九州大学 2017年 文系 第1問 解説

方針・初手
- (1)は2つの放物線の共通接線を求める問題である。一方の放物線の接線を文字で置き、もう一方の放物線に接する条件(判別式 $D=0$)を考えるか、それぞれ上の点における接線が一致するという条件から連立方程式を立てる。
- (2)は放物線と2本の接線で囲まれた面積を求める。2つの放物線と接線はともに $y$ 軸に関して対称であるため、図形の対称性を生かして片側のみの定積分を計算して2倍するとよい。
解法1
(1)
直線 $y = mx + n$ が $C_1, C_2$ の両方に接するとする。 まず、この直線が $C_1$ に接する条件を求める。 $C_1$ の方程式 $y = 2x^2 + 1$ と $y = mx + n$ から $y$ を消去すると、
$$ 2x^2 - mx + 1 - n = 0 $$
この2次方程式が重解をもつので、判別式を $D_1$ とすると $D_1 = 0$ となる。
$$ D_1 = (-m)^2 - 4 \cdot 2 \cdot (1 - n) = m^2 - 8(1 - n) = 0 $$
よって、
$$ m^2 = 8(1 - n) \quad \cdots \text{①} $$
次に、直線が $C_2$ に接する条件を求める。 $C_2$ の方程式 $y = -x^2 + a$ と $y = mx + n$ から $y$ を消去すると、
$$ x^2 + mx + n - a = 0 $$
この2次方程式が重解をもつので、判別式を $D_2$ とすると $D_2 = 0$ となる。
$$ D_2 = m^2 - 4(n - a) = 0 $$
よって、
$$ m^2 = 4(n - a) \quad \cdots \text{②} $$
①、②より $m^2$ を消去して、
$$ 8(1 - n) = 4(n - a) $$
これを $n$ について解く。
$$ 2 - 2n = n - a $$
$$ 3n = a + 2 $$
$$ n = \frac{a + 2}{3} $$
このとき、②より $m^2$ の値は、
$$ m^2 = 4 \left( \frac{a + 2}{3} - a \right) = \frac{8(1 - a)}{3} $$
問題の条件より $a < 1$ であるから $1 - a > 0$ となり、$m^2 > 0$ を満たすため実数 $m$ が2つ存在する。
$$ m = \pm 2 \sqrt{\frac{2(1 - a)}{3}} = \pm \frac{2\sqrt{6(1 - a)}}{3} $$
以上より、求める接線の方程式は、
$$ y = \pm \frac{2\sqrt{6(1 - a)}}{3}x + \frac{a + 2}{3} $$
(2)
計算を簡略化するため、共通接線の傾きが $m > 0$ のときの接線の $C_1$ における接点の $x$ 座標を $s$ とおく。
$$ s = \frac{m}{4} > 0 $$
すると $m = 4s$ であり、$n$ は①より、
$$ n = 1 - \frac{m^2}{8} = 1 - 2s^2 $$
と表せる。したがって、傾きが正である接線の方程式は $y = 4sx - 2s^2 + 1$ となる。 また、対称性から、傾きが負の接線の方程式は $y = -4sx - 2s^2 + 1$ であり、これら2つの直線の交点は $y$ 軸上($x = 0$)にある。
まず $S_1$ を求める。 $C_1$ の接点の $x$ 座標は $\pm s$ であり、図形の対称性から区間 $0 \leqq x \leqq s$ の面積を2倍して計算する。
$$ S_1 = 2 \int_0^s \left\{ (2x^2 + 1) - (4sx - 2s^2 + 1) \right\} dx $$
$$ S_1 = 2 \int_0^s (2x^2 - 4sx + 2s^2) dx = 4 \int_0^s (x - s)^2 dx $$
$$ S_1 = 4 \left[ \frac{(x - s)^3}{3} \right]_0^s = 4 \left( 0 - \frac{-s^3}{3} \right) = \frac{4}{3} s^3 $$
次に $S_2$ を求める。 直線 $y = 4sx - 2s^2 + 1$ と $C_2 : y = -x^2 + a$ の接点の $x$ 座標を求める。 (1)の過程から $C_2$ 上の接点の $x$ 座標は、方程式 $x^2 + mx + n - a = 0$ の重解であるから $x = -\frac{m}{2} = -2s$ となる。 同様に、直線 $y = -4sx - 2s^2 + 1$ と $C_2$ の接点の $x$ 座標は $x = 2s$ となる。 $C_2$ と2本の接線で囲まれた図形も $y$ 軸対称であるから、区間 $0 \leqq x \leqq 2s$ の面積を2倍して計算する。
$$ S_2 = 2 \int_0^{2s} \left\{ (-4sx - 2s^2 + 1) - (-x^2 + a) \right\} dx $$
ここで接点の $x$ 座標が $2s$ であることから、被積分関数は $(x - 2s)^2$ となるように因数分解できる。
$$ S_2 = 2 \int_0^{2s} (x - 2s)^2 dx $$
$$ S_2 = 2 \left[ \frac{(x - 2s)^3}{3} \right]_0^{2s} = 2 \left( 0 - \frac{-8s^3}{3} \right) = \frac{16}{3} s^3 $$
したがって、求める面積の比は、
$$ \frac{S_2}{S_1} = \frac{\frac{16}{3} s^3}{\frac{4}{3} s^3} = 4 $$
解法2
(1)
$C_1$ 上の点 $(s, 2s^2 + 1)$ における接線の方程式を求める。 $y' = 4x$ より、接線の方程式は、
$$ y - (2s^2 + 1) = 4s(x - s) $$
$$ y = 4sx - 2s^2 + 1 \quad \cdots \text{③} $$
$C_2$ 上の点 $(t, -t^2 + a)$ における接線の方程式を求める。 $y' = -2x$ より、接線の方程式は、
$$ y - (-t^2 + a) = -2t(x - t) $$
$$ y = -2tx + t^2 + a \quad \cdots \text{④} $$
③、④が同一の直線を表すとき、係数を比較して、
$$ \begin{cases} 4s = -2t \\ -2s^2 + 1 = t^2 + a \end{cases} $$
第1式より $t = -2s$。これを第2式に代入して、
$$ -2s^2 + 1 = (-2s)^2 + a $$
$$ -2s^2 + 1 = 4s^2 + a $$
$$ 6s^2 = 1 - a $$
$$ s^2 = \frac{1 - a}{6} $$
問題の条件より $a < 1$ なので $1 - a > 0$ であり、実数 $s$ が存在する。
$$ s = \pm \sqrt{\frac{1 - a}{6}} $$
これを③に代入して、求める接線の方程式は、
$$ y = \pm 4 \sqrt{\frac{1 - a}{6}} x - 2 \left( \frac{1 - a}{6} \right) + 1 $$
$$ y = \pm \frac{2\sqrt{6(1 - a)}}{3} x + \frac{a + 2}{3} $$
解説
2つの放物線の共通接線を求める典型的な問題と、放物線と接線で囲まれた面積を計算する問題の融合です。 (1)では、どちらの解法(判別式を用いる方法、接点を文字でおいて係数比較する方法)でも解くことができます。 (2)では、接点の $x$ 座標を $a$ の式でそのまま代入して積分を計算しようとすると、式が複雑になり計算ミスを誘発しやすくなります。そこで、「解法1」で示したように接点の $x$ 座標を文字 $s$ などでおいたまま定積分を計算すると、非常に見通し良く計算できます。また、放物線と2本の接線で囲まれた面積であるため、$y$ 軸対称性を活かすことや、被積分関数が必ず $(x-\alpha)^2$ の形になることを意識すると、安全に計算を進めることができます。
答え
(1) $y = \pm \frac{2\sqrt{6(1 - a)}}{3} x + \frac{a + 2}{3}$
(2) $\frac{S_2}{S_1} = 4$
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