九州大学 1979年 理系 第4問 解説

方針・初手
与えられた図形を座標平面上に置いて直線の方程式を立てるか、初等幾何的に辺の長さを角度 $x$ で表すかの2つの方針が考えられます。 台形 $OPQR$ は直角台形であるため、その面積は上底 $RQ$、下底 $OP$、高さ $OR=1$ を用いて $\frac{1}{2} (OP + RQ) \cdot OR$ で計算できます。 (1) では $OP, RQ$ をそれぞれ $x$ を用いて表すことを目標とします。 (2) では得られた $S(x)$ を $x$ で微分して増減を調べるか、半角の公式等を用いて変数を変換し、相加平均と相乗平均の大小関係を利用して最小値を求めます。
解法1
(1)
点 $O$ を原点とする座標平面を考え、半直線 $OP$ を $X$ 軸の正の向き、半直線 $OR$ を $Y$ 軸の正の向きにとる。 円は $X^2 + Y^2 = 1$ であり、点 $R(0,1), S(1,0)$ である。 点 $P$ は線分 $OS$ の延長上にあるので、$P(p, 0)$ ($p>1$) とおける。 点 $P$ から弧 $RS$ ($X>0, Y>0$ の部分)に引いた接線を $\ell$ とし、接点を $T$ とする。 接点 $T$ は第1象限の円周上にあるので、$T(\cos\theta, \sin\theta)$ $\left(0 < \theta < \frac{\pi}{2}\right)$ とおける。 接点 $T$ における接線 $\ell$ の方程式は、
$$X\cos\theta + Y\sin\theta = 1$$
となる。これが点 $P(p, 0)$ を通るから、
$$p\cos\theta = 1 \implies OP = p = \frac{1}{\cos\theta}$$
また、直線 $\ell$ の傾きは $-\frac{\cos\theta}{\sin\theta} = -\frac{1}{\tan\theta}$ である。 図において、直線 $PQ$ と線分 $OP$ のなす角は $\angle OPQ = x$ であり、直線 $\ell$ は右下がりであるから、その傾きは $-\tan x$ である。 したがって、
$$-\frac{1}{\tan\theta} = -\tan x \implies \tan\theta = \frac{1}{\tan x}$$
$x, \theta$ はいずれも鋭角であるから、$\theta = \frac{\pi}{2} - x$ とわかる。 ゆえに、$\cos\theta = \sin x, \sin\theta = \cos x$ であり、$OP = \frac{1}{\sin x}$ となる。 さらに、接線 $\ell$ の方程式は $X\sin x + Y\cos x = 1$ と表せる。
次に、点 $R(0,1)$ を通り、線分 $OP$ ($X$ 軸) に平行な直線は $Y = 1$ である。 点 $Q$ は接線 $\ell$ と直線 $Y = 1$ の交点であるから、
$$X\sin x + 1 \cdot \cos x = 1 \implies X = \frac{1 - \cos x}{\sin x}$$
よって $Q\left(\frac{1 - \cos x}{\sin x}, 1\right)$ となり、$RQ = \frac{1 - \cos x}{\sin x}$ である。
台形 $OPQR$ は $\angle ROP = 90^\circ, \angle ORQ = 90^\circ$ の直角台形であるから、その面積 $S(x)$ は
$$\begin{aligned} S(x) &= \frac{1}{2} (OP + RQ) \cdot OR \\ &= \frac{1}{2} \left( \frac{1}{\sin x} + \frac{1 - \cos x}{\sin x} \right) \cdot 1 \\ &= \frac{2 - \cos x}{2\sin x} \end{aligned}$$
なお、$p = \frac{1}{\sin x} > 1$ より $0 < \sin x < 1$ であり、図より $x$ は鋭角であるから定義域は $0 < x < \frac{\pi}{2}$ である。
(2)
(1) で求めた $S(x)$ を $x$ で微分する。
$$\begin{aligned} S'(x) &= \frac{\sin x \cdot \sin x - (2 - \cos x) \cdot \cos x}{2\sin^2 x} \\ &= \frac{\sin^2 x + \cos^2 x - 2\cos x}{2\sin^2 x} \\ &= \frac{1 - 2\cos x}{2\sin^2 x} \end{aligned}$$
$0 < x < \frac{\pi}{2}$ において、$S'(x) = 0$ となるのは $\cos x = \frac{1}{2}$ より $x = \frac{\pi}{3}$ のときである。 増減表は以下のようになる。
| $x$ | $(0)$ | $\cdots$ | $\frac{\pi}{3}$ | $\cdots$ | $\left(\frac{\pi}{2}\right)$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $S'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
| $S(x)$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
したがって、$S(x)$ は $x = \frac{\pi}{3}$ で極小かつ最小となる。 最小値は、
$$S\left(\frac{\pi}{3}\right) = \frac{2 - \frac{1}{2}}{2 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}} = \frac{\frac{3}{2}}{\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{2}$$
解法2
(1)
点 $O$ を中心とする半径 1 の円を考える。 点 $P$ から円に引いた接線の接点を $T$ とすると、$OT \perp PT$ である。 直角三角形 $\triangle OTP$ において、$\angle OTP = 90^\circ, \angle OPT = x, OT = 1$ であるから、
$$\sin x = \frac{OT}{OP} \implies OP = \frac{1}{\sin x}$$
また、直線 $RQ$ は線分 $OP$ に平行であり $\angle ROP = 90^\circ$ であるから、錯角より $\angle ORQ = 90^\circ$ である。 半径 $OR=1$ の点 $R$ において $OR \perp RQ$ であることは、直線 $RQ$ が点 $R$ で円 $O$ に接していることを意味する。 点 $Q$ は点 $R$ における接線と点 $T$ における接線の交点である。 円外の点から引いた 2 つの接線の長さは等しいから、$QR = QT$ である。 $\triangle OQR$ と $\triangle OQT$ は、斜辺 $OQ$ が共通、$QR=QT, OR=OT=1$ より合同である。 したがって、$\angle ROQ = \angle TOQ$ である。
ここで、直角三角形 $\triangle OTP$ において $\angle TOP = 90^\circ - x$ であるから、
$$\angle ROT = \angle ROP - \angle TOP = 90^\circ - (90^\circ - x) = x$$
ゆえに、$\angle ROQ = \frac{1}{2} \angle ROT = \frac{x}{2}$ となる。 直角三角形 $\triangle OQR$ において、
$$RQ = OR \tan \frac{x}{2} = \tan \frac{x}{2}$$
したがって、台形 $OPQR$ の面積 $S(x)$ は
$$S(x) = \frac{1}{2} (OP + RQ) \cdot OR = \frac{1}{2} \left( \frac{1}{\sin x} + \tan \frac{x}{2} \right)$$
(2)
$t = \tan \frac{x}{2}$ とおく。 点 $P$ は線分 $OS$ の延長上にあるから $OP > OS = 1$ より $0 < x < \frac{\pi}{2}$ であり、このとき $0 < t < 1$ である。 $\sin x$ を $t$ で表すと、
$$\sin x = \frac{2\sin\frac{x}{2}\cos\frac{x}{2}}{\cos^2\frac{x}{2}+\sin^2\frac{x}{2}} = \frac{2\tan\frac{x}{2}}{1+\tan^2\frac{x}{2}} = \frac{2t}{1+t^2}$$
であるから、$S(x)$ を $t$ を用いて表すと、
$$\begin{aligned} S(x) &= \frac{1}{2} \left( \frac{1+t^2}{2t} + t \right) \\ &= \frac{1+3t^2}{4t} \\ &= \frac{1}{4t} + \frac{3t}{4} \end{aligned}$$
$t > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$S(x) = \frac{1}{4t} + \frac{3t}{4} \ge 2\sqrt{\frac{1}{4t} \cdot \frac{3t}{4}} = 2 \cdot \frac{\sqrt{3}}{4} = \frac{\sqrt{3}}{2}$$
等号が成立するのは $\frac{1}{4t} = \frac{3t}{4}$ すなわち $3t^2 = 1$ のときである。 $0 < t < 1$ より $t = \frac{1}{\sqrt{3}}$ のとき等号が成立し、このとき $\tan \frac{x}{2} = \frac{1}{\sqrt{3}}$ より $\frac{x}{2} = \frac{\pi}{6} \implies x = \frac{\pi}{3}$ となり、定義域に適する。 よって、求める最小値は $\frac{\sqrt{3}}{2}$ である。
解説
(1) において線分の長さを求める際、座標系を設定して直線の方程式の交点として機械的に処理する方針(解法1)と、円外の点から引いた接線の性質や合同な図形に着目して初等幾何的に処理する方針(解法2)のいずれも有効です。 解法1で得られた式と解法2で得られた式は、半角の公式を用いることで
$$\tan \frac{x}{2} = \frac{\sin \frac{x}{2}}{\cos \frac{x}{2}} = \frac{2\sin^2 \frac{x}{2}}{2\sin \frac{x}{2}\cos \frac{x}{2}} = \frac{1-\cos x}{\sin x}$$
のように互いに変換可能であり、どちらの形で答えても正解となります。 (2) は分数関数の最大最小問題における典型的な処理です。そのまま微分して増減を調べるのが標準的ですが、解法2のように $\tan \frac{x}{2} = t$ と置換することで、相加平均と相乗平均の大小関係が利用できる美しい形に帰着させることも可能です。
答え
(1) $S(x) = \frac{2 - \cos x}{2\sin x}$ (または $S(x) = \frac{1}{2} \left( \frac{1}{\sin x} + \tan \frac{x}{2} \right)$ など)
(2) 最小値は $\frac{\sqrt{3}}{2}$
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