名古屋大学 1988年 理系 第4問 解説

方針・初手
$f(x)$ が原点に関して対称(奇関数)であることと、$x>0$ で $f''(x)>0$ (下に凸)であることを利用して、導関数 $f'(x)$ の性質を調べます。 (1) では、2曲線の差をとった関数 $h(x) = f(x) - f(x-a) - f(a)$ を設定し、その増減を調べることで交点の個数と大小関係を証明します。 (2) では、(1) で得られた大小関係をもとに面積の式を定積分で表し、置換積分と奇関数の性質を利用して $a$ についての積分方程式に帰着させます。その後、両辺を $a$ で微分して関数 $f(x)$ を決定します。
解法1
(1)
$h(x) = f(x) - f(x-a) - f(a)$ とおく。 $y=f(x)$ のグラフは原点に関して対称であるから、$f(x)$ は奇関数であり $f(-x) = -f(x)$、$f(0) = 0$ が成り立つ。 したがって、
$$ \begin{aligned} h(0) &= f(0) - f(-a) - f(a) = 0 - \{-f(a)\} - f(a) = 0 \\ h(a) &= f(a) - f(0) - f(a) = f(a) - 0 - f(a) = 0 \end{aligned} $$
となり、$C$ と $C_a$ は 2 点 $(0, 0)$, $(a, f(a))$ で交わることがわかる。 次に、この 2 点以外に交点を持たないことを示す。 $h(x)$ を微分すると、
$$ h'(x) = f'(x) - f'(x-a) $$
$x>0$ の範囲で $f''(x) > 0$ であるから、$f'(x)$ は $x \ge 0$ において単調増加する。 また、$f(x)$ は奇関数であるから、その導関数 $f'(x)$ は偶関数($f'(-x) = f'(x)$)である。 偶関数であり $x \ge 0$ で単調増加することから、$f'(x)$ は $|x|$ についての単調増加関数であるといえる。 したがって、$h'(x) = 0$ となる条件は、
$$ |x| = |x-a| $$
これを解くと $x = \pm(x-a)$ となるが、$x = x-a$ は $a>0$ より解を持たず、$x = -(x-a)$ より $x = \frac{a}{2}$ を得る。 $x < \frac{a}{2}$ のとき、$2x < a$ すなわち $x < a-x$ となり、$x - \frac{a}{2} < 0$ より $x^2 < (x-a)^2$ すなわち $|x| < |x-a|$ である。 これにより $f'(x) < f'(x-a)$ となるため、$h'(x) < 0$ である。 同様に、$x > \frac{a}{2}$ のときは $|x| > |x-a|$ となり、$h'(x) > 0$ である。
以上より、$h(x)$ は $x = \frac{a}{2}$ において極小かつ最小となる。 $h(0)=0$、$h(a)=0$ であり、$x < \frac{a}{2}$ で単調減少、$x > \frac{a}{2}$ で単調増加することから、$h(x) = 0$ を満たすのは $x=0, a$ のみである。 ゆえに、$C$ と $C_a$ は 2 点 $(0, 0)$, $(a, f(a))$ のみで交わる。
また、$h(x)$ の増減より、$0 < x < a$ の範囲において常に $h(x) < 0$ である。 すなわち、
$$ f(x) - f(x-a) - f(a) < 0 $$
$$ f(x-a) > f(x) - f(a) $$
が成り立つ。(証明終)
(2)
(1) の結果より、$0 < x < a$ の範囲において $f(x-a) + f(a) > f(x)$ であるから、$C$ と $C_a$ で囲まれた図形の面積 $S$ は次のように表される。
$$ \begin{aligned} S &= \int_0^a \{ f(x-a) + f(a) - f(x) \} dx \\ &= \int_0^a f(x-a) dx + \int_0^a f(a) dx - \int_0^a f(x) dx \end{aligned} $$
ここで、第1項の積分 $\int_0^a f(x-a) dx$ について $t = x-a$ と置換すると、$dt = dx$ であり、積分区間は $-a \to 0$ となる。 さらに $f(x)$ が奇関数であることを用いると、
$$ \int_0^a f(x-a) dx = \int_{-a}^0 f(t) dt = \int_{-a}^0 f(x) dx = -\int_0^a f(x) dx $$
となる。これを面積 $S$ の式に代入すると、
$$ S = -\int_0^a f(x) dx + a f(a) - \int_0^a f(x) dx = a f(a) - 2 \int_0^a f(x) dx $$
これが任意の $a>0$ において $a^4$ に等しいので、
$$ a f(a) - 2 \int_0^a f(x) dx = a^4 $$
両辺を $a$ で微分すると、
$$ \begin{aligned} f(a) + a f'(a) - 2 f(a) &= 4 a^3 \\ a f'(a) - f(a) &= 4 a^3 \end{aligned} $$
$a>0$ であるから、両辺を $a^2$ で割ると、
$$ \frac{a f'(a) - f(a)}{a^2} = 4 a $$
左辺は商の微分法の形になっているため、
$$ \left( \frac{f(a)}{a} \right)' = 4 a $$
両辺を $a$ について積分して、
$$ \frac{f(a)}{a} = 2 a^2 + c \quad (c \text{ は積分定数}) $$
$$ f(a) = 2 a^3 + c a $$
$f(x)$ は多項式であるから、すべての実数 $x$ に対して
$$ f(x) = 2 x^3 + c x $$
と表される。 このとき、$f''(x) = 12 x$ となり、$x>0$ の範囲で $f''(x) > 0$ を満たし、また奇関数である条件も満たしている。 逆にこの関数が条件を満たすか確認すると、
$$ \begin{aligned} S &= a(2 a^3 + c a) - 2 \int_0^a (2 x^3 + c x) dx \\ &= 2 a^4 + c a^2 - 2 \left[ \frac{1}{2} x^4 + \frac{1}{2} c x^2 \right]_0^a \\ &= 2 a^4 + c a^2 - (a^4 + c a^2) = a^4 \end{aligned} $$
となり、題意を満たす。 よって、求める多項式は $f(x) = 2 x^3 + c x$ ($c$ は任意の実数)である。
解説
(1) は差の関数を微分し、導関数の性質から増減を調べる定石問題です。「奇関数」と「$x>0$ で下に凸」という性質から、導関数 $f'(x)$ が偶関数であり $x \ge 0$ で単調増加することを見抜けるかがポイントになります。 (2) は定積分の置換積分と奇関数の性質を利用して面積の式を簡略化し、積分方程式に帰着させる問題です。被積分関数に $x-a$ が含まれている場合、そのまま微分するのではなく、変数を分離するか置換積分で被積分関数から変数を追い出すのがセオリーです。積分方程式を微分したのち、両辺を $a^2$ で割って商の微分法の逆算を利用する手順も頻出のテクニックです。
答え
(1) 略(解説の通り)
(2) $f(x) = 2 x^3 + c x \quad (c \text{ は任意の実数})$
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