九州大学 2021年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) では、放物線と直線の方程式を連立させて得られる2次方程式が重解をもつ条件(判別式 $D=0$)から、パラメータ $a$ の方程式を導き、それを解く。その際、$a$ が正の実数であるという条件を忘れずに考慮する。
(2) では、(1) で求めた $a$ の値を用いて放物線の方程式を確定させ、接点の座標を求める。求める面積は、放物線とその接線、および $y$軸に囲まれた領域であるため、定積分を用いて計算する。
解法1
(1)
放物線 $C: y = -x^2 - 2ax - a^3 + 10a$ と直線 $l: y = 8x + 6$ が接するための条件を求める。これらの方程式から $y$ を消去すると、
$$ -x^2 - 2ax - a^3 + 10a = 8x + 6 $$
整理して、
$$ x^2 + 2(a + 4)x + a^3 - 10a + 6 = 0 $$
放物線 $C$ と直線 $l$ が接するための条件は、この $x$ についての2次方程式が重解をもつことである。この2次方程式の判別式を $D$ とすると、$D = 0$ が成り立つので、
$$ \frac{D}{4} = (a + 4)^2 - (a^3 - 10a + 6) = 0 $$
これを展開して整理する。
$$ a^2 + 8a + 16 - a^3 + 10a - 6 = 0 $$
$$ a^3 - a^2 - 18a - 10 = 0 $$
因数定理を用いてこの3次方程式を解く。左辺に $a = 5$ を代入すると、$125 - 25 - 90 - 10 = 0$ となるため、左辺は $a - 5$ を因数にもつ。
$$ (a - 5)(a^2 + 4a + 2) = 0 $$
これを解くと、$a = 5, -2 \pm \sqrt{2}$ を得る。問題文より $a$ は正の実数であるため、$a > 0$ を満たすものを探す。
$-2 + \sqrt{2} < -2 + 1.5 = -0.5 < 0$ であり、$-2 - \sqrt{2} < 0$ であるから、正の解は $a = 5$ のみである。
(2)
(1) の結果より $a = 5$ である。このとき、連立した2次方程式は以下のようになる。
$$ x^2 + 2(5 + 4)x + 5^3 - 10 \cdot 5 + 6 = 0 $$
$$ x^2 + 18x + 81 = 0 $$
$$ (x + 9)^2 = 0 $$
よって、接点の $x$ 座標は $x = -9$ である。
放物線 $C$ は上に凸の放物線であり、$l$ はその接線であるため、すべての実数 $x$ において直線 $l$ は放物線 $C$ の上方(または接点)にある。
求める図形の面積 $S$ は、放物線 $C$、接線 $l$、および $y$軸(直線 $x = 0$)で囲まれた部分の面積であるから、積分区間は $-9 \leqq x \leqq 0$ となる。
$$ S = \int_{-9}^{0} \{ (8x + 6) - (-x^2 - 10x - 75) \} dx $$
被積分関数は先ほど求めた2次方程式の左辺と一致するため、$(x + 9)^2$ となる。
$$ S = \int_{-9}^{0} (x + 9)^2 dx $$
これを計算する。
$$ S = \left[ \frac{(x + 9)^3}{3} \right]_{-9}^{0} $$
$$ S = \frac{9^3}{3} - 0 $$
$$ S = \frac{729}{3} = 243 $$
解説
2次曲線とその接線に関する基本的な問題である。
(1) では、連立して得られる2次方程式の判別式を利用する定石通りの解法が最もシンプルである。導かれる3次方程式を解く際には、因数定理を用いて解を一つ見つける必要があるが、$a=5$ という比較的見つけやすい整数解が存在する。条件の「$a$ を正の実数とし」という記述を見落とさないように注意する。
(2) は放物線と接線、および縦の直線(ここでは $y$軸)で囲まれた図形の面積を求める問題である。定積分の被積分関数が $(x - \alpha)^2$ の形になるという性質($\alpha$ は接点の $x$ 座標)を利用すると、計算を大幅に簡略化できる。展開してから積分すると計算ミスを誘発しやすいため、塊のまま積分公式を利用するのが受験数学における重要なテクニックである。
答え
(1) $a = 5$
(2) $243$
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