九州大学 1985年 文系 第2問 解説

方針・初手
各直線が通る点と方向ベクトルを読み取り、3直線が同一平面上にある条件を考えます。直線が通る3点から平面の方程式(法線ベクトル)を決定し、各直線の方向ベクトルがその平面の法線ベクトルと垂直になる条件を立式して $a$ を求めます。(2)では法線ベクトル同士のなす角から平面のなす角を計算します。
解法1
(1)
直線 $l_1, l_2, l_3$ の方向ベクトルをそれぞれ $\vec{d_1}, \vec{d_2}, \vec{d_3}$ とすると、与式から
$$\begin{aligned} \vec{d_1} &= (3, -5, 2) \\ \vec{d_2} &= (a^3, -2a, 1) \\ \vec{d_3} &= (-2a^2, 1, a^3) \end{aligned}$$
である。また、直線 $l_1, l_2, l_3$ はそれぞれ点 $P_1(2, 3, 4)$, $P_2(3, 4, 2)$, $P_3(4, 2, 3)$ を通る。
3点 $P_1, P_2, P_3$ は、
$$\begin{aligned} \vec{P_1P_2} &= (1, 1, -2) \\ \vec{P_1P_3} &= (2, -1, -1) \end{aligned}$$
となり、$\vec{P_1P_2} \neq k\vec{P_1P_3}$ となる実数 $k$ は存在しないから同一直線上になく、1つの平面 $\alpha$ を決定する。
3直線 $l_1, l_2, l_3$ が同一平面上にあるならば、その平面は $\alpha$ と一致する。 平面 $\alpha$ の法線ベクトルを $\vec{n} = (p, q, r)$ ($\vec{n} \neq \vec{0}$)とすると、$\vec{n}$ は $\vec{P_1P_2}$ および $\vec{P_1P_3}$ と垂直であるから、内積が $0$ となる。
$$\begin{cases} p + q - 2r = 0 \\ 2p - q - r = 0 \end{cases}$$
この連立方程式を解くと、$3p - 3r = 0$ より $p = r$。これを代入して $q = r$。 よって、$p = q = r$ であり、法線ベクトルの一つとして $\vec{n} = (1, 1, 1)$ がとれる。
直線 $l_1, l_2, l_3$ が平面 $\alpha$ 上にある条件は、各直線が $\alpha$ 上の点を通ることと、それぞれの方向ベクトルが $\vec{n}$ と垂直になることである。通る点についてはすでに $\alpha$ 上にあるように平面を定めたため、方向ベクトルの条件を考えればよい。 $\vec{d_1} \cdot \vec{n} = 3 - 5 + 2 = 0$ より、$l_1$ は $\alpha$ 上にある。
$l_2$ が $\alpha$ 上にある条件は $\vec{d_2} \cdot \vec{n} = 0$ より
$$a^3 - 2a + 1 = 0 \quad \cdots \text{①}$$
$l_3$ が $\alpha$ 上にある条件は $\vec{d_3} \cdot \vec{n} = 0$ より
$$-2a^2 + 1 + a^3 = 0 \quad \cdots \text{②}$$
① $-$ ② より
$$2a^2 - 2a = 0$$
$$2a(a - 1) = 0$$
ゆえに $a = 0, 1$ である。 $a = 0$ のとき、①は $1 = 0$ となり不適である。 $a = 1$ のとき、①は $1 - 2 + 1 = 0$、②は $-2 + 1 + 1 = 0$ となり、ともに成り立つ。
このとき $\vec{d_1} = (3, -5, 2)$, $\vec{d_2} = (1, -2, 1)$, $\vec{d_3} = (-2, 1, 1)$ となり、これらは互いに平行ではないため、3直線は交わる異なる直線として平面 $\alpha$ 上に存在する。
よって、求める $a$ の値は $a = 1$ である。
(2)
(1)より、平面 $\alpha$ の法線ベクトルは $\vec{n} = (1, 1, 1)$ である。 $xy$ 平面の法線ベクトルは $\vec{k} = (0, 0, 1)$ である。
平面 $\alpha$ と $xy$ 平面のなす角 $\theta$ $\left(0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}\right)$ は、2つの法線ベクトルのなす鋭角に等しいから、
$$\cos\theta = \frac{|\vec{n} \cdot \vec{k}|}{|\vec{n}||\vec{k}|} = \frac{1}{\sqrt{1^2 + 1^2 + 1^2} \sqrt{1^2}} = \frac{1}{\sqrt{3}}$$
$0 \leqq \theta \leqq \frac{\pi}{2}$ であるから、
$$\sin\theta = \sqrt{1 - \cos^2\theta} = \sqrt{1 - \frac{1}{3}} = \sqrt{\frac{2}{3}}$$
したがって、
$$\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta} = \sqrt{2}$$
求める値は $\tan 2\theta$ であるから、正接の2倍角の公式より
$$\tan 2\theta = \frac{2\tan\theta}{1 - \tan^2\theta} = \frac{2\sqrt{2}}{1 - (\sqrt{2})^2} = \frac{2\sqrt{2}}{1 - 2} = -2\sqrt{2}$$
解説
空間における直線と平面の扱い方が問われる標準的な問題です。 直線が平面に含まれるための条件は、「直線上の1点が平面上にあること」かつ「直線の方向ベクトルが平面の法線ベクトルと垂直であること」です。本問では、各直線が通る定点がわかりやすいため、そこから直ちに平面を決定できるという見通しを立てることが重要です。また、(2)の「2平面のなす角」は「法線ベクトル同士のなす角」として処理するのが空間図形の定石です。
答え
(1)
$$a = 1$$
(2)
$$\tan 2\theta = -2\sqrt{2}$$
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