九州大学 1970年 理系 第3問 解説

方針・初手
与えられた方程式を $f(x) = 0$ とおき、関数 $y = f(x)$ のグラフと $x$ 軸の共有点の個数について考える。あるいは、定数 $b$ を分離して曲線と直線の共有点の個数の問題に帰着させる。微積分を用いて関数の増減を調べ、極値の条件から不等式を導出する。
解法1
$f(x) = x^4 + ax + b$ とおく。 方程式 $f(x) = 0$ が相異なる2実根をもつための必要十分条件は、曲線 $y = f(x)$ と $x$ 軸が異なる2点で交わることである。
$f(x)$ を微分すると
$$f'(x) = 4x^3 + a$$
$f'(x) = 0$ となる実数 $x$ はただ1つ存在し、これを $\alpha$ とおくと
$$\alpha^3 = -\frac{a}{4}$$
を満たす。 $f'(x)$ の符号は $x < \alpha$ で負、$x > \alpha$ で正となるため、$f(x)$ は $x = \alpha$ のみで極値をもち、ここで極小かつ最小となる。
また、$\lim_{x \to \pm\infty} f(x) = \infty$ であるから、曲線 $y = f(x)$ が $x$ 軸と異なる2点で交わるための条件は、最小値 $f(\alpha)$ が負であること、すなわち $f(\alpha) < 0$ となることである。
ここで、$\alpha^3 = -\frac{a}{4}$ を用いて $f(\alpha)$ の次数を下げると
$$\begin{aligned} f(\alpha) &= \alpha^4 + a\alpha + b \\ &= \alpha \cdot \alpha^3 + a\alpha + b \\ &= \alpha \left(-\frac{a}{4}\right) + a\alpha + b \\ &= \frac{3}{4}a\alpha + b \end{aligned}$$
となる。よって、求める条件は
$$\frac{3}{4}a\alpha + b < 0$$
$$\frac{3}{4}a\alpha < -b$$
である。
任意の実数 $X, Y$ について、$X < Y \iff X^3 < Y^3$ が成り立つため、両辺を3乗して同値変形を行う。
$$\left(\frac{3}{4}a\right)^3 \alpha^3 < (-b)^3$$
これに $\alpha^3 = -\frac{a}{4}$ を代入して
$$\frac{27}{64}a^3 \left(-\frac{a}{4}\right) < -b^3$$
$$-\frac{27}{256}a^4 < -b^3$$
両辺に $-256$ を掛けて不等号の向きを反転させると
$$27a^4 > 256b^3$$
が得られる。
解法2
方程式 $x^4 + ax + b = 0$ を定数 $b$ について分離し
$$b = -x^4 - ax$$
と変形する。 $g(x) = -x^4 - ax$ とおくと、与えられた方程式が相異なる2実根をもつ条件は、曲線 $y = g(x)$ と直線 $y = b$ が異なる2点で交わることである。
$g(x)$ を微分すると
$$g'(x) = -4x^3 - a$$
$g'(x) = 0$ となる実数 $x$ はただ1つ存在し、これを $\alpha$ とおくと
$$\alpha^3 = -\frac{a}{4}$$
を満たす。 $g'(x)$ の符号は $x < \alpha$ で正、$x > \alpha$ で負となるため、$g(x)$ は $x = \alpha$ のみで極値をもち、ここで極大かつ最大となる。
また、$\lim_{x \to \pm\infty} g(x) = -\infty$ であるから、上に凸な形状を持つ曲線 $y = g(x)$ と水平な直線 $y = b$ が異なる2点で交わるための条件は、最大値 $g(\alpha)$ が $b$ より大きいこと、すなわち $g(\alpha) > b$ となることである。
$\alpha^3 = -\frac{a}{4}$ を用いて $g(\alpha)$ を計算すると
$$\begin{aligned} g(\alpha) &= -\alpha^4 - a\alpha \\ &= -\alpha \cdot \alpha^3 - a\alpha \\ &= -\alpha \left(-\frac{a}{4}\right) - a\alpha \\ &= -\frac{3}{4}a\alpha \end{aligned}$$
となる。よって、条件は
$$-\frac{3}{4}a\alpha > b$$
$$\frac{3}{4}a\alpha < -b$$
である。
両辺を3乗して同値変形を行うと
$$\left(\frac{3}{4}a\right)^3 \alpha^3 < (-b)^3$$
$$\frac{27}{64}a^3 \left(-\frac{a}{4}\right) < -b^3$$
$$-\frac{27}{256}a^4 < -b^3$$
整理して
$$27a^4 > 256b^3$$
となる。
解説
方程式の実数解の個数を関数のグラフと $x$ 軸(または定数直線)の共有点の個数に帰着させる、微分法の標準的な問題である。 計算上の重要なポイントは以下の2点である。
- 極値をとる $x$ 座標 $\alpha$ を直接 $\sqrt[3]{-\frac{a}{4}}$ と置かず、関係式 $\alpha^3 = -\frac{a}{4}$ を用いて極値の式の次数を下げること。
- 不等式 $\frac{3}{4}a\alpha < -b$ を処理する際、$A < B \iff A^3 < B^3$ という同値性を利用して両辺を3乗すること。これにより、符号による複雑な場合分けを回避し、簡潔に結論を導くことができる。
答え
$$27a^4 > 256b^3$$
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