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名古屋大学 2006年 理系 第3問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/図形と式数学2/微分法テーマ/軌跡・領域テーマ/図形総合
名古屋大学 2006年 理系 第3問 解説

方針・初手

直線 $l$ が点 $A$ と点 $A'$ の垂直二等分線であるという性質に着目する。点 $P$ は直線 $l$ 上にあるため、点 $P$ から点 $A$ および点 $A'$ までの距離は等しい。このことから $p, q, t$ の関係式を導くことができる。 (2) は、(1) で得られた $t$ の2次方程式が指定された範囲に異なる2つの実数解をもつための条件(解の配置問題)に帰着させる。 (3) は、2本の直線の直交条件を、それぞれの法線ベクトルの直交条件として扱い、解と係数の関係を利用して解き進める。

解法1

(1)

直線 $l$ は、点 $A(4, 2)$ と点 $A'(t, 0)$ を結ぶ線分 $AA'$ の垂直二等分線である。 点 $P(p, q)$ は直線 $l$ 上にあるため、点 $P$ は点 $A$ と点 $A'$ から等距離にある。 したがって、$PA = PA'$ が成り立ち、両辺を2乗して $PA^2 = PA'^2$ とできる。

$$ (p - 4)^2 + (q - 2)^2 = (p - t)^2 + (q - 0)^2 $$

これを展開して整理する。

$$ p^2 - 8p + 16 + q^2 - 4q + 4 = p^2 - 2pt + t^2 + q^2 $$

$$ -8p - 4q + 20 = -2pt + t^2 $$

$$ t^2 - 2pt + 8p + 4q - 20 = 0 $$

これが求める関係式である。

(2)

点 $P(p, q)$ を通るピッタリ直線が2本存在するとは、(1) で求めた $t$ についての2次方程式

$$ t^2 - 2pt + 8p + 4q - 20 = 0 \quad \cdots (*) $$

が、条件 $0 \leqq t \leqq 6$ を満たす異なる2つの実数解をもつということである。 $f(t) = t^2 - 2pt + 8p + 4q - 20$ とおく。$y = f(t)$ のグラフは下に凸の放物線であり、その軸は直線 $t = p$ である。 方程式 $f(t) = 0$ が $0 \leqq t \leqq 6$ に異なる2つの実数解をもつための条件は、以下の4つがすべて成り立つことである。

(i) $f(t) = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D > 0$ である。

$$ \frac{D}{4} = p^2 - (8p + 4q - 20) > 0 $$

$$ 4q < p^2 - 8p + 20 $$

$$ q < \frac{1}{4}(p - 4)^2 + 1 $$

(ii) 軸の位置が $0 < t < 6$ の範囲にある。

$$ 0 < p < 6 $$

(iii) 区間の左端での値が $f(0) \geqq 0$ である。

$$ 8p + 4q - 20 \geqq 0 $$

$$ 2p + q - 5 \geqq 0 $$

$$ q \geqq -2p + 5 $$

(iv) 区間の右端での値が $f(6) \geqq 0$ である。

$$ 36 - 12p + 8p + 4q - 20 \geqq 0 $$

$$ -4p + 4q + 16 \geqq 0 $$

$$ q \geqq p - 4 $$

点 $P(p, q)$ の存在範囲は、これら4つの不等式を同時に満たす領域である。 $xy$ 平面上($p$ を $x$、$q$ を $y$ とみなす)で境界線について調べる。 放物線 $y = \frac{1}{4}(x - 4)^2 + 1$ と直線 $y = -2x + 5$ を連立させると、

$$ \frac{1}{4}(x - 4)^2 + 1 = -2x + 5 $$

$$ (x - 4)^2 + 4 = -8x + 20 $$

$$ x^2 - 8x + 20 = -8x + 20 $$

$$ x^2 = 0 $$

よって、$x = 0$ を重解にもつため、放物線と直線は点 $(0, 5)$ で接する。 同様に、放物線 $y = \frac{1}{4}(x - 4)^2 + 1$ と直線 $y = x - 4$ を連立させると、

$$ \frac{1}{4}(x - 4)^2 + 1 = x - 4 $$

$$ (x - 4)^2 + 4 = 4x - 16 $$

$$ x^2 - 8x + 20 = 4x - 16 $$

$$ x^2 - 12x + 36 = 0 $$

$$ (x - 6)^2 = 0 $$

よって、$x = 6$ を重解にもつため、放物線と直線は点 $(6, 2)$ で接する。 また、2直線 $y = -2x + 5$ と $y = x - 4$ の交点は、

$$ -2x + 5 = x - 4 $$

$$ 3x = 9 $$

よって $x = 3$ となり、このとき $y = -1$ であるから、交点は $(3, -1)$ である。

以上より、求める点 $P(p, q)$ の存在範囲は、連立不等式 $$ \begin{cases} q < \frac{1}{4}(p - 4)^2 + 1 \\ 0 < p < 6 \\ q \geqq -2p + 5 \\ q \geqq p - 4 \end{cases} $$ が表す領域となる(図示は省略するが、上記境界によって囲まれる部分である。境界線については、放物線上の点および $p=0, 6$ 上の点は含まず、折れ線上の点は含む)。

(3)

点 $P(p, q)$ を通る2本のピッタリ直線を $l_1, l_2$ とし、それらに関して点 $A$ と対称な点をそれぞれ $A_1(t_1, 0), A_2(t_2, 0)$ とする。 ここで $t_1, t_2$ は、(2) で考えた方程式 (*) の異なる2つの実数解である。 直線 $l_1, l_2$ は、それぞれ線分 $AA_1, AA_2$ の垂直二等分線であるため、$l_1, l_2$ の法線ベクトルはそれぞれ $\overrightarrow{AA_1}, \overrightarrow{AA_2}$ となる。 2直線 $l_1$ と $l_2$ が直交するための条件は、それらの法線ベクトルが直交することであるから、内積について以下が成り立つ。

$$ \overrightarrow{AA_1} \cdot \overrightarrow{AA_2} = 0 $$

ここで、$\overrightarrow{AA_1} = (t_1 - 4, -2)$、$\overrightarrow{AA_2} = (t_2 - 4, -2)$ であるため、

$$ (t_1 - 4)(t_2 - 4) + (-2) \cdot (-2) = 0 $$

$$ t_1 t_2 - 4(t_1 + t_2) + 16 + 4 = 0 $$

$$ t_1 t_2 - 4(t_1 + t_2) + 20 = 0 \quad \cdots (**) $$

一方、方程式 (*) についての解と係数の関係から、以下が成り立つ。

$$ \begin{cases} t_1 + t_2 = 2p \\ t_1 t_2 = 8p + 4q - 20 \end{cases} $$

これを (**) に代入すると、

$$ (8p + 4q - 20) - 4(2p) + 20 = 0 $$

$$ 8p + 4q - 20 - 8p + 20 = 0 $$

$$ 4q = 0 $$

したがって、$q = 0$ を得る。 この点 $P(p, 0)$ は、(2) で求めた存在範囲に含まれていなければならない。 (2) の不等式系に $q = 0$ を代入する。

$$ 0 < \frac{1}{4}(p - 4)^2 + 1 \quad (\text{常に成立}) $$

$$ 0 < p < 6 $$

$$ 0 \geqq -2p + 5 \implies p \geqq \frac{5}{2} $$

$$ 0 \geqq p - 4 \implies p \leqq 4 $$

これらを同時に満たす $p$ の範囲は、

$$ \frac{5}{2} \leqq p \leqq 4 $$

となる。 したがって、求める存在範囲は、座標平面上で点 $(\frac{5}{2}, 0)$ と点 $(4, 0)$ を結ぶ線分である。

解説

図形の性質を座標を用いて数式化する典型的な問題である。 (1) では、垂直二等分線の性質を「2点からの距離が等しい点の集合」と捉えることで、傾きや中点を用いるよりも計算量を大幅に減らすことができる。 (2) は、(1) で得られた2次方程式が指定された区間に解をもつ条件、すなわち「解の配置問題」へと帰着させる。判別式・軸の位置・端点の符号という3点セット(今回は両端点なので4条件)を確実に押さえておきたい。 (3) は、直線の直交条件を法線ベクトルの直交条件にすり替える発想が有効である。垂直二等分線そのものの式を求めて傾きの積が $-1$ になることを利用してもよいが、ベクトルを用いた方が式がシンプルになり、解と係数の関係との相性も良い。

答え

(1) $t^2 - 2pt + 8p + 4q - 20 = 0$

(2) 存在範囲は、$xy$ 座標平面において、以下の連立不等式が表す領域。 $$ \begin{cases} y < \frac{1}{4}(x - 4)^2 + 1 \\ 0 < x < 6 \\ y \geqq -2x + 5 \\ y \geqq x - 4 \end{cases} $$ 境界線については、放物線上の点および直線 $x=0, x=6$ 上の点は含まず、直線 $y = -2x+5$ および $y = x-4$ 上の点は含む。(図示は、頂点 $(4, 1)$ の放物線の下側で、かつ2直線の折れ線の上側となる領域を描く)

(3) 存在範囲は、$xy$ 座標平面において、以下の条件を満たす線分である。端点を含む。 $$ y = 0 \quad \left( \frac{5}{2} \leqq x \leqq 4 \right) $$

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