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大阪大学 1994年 文系 第2問 解説

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大阪大学 1994年 文系 第2問 解説

方針・初手

反射の法則である「入射角と反射角が等しい」という条件を、数式でどのように表現するかがポイントになる。 本問では、入射光線の方向(直線 $l$)と反射光線の方向($y$ 軸に平行)が分かっているため、以下の2つのアプローチが考えられる。 1つ目は、方向ベクトルを設定し、接線の方向ベクトルとなす角の余弦($\cos$)が等しいことを内積を用いて立式する方法である。 2つ目は、直線が $x$ 軸の正の向きとなす角を文字でおき、角度の等式から正接($\tan$)の加法定理を用いて方程式を立てる方法である。 (1) で $a$ の値を求めた後は、(2) は基本的な定積分による面積計算となる。

解法1

(1)

点 $Q\left(a, \frac{a^3}{\sqrt{3}}\right)$ は第1象限の点であるから、$a > 0$ である。 曲線 $C: y = \frac{1}{\sqrt{3}}x^3$ を微分すると $y' = \sqrt{3}x^2$ となるため、点 $Q$ における $C$ の接線 $m$ の方向ベクトルの1つとして

$$ \vec{u} = (1, \sqrt{3}a^2) $$

がとれる。

入射光線は直線 $l$ に沿って原点から $Q$ へ向かって進む。その進行方向を表すベクトル $\vec{v}_1$ として、$\vec{OQ} = \left(a, \frac{a^3}{\sqrt{3}}\right) = \frac{a}{\sqrt{3}}(\sqrt{3}, a^2)$ と同じ向きのベクトルである

$$ \vec{v}_1 = (\sqrt{3}, a^2) $$

をとる。

また、反射後の点 $P$ の進行方向は $y$ 軸と平行である。点 $Q$ は第1象限にあり、$P$ は原点から $C$ の内側(上側)を通って $Q$ に到達し反射するため、反射光線も $y$ 軸の正の向きに進む。したがって、その進行方向を表すベクトル $\vec{v}_2$ として

$$ \vec{v}_2 = (0, 1) $$

をとる。

反射の法則「接線に対し、入射角と反射角は等しい」は、入射光線と接線 $m$ のなす鋭角と、反射光線と接線 $m$ のなす鋭角が等しいことと同値である。 したがって、各方向ベクトルと接線の方向ベクトルがなす角の余弦の絶対値が等しくなるから、

$$ \frac{|\vec{v}_1 \cdot \vec{u}|}{|\vec{v}_1||\vec{u}|} = \frac{|\vec{v}_2 \cdot \vec{u}|}{|\vec{v}_2||\vec{u}|} $$

が成り立つ。

それぞれの成分を計算すると、

$$ \vec{v}_1 \cdot \vec{u} = \sqrt{3} \cdot 1 + a^2 \cdot \sqrt{3}a^2 = \sqrt{3}(1 + a^4) > 0 $$

$$ \vec{v}_2 \cdot \vec{u} = 0 \cdot 1 + 1 \cdot \sqrt{3}a^2 = \sqrt{3}a^2 > 0 $$

$$ |\vec{v}_1| = \sqrt{(\sqrt{3})^2 + (a^2)^2} = \sqrt{3 + a^4} $$

$$ |\vec{v}_2| = \sqrt{0^2 + 1^2} = 1 $$

$$ |\vec{u}| = \sqrt{1^2 + (\sqrt{3}a^2)^2} = \sqrt{1 + 3a^4} $$

となる。これらを方程式に代入して整理する。

$$ \frac{\sqrt{3}(1 + a^4)}{\sqrt{3 + a^4}\sqrt{1 + 3a^4}} = \frac{\sqrt{3}a^2}{1 \cdot \sqrt{1 + 3a^4}} $$

両辺に $\frac{\sqrt{1 + 3a^4}}{\sqrt{3}}$ を掛けると、

$$ \frac{1 + a^4}{\sqrt{3 + a^4}} = a^2 $$

両辺ともに正であるから、2乗しても同値性が保たれる。

$$ \frac{(1 + a^4)^2}{3 + a^4} = a^4 $$

$$ (1 + a^4)^2 = a^4(3 + a^4) $$

$$ 1 + 2a^4 + a^8 = 3a^4 + a^8 $$

$$ 1 - a^4 = 0 $$

$$ (1 - a^2)(1 + a^2) = 0 $$

$a > 0$ であるから、$a^2 = 1$ より $a = 1$ を得る。

(2)

(1) の結果より、$a = 1$ である。 直線 $l$ は原点と点 $Q\left(1, \frac{1}{\sqrt{3}}\right)$ を通るため、その方程式は $y = \frac{1}{\sqrt{3}}x$ である。 曲線 $C$ の方程式は $y = \frac{1}{\sqrt{3}}x^3$ である。

これらが第1象限で交わる点の $x$ 座標は $x = 0$ と $x = 1$ であり、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において

$$ \frac{1}{\sqrt{3}}x - \frac{1}{\sqrt{3}}x^3 = \frac{1}{\sqrt{3}}x(1 - x^2) \geqq 0 $$

が成り立つため、直線 $l$ は曲線 $C$ の上側にある。

したがって、求める図形の面積 $S$ は

$$ \begin{aligned} S &= \int_{0}^{1} \left( \frac{1}{\sqrt{3}}x - \frac{1}{\sqrt{3}}x^3 \right) dx \\ &= \frac{1}{\sqrt{3}} \left[ \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{4}x^4 \right]_{0}^{1} \\ &= \frac{1}{\sqrt{3}} \left( \frac{1}{2} - \frac{1}{4} \right) \\ &= \frac{1}{4\sqrt{3}} \\ &= \frac{\sqrt{3}}{12} \end{aligned} $$

となる。

解法2

(1)の別解

直線 $l$ が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\alpha$、点 $Q$ における接線 $m$ が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\theta$ とおく。 直線 $l$ の傾きは $\frac{a^2}{\sqrt{3}}$、接線 $m$ の傾きは $\sqrt{3}a^2$ であるため、

$$ \tan \alpha = \frac{a^2}{\sqrt{3}} $$

$$ \tan \theta = \sqrt{3}a^2 $$

が成り立つ。$a > 0$ より傾きはともに正であるから、$0 < \alpha < \theta < \frac{\pi}{2}$ としてよい。

入射光線は直線 $l$ に沿って進むため、進行方向の角度は $\alpha$ である。 接線 $m$ の角度は $\theta$ であり、直線 $l$ と接線 $m$ のなす角は $\theta - \alpha$ となる。 一方、反射光線は $y$ 軸正の向きに進むため、進行方向の角度は $\frac{\pi}{2}$ である。 接線 $m$ と反射光線のなす角は $\frac{\pi}{2} - \theta$ となる。

反射の法則により、これら2つの角は等しいから

$$ \theta - \alpha = \frac{\pi}{2} - \theta $$

$$ 2\theta = \alpha + \frac{\pi}{2} $$

が成り立つ。

両辺の正接($\tan$)をとると、

$$ \tan 2\theta = \tan \left( \alpha + \frac{\pi}{2} \right) $$

$$ \tan 2\theta = -\frac{1}{\tan \alpha} $$

となる。ここに $\tan \alpha = \frac{a^2}{\sqrt{3}}$ と、加法定理による $\tan 2\theta = \frac{2\tan\theta}{1 - \tan^2\theta}$ を代入する。

$$ \frac{2\sqrt{3}a^2}{1 - (\sqrt{3}a^2)^2} = -\frac{\sqrt{3}}{a^2} $$

$$ \frac{2\sqrt{3}a^2}{1 - 3a^4} = -\frac{\sqrt{3}}{a^2} $$

両辺を $\sqrt{3}$ で割り、分母を払うと

$$ 2a^4 = -(1 - 3a^4) $$

$$ a^4 = 1 $$

$a > 0$ より $a = 1$ を得る。

解説

光線の反射を数学的に処理する典型的な問題である。反射の法則「入射角=反射角」の条件を扱う際、解法1のように「方向ベクトルと法線(あるいは接線)のなす角の $\cos$ が等しい」と内積を用いるか、解法2のように「直線の傾き角を文字で置き、$\tan$ の加法定理を利用する」かの2パターンの定石がある。 本問ではどちらを選んでも簡潔に解き進めることができるが、ベクトルの内積を用いた方が角度の範囲や符号の議論を減らせるため、論理的なミスを防ぎやすい。(2) の面積計算は極めて基本的な多項式の積分であるため、(1) を突破できたかどうかが完答の鍵となる。

答え

(1)

$$ a = 1 $$

(2)

$$ \frac{\sqrt{3}}{12} $$

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