n\pi}{2}\right) = \sin\left(t + \frac{(n-1)\pi}{2} + \frac{\pi}{2}\right) = \cos\left(t + \frac{(n-1)\pi}{2}\right) $$

したがって、括弧内の平方和は三角関数の基本公式により $1$ となる。

$$ \{ f^{(n-1)}(t) \}^2 + \{ f^{(n)}(t) \}^2 = \sin^2\left(t + \frac{(n-1)\pi}{2}\right) + \cos^2\left(t + \frac{(n-1)\pi}{2}\right) = 1 $$

ゆえに、以下の等式が成り立つ。

$$ m_1 m_2 = -1 $$

以上より、交点 $P$ における $C_1$ と $C_2$ の接線 $t_1, t_2$ は互いに直交することが示された。

解説

三角関数の高階微分に関する性質と、接線の直交条件を組み合わせた微分法の標準的な証明問題です。

ポイントは以下の2点です。 1つ目は、$f(x) = \sin x$ を微分するたびに位相が $\frac{\pi}{2}$ 進むという性質を利用し、$f^{(n)}(x)$ を $\cos$ に、$f^{(n+1)}(x)$ を $-f^{(n-1)}(x)$ に置き換える処理です($f''(x) = -f(x)$ の両辺を $n-1$ 回微分すると考えても導けます)。 2つ目は、直交条件の計算において、交点の条件 $t f^{(n-1)}(t) = f^{(n)}(t)$ を適切なタイミングで代入することです。これにより、最終的に $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ の形を作り出すことができます。

抽象的な記号 $f^{(n)}(x)$ に圧倒されず、傾きを定義通りに計算して冷静に式変形を進めれば、見通しよく解答できる構成になっています。

答え

交点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とおき、各曲線の $x=t$ における接線の傾き $m_1, m_2$ を計算した。交点の条件 $f^{(n)}(t) = t f^{(n-1)}(t)$ と三角関数の微分の性質を用いることで $m_1 m_2 = -1$ が導かれ、2つの接線が直交することが示された。(証明の詳細は解法1を参照)

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