九州大学 1961年 理系 第6問 解説

方針・初手
- (1) は、関数 $f(x) = \pi \cos \pi x - \frac{3}{2}$ とおき、微分して単調性を調べる。区間の両端での値の符号が異なることを示すことで、中間値の定理から解の存在と一意性を示す。
- (2) は、不等式の両辺の差を $g(x) = \sin \pi x - \frac{3}{2} x - \frac{1}{4}$ とおき、その導関数が (1) の左辺になることに着目する。(1) の結果を用いて $g(x)$ の増減表を書き、区間における最小値が $0$ 以上であることを示す。
解法1
(1)
$$f(x) = \pi \cos \pi x - \frac{3}{2}$$
とおく。$x$ で微分すると、
$$f'(x) = -\pi^2 \sin \pi x$$
となる。$\frac{1}{6} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ のとき、$\frac{\pi}{6} \leqq \pi x \leqq \frac{\pi}{2}$ であるから、常に $\sin \pi x > 0$ となる。 したがって、この区間において $f'(x) < 0$ となり、$f(x)$ は単調に減少する。
また、区間の両端での $f(x)$ の値は、
$$\begin{aligned} f\left(\frac{1}{6}\right) &= \pi \cos \frac{\pi}{6} - \frac{3}{2} \\ &= \frac{\sqrt{3}\pi}{2} - \frac{3}{2} \\ &= \frac{\sqrt{3}\pi - 3}{2} \end{aligned}$$
ここで、$\pi > 3$、$\sqrt{3} > 1.7$ であるから、$\sqrt{3}\pi > 1.7 \times 3 = 5.1 > 3$ となり、$f\left(\frac{1}{6}\right) > 0$ である。
$$\begin{aligned} f\left(\frac{1}{2}\right) &= \pi \cos \frac{\pi}{2} - \frac{3}{2} \\ &= 0 - \frac{3}{2} \\ &= -\frac{3}{2} < 0 \end{aligned}$$
関数 $f(x)$ は連続であり、区間 $\frac{1}{6} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ において単調減少、かつ $f\left(\frac{1}{6}\right) > 0$、$f\left(\frac{1}{2}\right) < 0$ である。 したがって、中間値の定理より $f(x) = 0$ となる $x$ が $\frac{1}{6} < x < \frac{1}{2}$ の範囲にただ1つ存在する。
よって、$\frac{1}{6} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ において方程式 $\pi \cos \pi x - \frac{3}{2} = 0$ はただ1つの根をもつ。(証明終)
(2)
示すべき不等式は、
$$\sin \pi x - \frac{3}{2}x - \frac{1}{4} \geqq 0$$
である。
$$g(x) = \sin \pi x - \frac{3}{2}x - \frac{1}{4}$$
とおく。$x$ で微分すると、
$$g'(x) = \pi \cos \pi x - \frac{3}{2}$$
となり、これは (1) の $f(x)$ と等しい。 (1) の結果より、$\frac{1}{6} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ において $g'(x) = 0$ となる実数 $x$ がただ1つ存在する。この解を $\alpha$ $\left(\frac{1}{6} < \alpha < \frac{1}{2}\right)$ とおく。
また、(1) で示した通り $g'(x)$(すなわち $f(x)$)は単調減少関数であり、$g'\left(\frac{1}{6}\right) > 0$、$g'\left(\frac{1}{2}\right) < 0$、$g'(\alpha) = 0$ である。 これより、区間 $\frac{1}{6} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ における $g(x)$ の増減表は次のようになる。
| $x$ | $\frac{1}{6}$ | $\cdots$ | $\alpha$ | $\cdots$ | $\frac{1}{2}$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $g'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $g(x)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ |
表より、区間内での $g(x)$ の最小値は、両端点 $g\left(\frac{1}{6}\right)$ または $g\left(\frac{1}{2}\right)$ のいずれかである。それぞれの値を計算する。
$$\begin{aligned} g\left(\frac{1}{6}\right) &= \sin \frac{\pi}{6} - \frac{3}{2} \cdot \frac{1}{6} - \frac{1}{4} \\ &= \frac{1}{2} - \frac{1}{4} - \frac{1}{4} \\ &= 0 \end{aligned}$$
$$\begin{aligned} g\left(\frac{1}{2}\right) &= \sin \frac{\pi}{2} - \frac{3}{2} \cdot \frac{1}{2} - \frac{1}{4} \\ &= 1 - \frac{3}{4} - \frac{1}{4} \\ &= 0 \end{aligned}$$
両端点での値がともに $0$ であるから、$\frac{1}{6} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ において常に $g(x) \geqq 0$ が成り立つ。
すなわち、$\frac{1}{6} \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ のとき $\sin \pi x \geqq \frac{3}{2}x + \frac{1}{4}$ が成り立つ。(証明終)
解説
微積分を用いて方程式の実数解の個数や不等式を証明する典型的な問題である。 (1) では、導関数の符号から関数の単調性を導き、区間の端点における関数値の符号を調べることで中間値の定理を適用する。単調性と端点の符号チェックの2点をしっかり記述することが重要である。 (2) では、不等式の証明において差の関数を設定し、その導関数が (1) の関数と一致すること(前の設問を誘導として利用すること)が鍵となる。増減表を書き、極大値を直接求めることはできないが、端点での値が最小値になることを利用して証明を完了できる。
答え
- (1) 関数 $f(x) = \pi \cos \pi x - \frac{3}{2}$ の単調減少性と端点の符号から、中間値の定理を用いて示した。
- (2) 関数 $g(x) = \sin \pi x - \frac{3}{2}x - \frac{1}{4}$ の増減表を作成し、最小値が $0$ となることから示した。
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