東北大学 2022年 文系 第3問 解説

方針・初手
直線 $l:ax+by-2=0$ に対して、条件をそのまま $a,b$ の不等式に直す。
原点と直線の距離は公式で表せる。また、$x=1$ との交点の $y$ 座標は $x=1$ を代入すれば求まる。これにより、$(a,b)$ の範囲 $D$ は $ab$ 平面上の図形として表せる。
(2) は、その範囲内で一次式 $3a+2b$ の最大値を求める問題である。$a^2+b^2\leqq 1$ があるので、コーシー・シュワルツの不等式を使うのが最も速い。
解法1
まず、直線 $l:ax+by-2=0$ と原点との距離は
$$ \frac{| -2|}{\sqrt{a^2+b^2}}=\frac{2}{\sqrt{a^2+b^2}} $$
である。
これが $2$ 以上であるから、
$$ \frac{2}{\sqrt{a^2+b^2}}\geqq 2 $$
より
$$ \sqrt{a^2+b^2}\leqq 1 $$
したがって
$$ a^2+b^2\leqq 1 $$
を得る。
次に、直線 $l$ と直線 $x=1$ の交点の $y$ 座標を求める。$x=1$ を代入すると
$$ a+by-2=0 $$
より
$$ y=\frac{2-a}{b} $$
である。これが $2$ 以上であるから、$b>0$ に注意して
$$ \frac{2-a}{b}\geqq 2 $$
すなわち
$$ 2-a\geqq 2b $$
であり、
$$ a+2b\leqq 2 $$
を得る。
よって、求める範囲 $D$ は
$$ D={(a,b)\mid a>0,\ b>0,\ a^2+b^2\leqq 1,\ a+2b\leqq 2} $$
である。
これを $ab$ 平面に図示すると、第1象限において、円
$$ a^2+b^2=1 $$
の内部と、直線
$$ a+2b=2 $$
の下側との共通部分である。
境界の交点を確認すると、
$$ \begin{aligned} a^2+b^2&=1,\\ a+2b&=2 \end{aligned} $$
より、$a=2-2b$ を代入して
$$ (2-2b)^2+b^2=1 $$
$$ 5b^2-8b+3=0 $$
となるので、
$$ b=1,\ \frac35 $$
である。対応する $a$ は
$$ a=0,\ \frac45 $$
だから、交点は $(0,1)$ と $\left(\frac45,\frac35\right)$ である。
ただし $a,b$ は正であるから、軸上の点は含まれない。したがって、境界は $\left(\frac45,\frac35\right)$ から $(1,0)$ に向かう円弧と、 $(0,1)$ から $\left(\frac45,\frac35\right)$ に向かう線分で与えられる。ただし $(0,1),(1,0)$ は含まれない。
次に、$D$ 上で $3a+2b$ の最大値を求める。
コーシー・シュワルツの不等式より、
$$ (3a+2b)^2\leqq (3^2+2^2)(a^2+b^2)=13(a^2+b^2) $$
である。$D$ では $a^2+b^2\leqq 1$ だから、
$$ (3a+2b)^2\leqq 13 $$
したがって
$$ 3a+2b\leqq \sqrt{13} $$
である。
等号成立は、
$$ (a,b)=k(3,2) $$
かつ
$$ a^2+b^2=1 $$
のときである。よって
$$ k=\frac1{\sqrt{13}} $$
となり、
$$ (a,b)=\left(\frac3{\sqrt{13}},\frac2{\sqrt{13}}\right) $$
である。
この点が本当に $D$ に属することを確かめると、
$$ a+2b=\frac3{\sqrt{13}}+\frac4{\sqrt{13}}=\frac7{\sqrt{13}}<2 $$
であるから条件を満たす。
よって、$3a+2b$ を最大にするのは
$$ (a,b)=\left(\frac3{\sqrt{13}},\frac2{\sqrt{13}}\right) $$
であり、その最大値は
$$ \sqrt{13} $$
である。
解説
(1) は図形的に見えても、まず条件を式に直すのが基本である。距離条件は $a^2+b^2\leqq 1$、交点の条件は $a+2b\leqq 2$ となり、$ab$ 平面での領域の問題に変わる。
(2) は一次式の最大値なので、境界を追う解き方もできるが、この問題では $a^2+b^2\leqq 1$ があるため、$3a+2b$ を内積と見てコーシー・シュワルツを使うのが最短である。等号成立条件まで確認すれば、最大値を与える点も同時に決まる。
答え
$$ D={(a,b)\mid a>0,\ b>0,\ a^2+b^2\leqq 1,\ a+2b\leqq 2} $$
すなわち、第1象限における円 $a^2+b^2=1$ の内部と直線 $a+2b=2$ の下側との共通部分である。
また、
$$ 3a+2b $$
を最大にするのは
$$ (a,b)=\left(\frac3{\sqrt{13}},\frac2{\sqrt{13}}\right) $$
であり、最大値は
$$ \sqrt{13} $$
である。
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