大阪大学 1972年 理系 第6問 解説

方針・初手
関数 $f(x)$ に含まれる絶対値を外し、区間ごとのグラフの形状を明らかにする。 放物線 $y=g(x)$ の軸が $x=a$ であることから、$g(x) = p(x-a)^2 + q$ とおき、$f(x)$ のグラフがなす2つの直線部分とそれぞれ接する条件を立式する。それぞれの区間で接点を持つための条件から、定数 $p, q$ を $a$ を用いて表す。
解法1
(1)
関数 $f(x) = \frac{1}{2}(x+1-|x-1|)$ の絶対値を外す。
$x < 1$ のとき、$|x-1| = -(x-1)$ であるから、
$$ f(x) = \frac{1}{2} \{ x+1+(x-1) \} = x $$
$x \ge 1$ のとき、$|x-1| = x-1$ であるから、
$$ f(x) = \frac{1}{2} \{ x+1-(x-1) \} = 1 $$
すなわち、$y=f(x)$ のグラフは $x < 1$ において直線 $y=x$、$x \ge 1$ において直線 $y=1$ となる。
放物線 $y=g(x)$ は直線 $x=a$ を軸とするので、定数 $p, q$ (ただし $p \neq 0$)を用いて次のように表せる。
$$ g(x) = p(x-a)^2 + q $$
$y=g(x)$ のグラフが $y=f(x)$ のグラフと2点で接するためには、$x < 1$ で直線 $y=x$ と接し、かつ $x \ge 1$ で直線 $y=1$ と接する必要がある。
まず、$x \ge 1$ において $y=g(x)$ と $y=1$ が接する条件を考える。 方程式 $p(x-a)^2 + q = 1$ が重解をもつのは $q=1$ のときであり、その接点の $x$ 座標は $x=a$ となる。 この接点が $x \ge 1$ の範囲にある必要があるため、$a \ge 1$ でなければならない。
このとき、
$$ g(x) = p(x-a)^2 + 1 $$
次に、$x < 1$ において $y=g(x)$ と $y=x$ が接する条件を考える。
$$ p(x-a)^2 + 1 = x $$
$$ px^2 - (2pa+1)x + pa^2+1 = 0 $$
この $x$ についての2次方程式が重解をもつため、判別式を $D$ とすると $D=0$ となる。
$$ D = (2pa+1)^2 - 4p(pa^2+1) = 0 $$
$$ 4p^2a^2 + 4pa + 1 - 4p^2a^2 - 4p = 0 $$
$$ 4p(a-1) + 1 = 0 $$
ここで $a=1$ とすると $1=0$ となり矛盾するため、$a \neq 1$ である。 先ほどの $a \ge 1$ と合わせて $a > 1$ となる。 これを $p$ について解くと、
$$ p = -\frac{1}{4(a-1)} $$
このとき、接点の $x$ 座標は重解であり、
$$ x = \frac{2pa+1}{2p} = a + \frac{1}{2p} = a - 2(a-1) = 2-a $$
$a > 1$ より $2-a < 1$ となるため、接点は確かに $x < 1$ の範囲に存在する。 以上より、$g(x)$ は次のように定まる。
$$ g(x) = -\frac{1}{4(a-1)}(x-a)^2 + 1 \quad (a > 1) $$
(2)
$g(x)$ のグラフが $x$ 軸から切り取る線分の長さを求めるため、$g(x)=0$ を解く。
$$ -\frac{1}{4(a-1)}(x-a)^2 + 1 = 0 $$
$$ (x-a)^2 = 4(a-1) $$
$a > 1$ より $4(a-1) > 0$ であるから、
$$ x - a = \pm 2\sqrt{a-1} $$
$$ x = a \pm 2\sqrt{a-1} $$
切り取る線分の長さは、これら2つの解の差であるから、
$$ (a + 2\sqrt{a-1}) - (a - 2\sqrt{a-1}) = 4\sqrt{a-1} $$
(3)
2つのグラフの接点の $x$ 座標は $x = 2-a$ および $x = a$ である。 求める面積 $S$ は、区間 $2-a \le x \le a$ において $f(x)$ と $g(x)$ で囲まれた部分である。
ここで、$f(x)$ から $g(x)$ を引いた式を考える。 $x < 1$ のとき、
$$ f(x) - g(x) = x - \left\{ -\frac{1}{4(a-1)}(x-a)^2 + 1 \right\} = \frac{1}{4(a-1)} \{ x - (2-a) \}^2 $$
$x \ge 1$ のとき、
$$ f(x) - g(x) = 1 - \left\{ -\frac{1}{4(a-1)}(x-a)^2 + 1 \right\} = \frac{1}{4(a-1)} (x-a)^2 $$
これらは積分区間において常に $0$ 以上である。 $f(x)$ の定義が変わる $x=1$ を境に積分を分けて計算する。
$$ S = \int_{2-a}^{1} \frac{1}{4(a-1)} (x+a-2)^2 \, dx + \int_{1}^{a} \frac{1}{4(a-1)} (x-a)^2 \, dx $$
$$ S = \frac{1}{4(a-1)} \left[ \frac{(x+a-2)^3}{3} \right]_{2-a}^{1} + \frac{1}{4(a-1)} \left[ \frac{(x-a)^3}{3} \right]_{1}^{a} $$
$$ S = \frac{1}{12(a-1)} \left\{ (1+a-2)^3 - 0 \right\} + \frac{1}{12(a-1)} \left\{ 0 - (1-a)^3 \right\} $$
$$ S = \frac{(a-1)^3}{12(a-1)} - \frac{-(a-1)^3}{12(a-1)} $$
$$ S = \frac{(a-1)^2}{12} + \frac{(a-1)^2}{12} = \frac{(a-1)^2}{6} $$
解説
放物線と2直線が接する条件を適切に数式化する力が問われる標準的な微積分問題である。 接する条件を「判別式 $D=0$」で処理したが、微分法を用いて $g'(t)=1$, $g'(s)=0$ と連立しても同じ結果が得られる。 (3) の面積計算では、接点をもつ放物線と直線の差が $(x-\alpha)^2$ の形になるという性質(いわゆる接線公式)を利用することで、展開せずに $\frac{(x-\alpha)^3}{3}$ として積分を実行し、計算の負担とミスを減らすことができる。
答え
(1)
$$ g(x) = -\frac{1}{4(a-1)}(x-a)^2 + 1 \quad (a > 1) $$
(2)
$$ 4\sqrt{a-1} $$
(3)
$$ \frac{(a-1)^2}{6} $$
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