東北大学 1997年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) まず
$$ f(x)=\frac{\log x}{x}\qquad (x>0) $$
を微分し,増減を調べる。これで極値とグラフの概形が分かる。
(2) 不等式 $a^x\ge x^a$ は両辺の対数をとると,(1) で調べた関数
$$ \frac{\log t}{t} $$
の大小関係に言い換えられる。したがって (1) の結果をそのまま使えばよい。
解法1
(1) 極値,$x$ 軸との交点,概形
関数
$$ f(x)=\frac{\log x}{x} $$
を微分すると,
$$ f'(x)=\frac{x\cdot \frac{1}{x}-\log x}{x^2} =\frac{1-\log x}{x^2} $$
となる。
ここで $x^2>0$ であるから,$f'(x)$ の符号は $1-\log x$ の符号で決まる。
$$ 1-\log x>0 \iff \log x<1 \iff x<e $$
より,
- $0<x<e$ で $f'(x)>0$
- $x=e$ で $f'(x)=0$
- $x>e$ で $f'(x)<0$
である。したがって $f(x)$ は $x=e$ で極大値をとる。
その値は
$$ f(e)=\frac{\log e}{e}=\frac{1}{e} $$
である。
よって,極値は
- 極大値 $\dfrac{1}{e}$ ($x=e$ のとき)
- 極小値はない
である。
次に,$x$ 軸との交点は
$$ f(x)=0 \iff \frac{\log x}{x}=0 \iff \log x=0 \iff x=1 $$
より,
$$ (1,0) $$
である。
さらに両端の様子をみると,
$$ \lim_{x\to 0+}\frac{\log x}{x}=-\infty, \qquad \lim_{x\to \infty}\frac{\log x}{x}=0 $$
である。
したがってグラフの概形は次のようになる。
- $x\to 0+$ で $y\to -\infty$
- $0<x<e$ で単調増加
- $x=1$ で $x$ 軸と交わる
- $x=e$ で極大値 $\dfrac{1}{e}$ をとる
- $x>e$ で単調減少
- $x\to \infty$ で $y\to 0+$
(2) $a$ の範囲
$a>0$ とする。不等式
$$ a^x\ge x^a $$
が $x\ge a$ を満たすすべての $x$ に対して成り立つ条件を求める。
両辺は正なので対数をとることができ,
$$ a^x\ge x^a \iff x\log a\ge a\log x \iff \frac{\log a}{a}\ge \frac{\log x}{x} $$
となる。
ここで
$$ f(t)=\frac{\log t}{t} $$
とおけば,これは
$$ f(a)\ge f(x)\qquad (x\ge a) $$
がすべての $x\ge a$ に対して成り立つことを意味する。
(1) より,$f(t)$ は $t=e$ までは増加し,$t=e$ 以降は減少する。
したがって,$x\ge a$ の範囲で常に $f(a)\ge f(x)$ が成り立つためには,$a$ が減少区間の入り口以降にあること,すなわち
$$ a\ge e $$
でなければならない。
実際,
- $a\ge e$ のとき $f$ は $[a,\infty)$ で単調減少だから,任意の $x\ge a$ に対して
$$ f(a)\ge f(x) $$
となり,したがって
$$ a^x\ge x^a $$
が成り立つ。
- $0<a<e$ のとき $f$ は $[a,e]$ で増加するから,たとえば $x=e$ をとると
$$ f(e)>f(a) $$
となる。よって
$$ \frac{\log a}{a}\ge \frac{\log e}{e} $$
は成り立たず,したがって $a^x\ge x^a$ は $x\ge a$ のすべてでは成り立たない。
以上より,求める範囲は
$$ a\ge e $$
である。
解説
この問題の核は
$$ \frac{\log x}{x} $$
の増減である。
(1) では,微分して極大を調べればグラフはほぼ決まる。特に $x=e$ で最大になることが重要である。
(2) では,そのまま指数関数の大小を比べるのではなく,対数をとって
$$ a^x\ge x^a \iff \frac{\log a}{a}\ge \frac{\log x}{x} $$
と変形するのが典型手法である。すると (1) の結果がそのまま使え,$a$ は減少区間に入っていなければならないことが分かる。
答え
(1)
- 極大値は $\dfrac{1}{e}$ ($x=e$ のとき)
- 極小値はない
- $x$ 軸との交点は $(1,0)$
グラフは,$x\to 0+$ で $-\infty$ に下がり,$x=1$ で $x$ 軸と交わり,$x=e$ で最大値 $\dfrac{1}{e}$ をとったのち,単調減少して $x\to\infty$ で $0$ に近づく。
(2)
$$ a\ge e $$
である。
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