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九州大学 1990年 理系 第4問 解説

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九州大学 1990年 理系 第4問 解説

方針・初手

解法1

(1)

点 $P$ は楕円 $\frac{x^2}{4} + y^2 = 1$ 上の第1象限の点であるから、その座標を $(s, t)$ とおくと、$s > 0, t > 0$ であり、次の関係式が成り立つ。

$$\frac{s^2}{4} + t^2 = 1$$

点 $P(s, t)$ における楕円の接線の方程式は、

$$\frac{s}{4}x + ty = 1$$

と表される。この接線が点 $(4, 0)$ を通るので、$x = 4, y = 0$ を代入して、

$$\frac{s}{4} \cdot 4 + t \cdot 0 = 1$$

$$s = 1$$

これを楕円の方程式に代入すると、

$$\frac{1^2}{4} + t^2 = 1$$

$$t^2 = \frac{3}{4}$$

$t > 0$ より、

$$t = \frac{\sqrt{3}}{2}$$

よって、点 $P$ の座標は $\left(1, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ である。

(2)

点 $P$ から $x$ 軸に垂線 $PH$ を下ろすと、$H(1, 0)$ である。 求める領域は、直角三角形 $OPH$ と、曲線 $y = \sqrt{1 - \frac{x^2}{4}}$ ($1 \leqq x \leqq 2$) と $x$ 軸、直線 $x=1$ で囲まれた図形の和である。

直角三角形 $OPH$ の面積 $S_1$ は、

$$S_1 = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\sqrt{3}}{4}$$

曲線と $x$ 軸で囲まれた図形の面積 $S_2$ は、

$$S_2 = \int_{1}^{2} \sqrt{1 - \frac{x^2}{4}} \, dx = \frac{1}{2} \int_{1}^{2} \sqrt{4 - x^2} \, dx$$

ここで、$x = 2\sin\theta$ と置換積分する。 $dx = 2\cos\theta \, d\theta$ であり、$x$ と $\theta$ の対応は以下のようになる。

$$\begin{array}{c|c} x & 1 \rightarrow 2 \\ \hline \theta & \frac{\pi}{6} \rightarrow \frac{\pi}{2} \end{array}$$

この区間において $\cos\theta \geqq 0$ であるから、$\sqrt{4 - x^2} = \sqrt{4(1 - \sin^2\theta)} = 2\cos\theta$ となる。したがって、

$$\begin{aligned} S_2 &= \frac{1}{2} \int_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{2}} 2\cos\theta \cdot 2\cos\theta \, d\theta \\ &= 2 \int_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{2}} \cos^2\theta \, d\theta \\ &= \int_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{2}} (1 + \cos 2\theta) \, d\theta \\ &= \left[ \theta + \frac{1}{2}\sin 2\theta \right]_{\frac{\pi}{6}}^{\frac{\pi}{2}} \\ &= \left( \frac{\pi}{2} + 0 \right) - \left( \frac{\pi}{6} + \frac{1}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \right) \\ &= \frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{4} \end{aligned}$$

ゆえに、求める面積 $S$ は、

$$S = S_1 + S_2 = \frac{\sqrt{3}}{4} + \left( \frac{\pi}{3} - \frac{\sqrt{3}}{4} \right) = \frac{\pi}{3}$$

解法2

(2)

座標平面全体を $y$ 軸方向に $2$ 倍に拡大する変換を考える。 このとき、点 $(x, y)$ は 点 $(x, Y)$ に移り、$Y = 2y$ となる。

楕円 $\frac{x^2}{4} + y^2 = 1$ は、$\frac{x^2}{4} + \left(\frac{Y}{2}\right)^2 = 1$ すなわち $x^2 + Y^2 = 4$ となり、原点中心、半径 $2$ の円となる。 この変換により、点 $O(0, 0)$ は $O'(0, 0)$ に、点 $A(2, 0)$ は $A'(2, 0)$ に移る。 (1) で求めた点 $P\left(1, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ は、点 $P'(1, \sqrt{3})$ に移る。

求める面積 $S$ は、線分 $OA$, $OP$ および楕円の弧 $AP$ で囲まれた部分の面積である。 拡大された図形における対応する領域の面積を $S'$ とすると、変換の性質から $S' = 2S$ が成り立つ。

拡大された領域は、線分 $O'A'$, $O'P'$ および円 $x^2 + Y^2 = 4$ の弧 $A'P'$ で囲まれた扇形である。 点 $P'$ の座標が $(1, \sqrt{3})$ であることから、直線 $O'P'$ が $x$ 軸の正の向きとなす角は $\frac{\pi}{3}$ である。

したがって、扇形 $O'A'P'$ の中心角は $\frac{\pi}{3}$ であり、その面積 $S'$ は、

$$S' = \frac{1}{2} \cdot 2^2 \cdot \frac{\pi}{3} = \frac{2}{3}\pi$$

よって、求める面積 $S$ は、

$$S = \frac{1}{2} S' = \frac{1}{2} \cdot \frac{2}{3}\pi = \frac{\pi}{3}$$

解説

(1) は二次曲線における接線の方程式の公式を正しく使えるかを問う基本的な問題です。接点をおいて公式を適用し、与えられた通過点の条件を処理するのが定石です。

(2) は楕円と直線の囲む面積を求める問題です。解法1のように定積分を用いて素直に計算する方法が基本ですが、無理関数を含む積分となるため置換積分が必要となり、計算量がやや多くなります。 解法2のように、楕円を $x$ 軸または $y$ 軸方向に拡大・縮小して円に帰着させる考え方を用いると、積分の計算を回避し、扇形の面積を求めるだけの簡単な計算で答えを出すことができます。楕円の面積計算においては非常に強力な手法です。

答え

(1)

$$\left( 1, \frac{\sqrt{3}}{2} \right)$$

(2)

$$\frac{\pi}{3}$$

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