京都大学 1977年 理系 第6問 解説

方針・初手
与えられた導関数の条件を用いて、関数の増減と符号を評価する問題である。 (i) は $g'(x)$ の符号から $g(x)$ の増減を調べることで簡潔に示せる。 (ii) は方程式 $f(y)=0$ の解の存在を示す問題であるため、中間値の定理の利用を念頭に置く。指定された区間において常に $f(x) > 0$ であると仮定して矛盾を導く背理法を用いると、見通しよく論証できる。
解法1
(i)
条件(4)より、$0 \leqq x \leqq a$ において $f(x) > 0$ である。 このことと条件(2)より、$0 \leqq x \leqq a$ において以下が成り立つ。
$$g'(x) \geqq f(x) > 0$$
導関数 $g'(x)$ が常に正であるから、関数 $g(x)$ は区間 $0 \leqq x \leqq a$ において単調に増加する。 条件(3)より $g(0) = 0$ であるため、$0 < x \leqq a$ において $g(x) > g(0) = 0$ となる。 $a$ は正の定数($a > 0$)であるから、$x=a$ においても成り立ち、以下を得る。
$$g(a) > 0$$
(ii)
条件(4)において $x=a$ とすると $f(a) > 0$ であり、(i) より $g(a) > 0$ であるため、$\frac{f(a)}{g(a)} > 0$ である。 したがって、$a < a + \frac{f(a)}{g(a)}$ が成り立つ。 ここで、区間 $\left[a, a + \frac{f(a)}{g(a)}\right]$ において、$f(y) = 0$ をみたす実数 $y$ が存在しないと仮定する。
関数 $f(x)$ は導関数をもつため連続関数であり、$f(a) > 0$ である。中間値の定理により、この区間において常に $f(x) > 0$ が成り立つ。 このとき、任意の $x \in \left[a, a + \frac{f(a)}{g(a)}\right]$ において $f(x) > 0$ であるから、条件(2)より $g'(x) \geqq f(x) > 0$ となる。 よって $g(x)$ はこの区間において単調に増加する。$x \geqq a$ であるから、$g(x) \geqq g(a)$ が成り立つ。
さらに、条件(1)より $f'(x) = -g(x)$ であるから、区間内の任意の $x$ について以下の不等式が成り立つ。
$$f'(x) \leqq -g(a)$$
この不等式を $a$ から $x$ まで定積分する。
$$\int_{a}^{x} f'(t) dt \leqq \int_{a}^{x} -g(a) dt$$
$$f(x) - f(a) \leqq -g(a)(x - a)$$
$$f(x) \leqq f(a) - g(a)(x - a)$$
この不等式において $x = a + \frac{f(a)}{g(a)}$ を代入すると、
$$f\left(a + \frac{f(a)}{g(a)}\right) \leqq f(a) - g(a)\left( a + \frac{f(a)}{g(a)} - a \right) = f(a) - f(a) = 0$$
すなわち $f\left(a + \frac{f(a)}{g(a)}\right) \leqq 0$ となるが、これは区間 $\left[a, a + \frac{f(a)}{g(a)}\right]$ において常に $f(x) > 0$ であるという仮定に矛盾する。 したがって、区間 $\left[a, a + \frac{f(a)}{g(a)}\right]$ 内に $f(y) = 0$ をみたす実数 $y$ が存在する。
解法2
(ii) の別解(平均値の定理の利用)
解法1と同様に、区間 $\left[a, a + \frac{f(a)}{g(a)}\right]$ において常に $f(x) > 0$ であると仮定する。 解法1の議論により、この区間において $g(x)$ は単調増加し、$f'(x) \leqq -g(a)$ が成り立つ。
関数 $f(x)$ は閉区間 $\left[a, a + \frac{f(a)}{g(a)}\right]$ において連続であり、開区間 $\left(a, a + \frac{f(a)}{g(a)}\right)$ において微分可能である。 平均値の定理により、
$$\frac{f\left(a + \frac{f(a)}{g(a)}\right) - f(a)}{\left(a + \frac{f(a)}{g(a)}\right) - a} = f'(c)$$
をみたす $c$ が $a < c < a + \frac{f(a)}{g(a)}$ の範囲に存在する。 $c$ はこの区間内の点であるから、$f'(c) \leqq -g(a)$ をみたす。よって、
$$\frac{f\left(a + \frac{f(a)}{g(a)}\right) - f(a)}{\frac{f(a)}{g(a)}} \leqq -g(a)$$
$\frac{f(a)}{g(a)} > 0$ であるから、両辺にこれを掛けても不等号の向きは変わらず、
$$f\left(a + \frac{f(a)}{g(a)}\right) - f(a) \leqq -g(a) \cdot \frac{f(a)}{g(a)} = -f(a)$$
$$f\left(a + \frac{f(a)}{g(a)}\right) \leqq 0$$
を得る。これは区間内で常に $f(x) > 0$ であるという仮定に矛盾する。 したがって、区間 $\left[a, a + \frac{f(a)}{g(a)}\right]$ 内に $f(y) = 0$ をみたす実数 $y$ が存在する。
解説
微積分の知識を用いて方程式の解の存在を示す、論証力の問われる良問である。 解の存在証明においては、「中間値の定理」の利用が定石となる。本問のように「解が存在しない(常に同符号である)と仮定して矛盾を導く」という背理法を用いると、積分や平均値の定理を通じた不等式評価がスムーズに行える。
また、本問で扱った区間の右端 $x = a + \frac{f(a)}{g(a)}$ には図形的な意味がある。 条件(1)より $f'(a) = -g(a)$ であるため、曲線 $y = f(x)$ の $x=a$ における接線の方程式は $y = -g(a)(x - a) + f(a)$ となる。 この接線が $x$ 軸($y=0$)と交わる点の $x$ 座標を求めると、まさしく $x = a + \frac{f(a)}{g(a)}$ となる。 解答で導いた $f(x) \leqq f(a) - g(a)(x - a)$ という不等式は、「関数 $f(x)$ のグラフが接線の下側に位置する」ことを表しており、接線が $x$ 軸と交わる点において $f(x)$ も $0$ 以下になる、というのがこの問題の図形的な背景である。
答え
(i) 解法1の通り証明された。 (ii) 解法1(または解法2)の通り証明された。
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