九州大学 1968年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1) は連立不等式が表す領域を図示する問題である。各不等式の境界線となる直線と円の方程式を整理し、それらの交点と円の位置関係を正確に調べる。 (2) は線形計画法の典型問題である。$x+y=k$ とおき、これを傾き $-1$、 $y$ 切片 $k$ の直線 $y = -x + k$ と見なす。この直線が (1) で求めた領域と共有点をもつ範囲で平行移動させ、$k$ の最大値を考える。境界線の傾きと直線の傾きを比較することがポイントとなる。
解法1
(1)
与えられた不等式を以下のように①〜④とする。
$$\begin{cases} 4x + 5y \leqq 4 \cdots\cdots \text{①} \\ 4x + y \leqq 2 \cdots\cdots \text{②} \\ x + 2y \geqq 1 \cdots\cdots \text{③} \\ \left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + \left(y - \frac{1}{2}\right)^2 \leqq \frac{1}{4} \cdots\cdots \text{④} \end{cases}$$
それぞれの境界線を直線 $l_1, l_2, l_3$ および円 $C$ とおく。
$$l_1: y = -\frac{4}{5}x + \frac{4}{5}$$
$$l_2: y = -4x + 2$$
$$l_3: y = -\frac{1}{2}x + \frac{1}{2}$$
$$C: \left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + \left(y - \frac{1}{2}\right)^2 = \frac{1}{4}$$
直線の交点を求める。 $l_1$ と $l_2$ の交点 $A$ は、連立方程式を解いて $x = \frac{3}{8}, y = \frac{1}{2}$ より $A\left(\frac{3}{8}, \frac{1}{2}\right)$。 $l_2$ と $l_3$ の交点 $B$ は、連立方程式を解いて $x = \frac{3}{7}, y = \frac{2}{7}$ より $B\left(\frac{3}{7}, \frac{2}{7}\right)$。
これら交点 $A, B$ が円 $C$ の内部にあるか確認する。 点 $A$ について、④の左辺に代入すると、
$$\left(\frac{3}{8} - \frac{1}{2}\right)^2 + \left(\frac{1}{2} - \frac{1}{2}\right)^2 = \left(-\frac{1}{8}\right)^2 = \frac{1}{64} < \frac{1}{4}$$
点 $B$ について、④の左辺に代入すると、
$$\left(\frac{3}{7} - \frac{1}{2}\right)^2 + \left(\frac{2}{7} - \frac{1}{2}\right)^2 = \left(-\frac{1}{14}\right)^2 + \left(-\frac{3}{14}\right)^2 = \frac{10}{196} < \frac{1}{4}$$
よって、点 $A$ と点 $B$ はともに円 $C$ の内部(領域内)にある。
次に、直線 $l_3$ と円 $C$ の交点を求める。 $x = 1 - 2y$ を円 $C$ の方程式に代入する。
$$\left(\frac{1}{2} - 2y\right)^2 + \left(y - \frac{1}{2}\right)^2 = \frac{1}{4}$$
展開して整理すると、
$$\frac{1}{4} - 2y + 4y^2 + y^2 - y + \frac{1}{4} = \frac{1}{4}$$
$$5y^2 - 3y + \frac{1}{4} = 0$$
$$20y^2 - 12y + 1 = 0$$
$$(10y - 1)(2y - 1) = 0$$
これより $y = \frac{1}{10}, \frac{1}{2}$ を得る。 $y = \frac{1}{2}$ のとき $x = 0$ となり、点 $D\left(0, \frac{1}{2}\right)$ となる。 $y = \frac{1}{10}$ のとき $x = \frac{4}{5}$ となるが、点 $\left(\frac{4}{5}, \frac{1}{10}\right)$ においては $4x+y = \frac{16}{5} + \frac{1}{10} = 3.3 > 2$ となり、条件②を満たさない。 したがって、領域の境界となる交点は $D\left(0, \frac{1}{2}\right)$ である。点 $D$ は①、②の条件も満たしている。
また、円 $C$ は $x = 0$ に点 $D\left(0, \frac{1}{2}\right)$ で接しており、この点から円周上を第1象限へ進むと、条件を満たしながら直線 $l_1$ と交わる点 $E$ が存在する。
以上より、4つの条件を同時に満たす領域は、点 $A\left(\frac{3}{8}, \frac{1}{2}\right)$、点 $B\left(\frac{3}{7}, \frac{2}{7}\right)$、点 $D\left(0, \frac{1}{2}\right)$、および円 $C$ と直線 $l_1$ の交点 $E$ を頂点とし、線分 $AB$、線分 $BD$、円弧 $DE$、線分 $EA$ で囲まれた内部(境界線を含む)となる。
(2)
$x+y = k$ とおく。
$$y = -x + k$$
これは傾き $-1$、 $y$ 切片 $k$ の直線である。この直線が (1) で求めた領域と共有点をもつとき、$k$ の最大値を求める。
領域の上側の境界線となる線分 $EA$(直線 $l_1$)と線分 $AB$(直線 $l_2$)の傾きを調べる。 直線 $l_1$ の傾きは $-\frac{4}{5}$、直線 $l_2$ の傾きは $-4$ である。 直線 $y = -x + k$ の傾き $-1$ と比較すると、
$$-4 < -1 < -\frac{4}{5}$$
という関係が成り立つ。これは、直線 $y = -x + k$ を領域と共有点をもつ範囲でできるだけ上方に平行移動させたとき、直線 $l_1$ と $l_2$ の交点である点 $A\left(\frac{3}{8}, \frac{1}{2}\right)$ で接することを示している。
念のため、円弧 $DE$ 上に傾き $-1$ の接線をもつ接点が存在するか確認する。 円 $C$ 上の点における接線の傾きが $-1$ になるのは、その点と円の中心 $\left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}\right)$ を結ぶ直線の傾きが $1$ となるときである。 そのような接点は $\left(\frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{2}}{4}, \frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{2}}{4}\right)$ であるが、第1象限側の点 $\left(\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{2}}{4}, \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{2}}{4}\right)$ は $x > \frac{1}{2}$ であり、明らかに直線 $l_1$ の領域外(右側)にある。
したがって、$y = -x + k$ が領域と共有点をもつような $k$ が最大となるのは、直線が点 $A\left(\frac{3}{8}, \frac{1}{2}\right)$ を通るときである。
最大値 $k$ は、
$$k = \frac{3}{8} + \frac{1}{2} = \frac{7}{8}$$
となる。
解説
複数の1次不等式と円の不等式からなる領域を図示する問題である。境界となる図形が多いため、交点を正確に求め、各交点がすべての不等式の条件を満たしているか(領域内に含まれるか)を地道に確認していく必要がある。特に、円と直線の交点や、直線の交点が円の内部にあるかどうかの判定が領域の形を決定するカギとなる。 (2) では、$k = x+y$ の直線の傾きと、領域の境界をなす直線の傾きを比較することで、視覚的・論理的に最大値をとる頂点を素早く特定できる。円弧部分での最大値の可能性を排除する論証も忘れないようにしたい。
答え
(1) 点 $A\left(\frac{3}{8}, \frac{1}{2}\right)$、点 $B\left(\frac{3}{7}, \frac{2}{7}\right)$、点 $D\left(0, \frac{1}{2}\right)$ とし、円 $C: \left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + \left(y - \frac{1}{2}\right)^2 = \frac{1}{4}$ と直線 $4x + 5y = 4$ の交点のうち $x < \frac{3}{8}$ を満たすものを $E$ とする。 求める領域は、線分 $AB$、線分 $BD$、円弧 $DE$(円 $C$ の一部)、および線分 $EA$ によって囲まれた図形の内部である(境界線を含む)。
(2) $\frac{7}{8}$
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