九州大学 1975年 文系 第5問 解説

方針・初手
曲線と直線の交点の $x$ 座標を求め、グラフの上下関係を把握する。 求める面積 $S_m$ は、図形を直接積分するよりも、放物線と直線 $y=\frac{m}{2}x$ で囲まれる面積から、放物線と直線 $y=mx$ で囲まれる面積を引く「面積の差」として計算すると簡潔に求まる。 また、面積の計算には $\frac{1}{6}$ 公式を利用する。 続く小問では、$S_m$ を $m$ の関数として微分し、増減表をかいて最大値を与える $m$ を求める。
解法1
(1)
曲線 $C: y=x(1-x)$ と 直線 $l_1: y=mx$ の交点の $x$ 座標は、
$$x(1-x) = mx$$
$$x^2 + (m-1)x = 0$$
これを解いて、$x = 0, 1-m$ を得る。
同様に、曲線 $C$ と 直線 $l_2: y=\frac{m}{2}x$ の交点の $x$ 座標は、
$$x(1-x) = \frac{m}{2}x$$
$$x^2 + \left(\frac{m}{2}-1\right)x = 0$$
これを解いて、$x = 0, 1-\frac{m}{2}$ を得る。
条件より $0 < m < 1$ であるから、
$$0 < 1-m < 1-\frac{m}{2} < 1$$
が成り立つ。 また、$x>0$ において 直線 $l_1$ は 直線 $l_2$ の上側にある。 したがって、曲線 $C$ と 2直線 $l_1, l_2$ で囲まれる領域は、曲線 $C$ と 直線 $l_2$ で囲まれる図形から、曲線 $C$ と 直線 $l_1$ で囲まれる図形を除いた部分となる。
よって、求める面積 $S_m$ は次のように計算できる。
$$\begin{aligned} S_m &= \int_{0}^{1-\frac{m}{2}} \left\{ x(1-x) - \frac{m}{2}x \right\} dx - \int_{0}^{1-m} \{ x(1-x) - mx \} dx \\ &= \int_{0}^{1-\frac{m}{2}} -x\left\{ x - \left(1-\frac{m}{2}\right) \right\} dx - \int_{0}^{1-m} -x\{ x - (1-m) \} dx \\ &= \frac{1}{6} \left( 1-\frac{m}{2} \right)^3 - \frac{1}{6} (1-m)^3 \\ &= \frac{1}{6} \left\{ \left( 1 - \frac{3}{2}m + \frac{3}{4}m^2 - \frac{1}{8}m^3 \right) - (1 - 3m + 3m^2 - m^3) \right\} \\ &= \frac{1}{6} \left( \frac{7}{8}m^3 - \frac{9}{4}m^2 + \frac{3}{2}m \right) \\ &= \frac{7}{48}m^3 - \frac{3}{8}m^2 + \frac{1}{4}m \end{aligned}$$
(2)
(1) で求めた $S_m$ を $m$ について微分する。
$$\begin{aligned} S_m' &= \frac{7}{16}m^2 - \frac{3}{4}m + \frac{1}{4} \\ &= \frac{1}{16} (7m^2 - 12m + 4) \end{aligned}$$
$S_m' = 0$ とすると、$7m^2 - 12m + 4 = 0$ である。 解の公式より、
$$m = \frac{6 \pm \sqrt{36 - 28}}{7} = \frac{6 \pm 2\sqrt{2}}{7}$$
ここで、$0 < m < 1$ における解を吟味する。 $2 < 2\sqrt{2} = \sqrt{8} < 3$ より、$3 < 6 - 2\sqrt{2} < 4$ であるから、
$$\frac{3}{7} < \frac{6 - 2\sqrt{2}}{7} < \frac{4}{7}$$
となり、これは $0 < m < 1$ を満たす。 一方、$8 < 6 + 2\sqrt{2} < 9$ であるから、$\frac{6 + 2\sqrt{2}}{7} > 1$ となり不適である。
したがって、$0 < m < 1$ における $S_m$ の増減表は次のようになる。
| $m$ | $0$ | $\cdots$ | $\frac{6-2\sqrt{2}}{7}$ | $\cdots$ | $1$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $S_m'$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $S_m$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ |
増減表より、$S_m$ を最大にするような $m$ は $m = \frac{6 - 2\sqrt{2}}{7}$ である。
解説
面積計算において、グラフの上下関係を正確に把握することが重要である。領域を分割して積分区間を分けて計算することも可能だが、本問のように「2つの弓形の面積の差」と捉えることで、$\frac{1}{6}$ 公式を利用して計算の手間とミスを大幅に減らすことができる。 また、微分の計算後、極値をとる $m$ の値が定義域 $0 < m < 1$ に含まれるかどうかの評価を必ず行うこと。$\sqrt{8}$ のおよその値を評価すれば容易に判断できる。
答え
(1) $S_m = \frac{7}{48}m^3 - \frac{3}{8}m^2 + \frac{1}{4}m$
(2) $m = \frac{6 - 2\sqrt{2}}{7}$
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