九州大学 1972年 理系 第6問 解説

方針・初手
(1) は、動点の速度ベクトルが $\vec{v} = \left(\frac{dx}{dt}, \frac{dy}{dt}\right)$ で表され、速さが $0$ になる条件が $\frac{dx}{dt} = 0$ かつ $\frac{dy}{dt} = 0$ であることに着目する。$t$ についての連立方程式を立て、$t \geqq 0$ を満たす解が存在するような定数 $a$ の値を求める。
(2) は、点Pが $x$ 軸を横切る回数を問われているため、$y$ 座標の符号変化の回数を調べる。$a=2$ を代入した $y(t)$ について、$t \geqq 0$ における関数の増減を調べ、グラフの概形から $y=0$ となる点とその前後での符号変化を確認する。
解法1
(1)
動点 P の時刻 $t$ における速度ベクトルを $\vec{v} = (v_x, v_y)$ とする。
$$\begin{aligned} v_x &= \frac{dx}{dt} = 3t^2 - 10t - 4a \\ v_y &= \frac{dy}{dt} = 3t^2 + 2t + 8a - 72 \end{aligned}$$
速さ $|\vec{v}|$ が $0$ となるのは、$v_x = 0$ かつ $v_y = 0$ のときである。したがって、次の連立方程式を満たす $t \geqq 0$ が存在すればよい。
$$\begin{aligned} 3t^2 - 10t - 4a &= 0 \quad \cdots \text{①} \\ 3t^2 + 2t + 8a - 72 &= 0 \quad \cdots \text{②} \end{aligned}$$
①より $4a = 3t^2 - 10t$ であるから、これを②に代入して $a$ を消去する。
$$3t^2 + 2t + 2(3t^2 - 10t) - 72 = 0$$
整理すると、
$$\begin{aligned} 9t^2 - 18t - 72 &= 0 \\ t^2 - 2t - 8 &= 0 \\ (t - 4)(t + 2) &= 0 \end{aligned}$$
$t \geqq 0$ であるから、これを満たす $t$ は $t = 4$ のみである。
このとき、$4a = 3 \cdot 4^2 - 10 \cdot 4 = 48 - 40 = 8$ より、$a = 2$ となる。これは①、②をともに満たす。
(2)
(1)より $a = 2$ であるから、時刻 $t$ における $y$ 座標は $t$ の関数として次のように表される。
$$\begin{aligned} y(t) &= t^3 + t^2 + (8 \cdot 2 - 72)t + 1 \\ &= t^3 + t^2 - 56t + 1 \end{aligned}$$
動点 P が $x$ 軸を横切るとは、関数 $y(t)$ が $y(t)=0$ となり、かつその前後で $y(t)$ の符号が変化することである。$t \geqq 0$ における $y(t)$ の増減を調べる。
$$\begin{aligned} y'(t) &= 3t^2 + 2t - 56 \\ &= (3t + 14)(t - 4) \end{aligned}$$
$t \geqq 0$ において $y'(t) = 0$ となるのは $t = 4$ のときである。$t \geqq 0$ における $y(t)$ の増減は以下のようになる。
- $0 \leqq t < 4$ の範囲において $y'(t) < 0$ であるから、$y(t)$ は単調に減少する。
- $t = 4$ のとき、極小値 $y(4) = 4^3 + 4^2 - 56 \cdot 4 + 1 = -143$ をとる。
- $t > 4$ の範囲において $y'(t) > 0$ であるから、$y(t)$ は単調に増加する。
ここで、$y(0) = 1 > 0$ であり、$y(4) = -143 < 0$ である。関数 $y(t)$ は連続であるから、中間値の定理により、$0 < t < 4$ の区間に $y(t) = 0$ となる $t$ がただ1つ存在し、その前後で $y(t)$ は正から負へと符号を変える。
また、$\lim_{t \to \infty} y(t) = \infty$ であり、$y(4) = -143 < 0$ であるから、中間値の定理により、$t > 4$ の区間にも $y(t) = 0$ となる $t$ がただ1つ存在し、その前後で $y(t)$ は負から正へと符号を変える。
したがって、$t \geqq 0$ の範囲において、動点 P の $y$ 座標は正から負へ1回、負から正へ1回符号を変えるため、合計2回 $x$ 軸を横切る。
解説
平面上の動点の運動に関する標準的な微分積分の問題である。
(1) では「速さが $0$」という条件が、「速度の $x$ 成分と $y$ 成分がともに $0$」であることと同値であることを正確に立式できるかが問われている。文字定数 $a$ を消去して $t$ の方程式に帰着させるのが定石である。
(2) では、「$x$ 軸を横切る」という事象の数学的な意味を把握することが重要である。単に $y=0$ となる回数を求めるだけでなく、そこで符号変化が起きているか(接して戻るだけではないか)を確認する必要がある。導関数から増減を調べ、極値と端点の符号を確認することで、中間値の定理により交点の存在と横切る回数を明確に示すことができる。
答え
(1) $a = 2$, $t = 4$
(2) 2回
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