九州大学 1993年 文系 第4問 解説

方針・初手
(1) について、与えられた条件を数式に翻訳して連立方程式を立てる方針と、$x=2$ で極小値 $0$ をとるという条件から関数 $f(x)$ の形を因数定理を利用して設定する方針の2つが考えられる。ここでは両方のアプローチを示す。
(2) について、(1) で求めた $f(x)$ の式を利用して $f(x)=0$ となる $x$ を求め、積分区間とグラフの上下関係を把握してから定積分を計算する。
解法1
(1)
$f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ を微分すると
$$f'(x) = 3ax^2 + 2bx + c$$
$f(x)$ は $x=2$ で極小値 $0$ をとるので、$f(2) = 0$ かつ $f'(2) = 0$ である。
$$8a + 4b + 2c + d = 0$$
$$12a + 4b + c = 0$$
また、曲線 $y = f(x)$ は点 $(1, 3)$ を通るので、$f(1) = 3$ である。
$$a + b + c + d = 3$$
点 $(1, 3)$ における接線が点 $(0, 8)$ を通ることから、この接線の傾きは $f'(1)$ に等しい。変化の割合を計算すると
$$f'(1) = \frac{8 - 3}{0 - 1} = -5$$
これより、次の方程式が得られる。
$$3a + 2b + c = -5$$
第2式と第4式から $c$ を消去する。
$$12a + 4b + c - (3a + 2b + c) = 0 - (-5)$$
$$9a + 2b = 5$$
これより $b = \frac{5 - 9a}{2}$ となり、第4式に代入して $c$ を求める。
$$3a + 5 - 9a + c = -5$$
$$c = 6a - 10$$
次に、第1式から第3式を引いて $d$ を消去する。
$$7a + 3b + c = -3$$
ここに求めた $b$ と $c$ を代入する。
$$7a + 3 \cdot \frac{5 - 9a}{2} + (6a - 10) = -3$$
両辺を2倍して整理する。
$$14a + 15 - 27a + 12a - 20 = -6$$
$$-a = -1$$
よって $a = 1$ を得る。これを代入して残りの係数を求める。
$$b = \frac{5 - 9}{2} = -2$$
$$c = 6 - 10 = -4$$
第3式より $d = 3 - 1 - (-2) - (-4) = 8$ となる。 したがって、$f(x) = x^3 - 2x^2 - 4x + 8$ となる。 ここで、$f'(x) = 3x^2 - 4x - 4 = (3x+2)(x-2)$ となり、$x=2$ の前後で導関数の符号が負から正へ変化するため、確かに極小値をもつ。 よって、条件はすべて満たされる。
(2)
(1) より $f(x) = x^3 - 2x^2 - 4x + 8$ である。 $f(x) = 0$ を解くと、$f(x) = x^2(x - 2) - 4(x - 2) = (x^2 - 4)(x - 2) = (x+2)(x-2)^2 = 0$ となるため、$x = -2, 2$ である。 $-2 \leqq x \leqq 2$ の範囲において $f(x) \geqq 0$ であるから、求める面積 $S$ は次の定積分で計算できる。
$$S = \int_{-2}^{2} (x^3 - 2x^2 - 4x + 8) dx$$
積分区間が原点に対して対称であるため、奇関数と偶関数の性質($\int_{-a}^{a} x^{\text{奇数}} dx = 0, \int_{-a}^{a} x^{\text{偶数}} dx = 2\int_{0}^{a} x^{\text{偶数}} dx$)を利用する。
$$\begin{aligned} S &= 2 \int_{0}^{2} (- 2x^2 + 8) dx \\ &= 2 \left[ - \frac{2}{3}x^3 + 8x \right]_{0}^{2} \\ &= 2 \left( - \frac{16}{3} + 16 \right) \\ &= \frac{64}{3} \end{aligned}$$
解法2
(1) について、因数定理を用いた別解を示す。
$f(x)$ は3次関数であり、$x=2$ で極小値 $0$ をとることから、曲線 $y=f(x)$ は $x=2$ で $x$ 軸に接する。 よって、$f(x)$ は $(x-2)^2$ を因数にもち、次のように表すことができる。
$$f(x) = (x-2)^2(ax + p)$$
$f(1) = 3$ であるから、代入すると
$$(1-2)^2(a \cdot 1 + p) = 3$$
$$p = 3 - a$$
これにより、$f(x) = (x-2)^2(ax - a + 3)$ となる。これを積の微分法を用いて微分する。
$$\begin{aligned} f'(x) &= 2(x-2)(ax - a + 3) + (x-2)^2 \cdot a \\ &= (x-2) \{ 2(ax - a + 3) + a(x-2) \} \\ &= (x-2) (3ax - 4a + 6) \end{aligned}$$
点 $(1, 3)$ における接線が点 $(0, 8)$ を通るため、$f'(1) = \frac{8 - 3}{0 - 1} = -5$ である。
$$\begin{aligned} f'(1) &= (1-2)(3a - 4a + 6) \\ &= a - 6 \end{aligned}$$
これが $-5$ となるので、$a - 6 = -5$ より $a = 1$ を得る。 このとき $p = 2$ となるため、$f(x)$ は次のように展開できる。
$$\begin{aligned} f(x) &= (x-2)^2(x + 2) \\ &= (x^2 - 4x + 4)(x + 2) \\ &= x^3 - 2x^2 - 4x + 8 \end{aligned}$$
この関数は $f'(x) = (x-2)(3x + 2)$ となり、$x=2$ の前後で導関数の符号が負から正に変わるため極小値をとる条件を満たす。 元の式 $f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ の係数を比較して、$a=1, b=-2, c=-4, d=8$ となる。
解説
(1) は微分法を用いた未定係数決定の典型的な問題である。条件を素直に立式して連立方程式を解く方法(解法1)が基本だが、「極値が $0$ である」という条件から関数が平方の因数 $(x-\alpha)^2$ をもつことに気づけば、解法2のように計算量を大幅に削減できる。また、極値をもつ条件として $f'(x)=0$ を満たすだけでなく、その前後で導関数の符号が変化すること(増減表による確認)を記述で落とさないように注意したい。 (2) は3次関数と $x$ 軸で囲まれた面積の計算である。積分区間が対称であることを利用し、偶関数・奇関数の性質を使って計算ミスを防ぐ工夫が有効である。
答え
(1) $a=1, b=-2, c=-4, d=8$ (2) $\frac{64}{3}$
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