大阪大学 2011年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) は放物線が点 $(0,1)$ を通る条件から $q$ を $p$ で表し、直線 $y=x$ と接する条件から判別式を用いて $p$ を決定する。接点の $x$ 座標が正となるものを選択する。
(2) は $f_1(x) < f_2(x)$ を示すために、差の関数 $g(x) = f_2(x) - f_1(x)$ を考える。放物線の2次の係数が等しいため、$g(x)$ が1次以下の関数となることに着目する。
(3) は (2) の誘導を活かす問題である。放物線 $y=f(x)$ と折れ線 $L$ が共有点を持たない条件を、両端 $x=0, 1$ での $y$ 座標の条件に帰着させる。そこから $(p, q)$ の存在条件を $p$ についての1次不等式として立式し、逆像法によって $(x, y)$ の満たすべき領域を求める。
解法1
(1)
放物線 $y=f(x)$ は $f(x) = (x-p)^2 + q$ である。 これが点 $(0, 1)$ を通るから、
$$ f(0) = p^2 + q = 1 $$
よって、$q = 1 - p^2$ となる。このとき $f(x)$ を展開すると、
$$ f(x) = x^2 - 2px + p^2 + (1 - p^2) = x^2 - 2px + 1 $$
放物線 $y=f(x)$ が直線 $y=x$ と接する条件は、方程式 $x^2 - 2px + 1 = x$、すなわち
$$ x^2 - (2p+1)x + 1 = 0 $$
が実数の重解を持つことである。判別式を $D$ とすると $D = 0$ となるから、
$$ D = (2p+1)^2 - 4 = 0 $$
これより $2p+1 = \pm 2$ となり、$p = \frac{1}{2}, -\frac{3}{2}$ を得る。 このとき、重解となる接点の $x$ 座標は $x = \frac{2p+1}{2}$ である。
直線 $y=x$ の $x > 0$ の部分と接する条件から、接点の $x$ 座標は正でなければならない。 $p = \frac{1}{2}$ のとき、$x = 1 > 0$ となり適する。 $p = -\frac{3}{2}$ のとき、$x = -1 < 0$ となり不適である。
したがって $p = \frac{1}{2}$ であり、$q = 1 - \left(\frac{1}{2}\right)^2 = \frac{3}{4}$ となる。 また、接点の座標は $(1, 1)$ である。
(2)
$g(x) = f_2(x) - f_1(x)$ とおく。 $f_1(x) = (x-p_1)^2 + q_1 = x^2 - 2p_1x + p_1^2 + q_1$、 $f_2(x) = (x-p_2)^2 + q_2 = x^2 - 2p_2x + p_2^2 + q_2$ であるから、
$$ g(x) = 2(p_1 - p_2)x + (p_2^2 + q_2 - p_1^2 - q_1) $$
となり、$g(x)$ は $x$ の1次以下の関数である。したがって、そのグラフは直線(または $x$ 軸に平行な直線)となる。 仮定より、$g(\alpha) = f_2(\alpha) - f_1(\alpha) > 0$ かつ $g(\beta) = f_2(\beta) - f_1(\beta) > 0$ である。 $g(x)$ は1次以下の関数であるため、区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ における最小値は、端点である $x=\alpha$ または $x=\beta$ でとる。 端点での値がいずれも正であるから、区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ においてつねに $g(x) > 0$ となる。 したがって、区間 $\alpha \leqq x \leqq \beta$ においてつねに $f_1(x) < f_2(x)$ が成り立つ。
(3)
折れ線 $L$ は以下の3つの線分で構成される。 ・ $x=0 \ (0 \leqq y \leqq 1)$ ・ $y=x \ (0 \leqq x \leqq 1)$ ・ $x=1 \ (0 \leqq y \leqq 1)$
放物線 $y=f(x)$ が $L$ と共有点を持たないためには、両端の線分と交わらないことから、$f(0)$ と $f(1)$ の値は区間 $[0, 1]$ に含まれてはならない。 もし $f(0) > 1$ かつ $f(1) < 0$ であった場合、$h(x) = f(x) - x$ とすると $h(0) > 1 > 0$、$h(1) < -1 < 0$ となる。$h(x)$ は連続関数であるから、中間値の定理より $0 < x < 1$ において $h(x) = 0$ となる実数解を持つ。これは $L$ の線分 $y=x$ と交わることを意味し、不適である。$f(0) < 0$ かつ $f(1) > 1$ の場合も同様である。 したがって、放物線が $L$ と交わらないための条件は、次の (A) または (B) のいずれかを満たすことである。
(A)
$f(0) > 1$ かつ $f(1) > 1$ (B)
$f(0) < 0$ かつ $f(1) < 0$
(A) を満たす場合、(1)で求めた放物線を $f_2(x) = x^2 - x + 1$ とおくと、$f_2(0) = 1, f_2(1) = 1$ であり、$f_2(x) - x = (x-1)^2 \geqq 0$ よりつねに $f_2(x) \geqq x$ である。 このとき $f(0) > f_2(0)$ かつ $f(1) > f_2(1)$ となるため、(2)の結果より $0 \leqq x \leqq 1$ において $f(x) > f_2(x) \geqq x$ となり、線分 $y=x$ とは交わらない。 よって (A) は共有点を持たないための十分条件である。
(B) を満たす場合、$f_1(x) = x^2 - x$ とおくと、$f_1(0) = 0, f_1(1) = 0$ であり、$0 \leqq x \leqq 1$ において $f_1(x) = x(x-1) \leqq 0 \leqq x$ である。 このとき $f(0) < f_1(0)$ かつ $f(1) < f_1(1)$ となるため、(2)の結果より $0 \leqq x \leqq 1$ において $f(x) < f_1(x) \leqq x$ となり、線分 $y=x$ とは交わらない。 よって (B) も共有点を持たないための十分条件である。
これらを踏まえ、長方形 $R \ (0 \leqq x \leqq 1, 0 \leqq y \leqq 2)$ 内の点 $(x, y)$ が領域 $T$ に属する条件を求める。 $y = (x-p)^2 + q \iff q = y - (x-p)^2$ となる組 $(p, q)$ が (A) または (B) を満たすような $p$ が存在することである。
(i) 条件 (A) から得られる領域 $f(0) > 1 \iff p^2 + q > 1$ $f(1) > 1 \iff (1-p)^2 + q > 1$ これらに $q = y - (x-p)^2$ を代入して整理すると、
$$ \begin{cases} 2xp > x^2 - y + 1 \\ 2(1-x)p > y - x^2 \end{cases} $$
$0 < x < 1$ のとき、これを満たす $p$ の範囲は、
$$ \frac{x^2 - y + 1}{2x} < p < \frac{y - x^2}{2(1-x)} $$
このような $p$ が存在する条件は、
$$ \frac{x^2 - y + 1}{2x} < \frac{y - x^2}{2(1-x)} $$
両辺に $2x(1-x) > 0$ を掛けて整理する。
$$ \begin{aligned} (1-x)(x^2 - y + 1) &< x(y - x^2) \\ x^2 - y + 1 - x^3 + xy - x &< xy - x^3 \\ x^2 - y + 1 - x &< 0 \\ y &> x^2 - x + 1 \end{aligned} $$
($x=0, 1$ のときは不等式から $y > 1$ となり、これも上式に含まれる)
(ii) 条件 (B) から得られる領域 $f(0) < 0 \iff p^2 + q < 0$ $f(1) < 0 \iff (1-p)^2 + q < 0$ これらに $q = y - (x-p)^2$ を代入して整理すると、
$$ \begin{cases} 2xp < x^2 - y \\ 2(1-x)p < x^2 - y - 1 \end{cases} $$
$0 < x < 1$ のとき、これを満たす $p$ が存在する条件は、
$$ \frac{x^2 - y - 1}{2(1-x)} < \frac{x^2 - y}{2x} $$
両辺に $2x(1-x) > 0$ を掛けて整理する。
$$ \begin{aligned} x(x^2 - y - 1) &< (1-x)(x^2 - y) \\ x^3 - xy - x &< x^2 - y - x^3 + xy \end{aligned} $$
これを整理すると $y < x^2 - x$ を得る。 しかし、領域 $R$ は $y \geqq 0$ であり、$0 \leqq x \leqq 1$ において $x^2 - x \leqq 0$ であるため、この条件を満たす点は領域 $R$ 内に存在しない。
以上より、領域 $T$ は $R$ 内において $y > x^2 - x + 1$ を満たす部分である。 したがって、領域 $S$ は $R$ から $T$ を除いた部分であり、連立不等式
$$ \begin{cases} 0 \leqq x \leqq 1 \\ 0 \leqq y \leqq x^2 - x + 1 \end{cases} $$
で表される領域となる。 この領域は $x$ 軸、$y$ 軸、$x=1$ および放物線 $y = x^2 - x + 1$ によって囲まれた図形であり、その面積は
$$ \begin{aligned} \int_0^1 (x^2 - x + 1) dx &= \left[ \frac{1}{3}x^3 - \frac{1}{2}x^2 + x \right]_0^1 \\ &= \frac{1}{3} - \frac{1}{2} + 1 \\ &= \frac{5}{6} \end{aligned} $$
となる。
解説
2次関数のグラフの配置と領域を組み合わせた総合問題である。 (2) の誘導が最大のヒントになっており、「2次の係数が同じ放物線同士の差は直線になる」という性質を利用して、区間内の大小関係を両端の大小関係だけで決定できることを示している。 (3) では、折れ線と交わらない条件を「常に上にある」か「常に下にある」かに帰着させ、その判定に (2) の定理を適用する。さらに、$p$ を媒介変数とする通過領域の問題に落とし込むという多段的な構成になっており、論理的な見通しと確実な計算力が問われる。
答え
(1)
$(p, q) = \left(\frac{1}{2}, \frac{3}{4}\right)$、接点 $(1, 1)$
(2)
(略:解法参照)
(3)
領域 $S$ は連立不等式 $0 \leqq x \leqq 1$ かつ $0 \leqq y \leqq x^2 - x + 1$ で表される領域(境界を含む)。面積は $\frac{5}{6}$。
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