九州大学 2019年 文系 第4問 解説

方針・初手
整式の恒等式における定石通り、まずは $f(x)$ と $g(x)$ の最高次の項のみに注目し、次数と最高次の係数を文字で置いて比較する。これにより各整式の次数を決定する。次数が確定した後は、係数を文字で置いた整式を元の恒等式に代入し、未定係数法によってすべての係数を求める。
解法1
(1)
$f(x), g(x)$ は $0$ でない整式であるから、その次数をそれぞれ $m, n$ ($m, n \ge 0$ の整数) とする。 また、$f(x)$ の最高次の項を $ax^m$ $(a \neq 0)$、$g(x)$ の最高次の項を $bx^n$ $(b \neq 0)$ とおく。
第1の恒等式 $f(x^2) = (x^2 + 2)g(x) + 7$ について、両辺の最高次の項を比較する。 左辺 $f(x^2)$ の最高次の項は $a(x^2)^m = ax^{2m}$ であり、 右辺 $(x^2 + 2)g(x) + 7$ の最高次の項は $x^2 \cdot bx^n = bx^{n+2}$ である。 これらが恒等的に一致するため、次数と係数を比較して
$$ 2m = n + 2 \iff n = 2m - 2 \quad \dots \text{①} $$
$$ a = b \quad \dots \text{②} $$
が成り立つ。
次に、第2の恒等式 $g(x^3) = x^4 f(x) - 3x^2 g(x) - 6x^2 - 2$ について考える。 左辺 $g(x^3)$ の最高次の項は $b(x^3)^n = bx^{3n}$ であり、次数は $3n$ である。 右辺において、$x^4 f(x)$ の最高次の項は $ax^{m+4}$、$-3x^2 g(x)$ の最高次の項は $-3bx^{n+2}$ である。 ①より $n+2 = 2m$ なので、これら2つの項の次数はそれぞれ $m+4$ と $2m$ である。 次数の差をとると $(m+4) - 2m = 4 - m$ となるため、$m$ の値によって右辺の最高次数が変わる。これを場合分けして調べる。
(i) $m < 4$ のとき
$m+4 > 2m$ となり、右辺の最高次の項は $ax^{m+4}$ である。 両辺の次数が一致するから
$$ 3n = m + 4 $$
①を代入して
$$ 3(2m - 2) = m + 4 $$
$$ 6m - 6 = m + 4 \iff 5m = 10 \iff m = 2 $$
このとき、①より $n = 2 \cdot 2 - 2 = 2$ となり、適する。
(ii) $m > 4$ のとき
$m+4 < 2m$ となり、右辺の最高次の項は $-3bx^{n+2}$ である。 両辺の次数が一致するから
$$ 3n = n + 2 \iff 2n = 2 \iff n = 1 $$
①に代入して
$$ 1 = 2m - 2 \iff 2m = 3 $$
これを満たす整数 $m$ は存在せず、不適である。
(iii) $m = 4$ のとき
①より $n = 2 \cdot 4 - 2 = 6$ である。 右辺について、$x^4 f(x)$ の最高次の項は $ax^8$、$-3x^2 g(x)$ の最高次の項は $-3bx^8$ となる。 ②より $a = b$ であるため、右辺の $x^8$ の項の係数は $a - 3b = -2a$ となる。 $a \neq 0$ よりこの係数は $0$ ではないため、右辺の次数は $8$ である。 一方、左辺の次数は $3n = 3 \cdot 6 = 18$ となるが、$18 \neq 8$ であり矛盾する。
以上 (i) ~ (iii) より、$(m, n) = (2, 2)$ のみ適する。 したがって、$f(x)$ の次数と $g(x)$ の次数はともに $2$ であり、どちらも $2$ 以下であることが示された。
(2)
(1)の結論および $a=b$ より、$f(x)$ と $g(x)$ は $x^2$ の係数が等しい2次式である。 したがって、$a \neq 0$ として次のように置くことができる。
$$ f(x) = ax^2 + bx + c $$
$$ g(x) = ax^2 + dx + e $$
これを第1の恒等式 $f(x^2) = (x^2 + 2)g(x) + 7$ に代入すると
$$ a(x^2)^2 + b(x^2) + c = (x^2 + 2)(ax^2 + dx + e) + 7 $$
$$ ax^4 + bx^2 + c = ax^4 + dx^3 + (e + 2a)x^2 + 2dx + 2e + 7 $$
両辺の係数を比較して
$$ \begin{cases} 0 = d & (x^3 の係数) \\ b = e + 2a & (x^2 の係数) \\ 0 = 2d & (x の係数) \\ c = 2e + 7 & (定数項) \end{cases} $$
これより $d = 0$ となり、$g(x) = ax^2 + e$, $f(x) = ax^2 + (2a + e)x + (2e + 7)$ と表せる。 次に、これを第2の恒等式 $g(x^3) = x^4 f(x) - 3x^2 g(x) - 6x^2 - 2$ に代入する。 左辺は
$$ g(x^3) = a(x^3)^2 + e = ax^6 + e $$
右辺は
$$ x^4 \{ax^2 + (2a + e)x + (2e + 7)\} - 3x^2(ax^2 + e) - 6x^2 - 2 $$
$$ = ax^6 + (2a + e)x^5 + (2e + 7)x^4 - 3ax^4 - 3ex^2 - 6x^2 - 2 $$
$$ = ax^6 + (2a + e)x^5 + (-3a + 2e + 7)x^4 - (3e + 6)x^2 - 2 $$
両辺の係数を比較して
$$ \begin{cases} 0 = 2a + e & (x^5 の係数) \\ 0 = -3a + 2e + 7 & (x^4 の係数) \\ 0 = -(3e + 6) & (x^2 の係数) \\ e = -2 & (定数項) \end{cases} $$
$x^2$ の係数と定数項の条件から $e = -2$ を得る。これを $x^5$ の係数の式に代入して
$$ 2a - 2 = 0 \iff a = 1 $$
これが $x^4$ の係数の式を満たすか確認すると
$$ -3(1) + 2(-2) + 7 = -3 - 4 + 7 = 0 $$
となり成立する。 求めた $a = 1, e = -2$ を $b, c$ の式に代入すると
$$ b = -2 + 2(1) = 0 $$
$$ c = 2(-2) + 7 = 3 $$
以上より、各係数が定まり求める整式が得られる。
解説
整式の恒等式問題における典型的なアプローチである「最高次数の項に注目して次数と最高次の係数を決定する」手法を問う問題である。本問では (1) で次数を $2$ と決定できるため、(2) では $2$ 次式として係数を文字でおき、未定係数法を用いて処理すればよい。次数を比較する際、複数の項の次数が一致して引き算によって最高次の項が消える可能性(本問の (iii) のようなケース)にも配慮した丁寧な場合分けが求められる。
答え
(1) 恒等式の両辺の最高次の項を比較し、次数の関係式を立てて場合分けを行うことで、$f(x)$ と $g(x)$ の次数がともに $2$ であることを示した。 (2) $f(x) = x^2 + 3, \quad g(x) = x^2 - 2$
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