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九州大学 2003年 理系 第8問 解説

数学2/図形と式数学2/微分法数学C/式と曲線テーマ/接線・法線テーマ/軌跡・領域
九州大学 2003年 理系 第8問 解説

方針・初手

放物線外の点から引いた2本の接線のなす角に関する典型問題である。まずは接線の傾き $m$ と点 $P$ の座標を結びつける2次方程式を立て、解と係数の関係を利用する。 (1) では、直線の傾きから偏角(あるいは方向ベクトル)を考え、図形的な関係からなす角を $\tan$ の式に落とし込む。 (2) では、(1)で得た関係式に解と係数の関係を適用して軌跡の方程式を求める。その際、$\tan\theta > 0$ から生じる隠れた条件($y$ 座標の制限)を逃さないことが重要になる。


解法1

放物線 $y = \frac{1}{4}x^2$ について $y' = \frac{1}{2}x$ であるから、接点の $x$ 座標を $t$ とすると、接線の傾きは $m = \frac{1}{2}t$ となる。 接点 $(2m, m^2)$ における接線の方程式は $$y - m^2 = m(x - 2m) \iff y = mx - m^2$$ これが点 $P(a, b)$ を通るので $$b = ma - m^2 \iff m^2 - am + b = 0 \quad \cdots (*)$$ 点 $P$ からは2本の接線が引けるため、この2次方程式は異なる2つの実数解 $m_1, m_2$ をもつ。これらが接線 $PQ, PR$ の傾きである。

(1) 解と係数の関係より、$m_1 + m_2 = a, \ m_1 m_2 = b$ である。 接点 $Q, R$ の $x$ 座標はそれぞれ $2m_1, 2m_2$ であり、点 $P$ との $x$ 座標の差はそれぞれ $$2m_1 - a = 2m_1 - (m_1 + m_2) = m_1 - m_2$$ $$2m_2 - a = 2m_2 - (m_1 + m_2) = m_2 - m_1$$ $m_1 < 0 < m_2$ より $m_1 - m_2 < 0$、$m_2 - m_1 > 0$ であるから、点 $P$ から見て $Q$ は左方向、$R$ は右方向にある。 $x$ 軸の正の向きから接線 $PQ, PR$ へ測った角を $\alpha_1, \alpha_2$ $\left(-\frac{\pi}{2} < \alpha_1 < \frac{\pi}{2}, -\frac{\pi}{2} < \alpha_2 < \frac{\pi}{2}\right)$ とすると、 $\tan\alpha_1 = m_1 < 0$、$\tan\alpha_2 = m_2 > 0$ より $-\frac{\pi}{2} < \alpha_1 < 0 < \alpha_2 < \frac{\pi}{2}$ である。 $Q$ が左、$R$ が右にあることから、ベクトル $\vec{PQ}$ の偏角は $\alpha_1 + \pi$、ベクトル $\vec{PR}$ の偏角は $\alpha_2$ となる。 これら2つのベクトルのなす角が $\angle QPR = \theta$ であるから、図形的な関係より $$\theta = (\alpha_1 + \pi) - \alpha_2 = \pi - (\alpha_2 - \alpha_1)$$ したがって、 $$\tan\theta = \tan(\pi - (\alpha_2 - \alpha_1)) = -\tan(\alpha_2 - \alpha_1)$$ $$= - \frac{\tan\alpha_2 - \tan\alpha_1}{1 + \tan\alpha_1 \tan\alpha_2} = - \frac{m_2 - m_1}{1 + m_1 m_2} = \frac{m_1 - m_2}{1 + m_1 m_2}$$

(2) 求める図形 $G$ 上の点 $P$ の座標を $(x, y)$ とおく。 (1)の冒頭と同様の議論により、$m^2 - xm + y = 0$ の2解を $m_1, m_2$($m_1 < m_2$ とする)とすると、 判別式より $x^2 - 4y > 0$ であり、解と係数の関係より $$m_1 + m_2 = x, \quad m_1 m_2 = y$$ ここで、(1)で求めた $\tan\theta = \frac{m_1 - m_2}{1 + m_1 m_2}$ は、$m_1, m_2$ の符号によらず成り立つ(後述の解法2を参照)。 $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $\tan\theta > 0$ である。 分子について $m_1 - m_2 = -\sqrt{(m_1+m_2)^2 - 4m_1 m_2} = -\sqrt{x^2 - 4y} < 0$ であるから、$\tan\theta > 0$ を満たすためには、分母も負でなければならない。 よって $1 + m_1 m_2 < 0 \iff 1 + y < 0 \iff y < -1$ である。 (このとき常に $x^2 - 4y \ge 0 - 4(-1) = 4 > 0$ となり、判別式の条件は満たされる) $$\tan\theta = \frac{-\sqrt{x^2 - 4y}}{1 + y}$$ 両辺はともに正であるから、両辺を2乗して同値変形する。 $$\tan^2\theta = \frac{x^2 - 4y}{(y+1)^2}$$ $$x^2 - (y+1)^2 \tan^2\theta - 4y = 0$$ これが求める図形 $G$ の方程式であり、条件 $y < -1$ がつく。

(3) $\theta = \frac{\pi}{4}$ のとき、$\tan\theta = 1$ である。これを(2)の結果に代入すると、 $$x^2 - (y+1)^2 - 4y = 0$$ $$x^2 - y^2 - 6y - 1 = 0$$ $$x^2 - (y+3)^2 = -8$$ $$\frac{(y+3)^2}{8} - \frac{x^2}{8} = 1$$ これは、中心が $(0, -3)$、頂点が $(0, -3 \pm 2\sqrt{2})$ の双曲線である。 条件 $y < -1$ より、上側の頂点 $-3 + 2\sqrt{2} \approx -0.17$ は $-1$ より大きいため不適となる。 よって、下側の枝 $y \le -3 - 2\sqrt{2}$ の部分が求める図形である。 漸近線は $(y+3)^2 - x^2 = 0$ より、2直線 $y = x - 3$ と $y = -x - 3$ である。 これらをもとに座標平面上に図示する。


解法2

(1) 別解(ベクトルを用いた解法) 接点 $Q, R$ の座標は $Q(2m_1, m_1^2), R(2m_2, m_2^2)$ と書ける。 ベクトル $\vec{PQ}$ は、$a = m_1 + m_2, b = m_1 m_2$ を用いると $$\vec{PQ} = (2m_1 - a, m_1^2 - b) = (m_1 - m_2, m_1(m_1 - m_2)) = (m_1 - m_2)(1, m_1)$$ $m_1 < m_2$ より $m_1 - m_2 < 0$ であるから、$\vec{PQ}$ はベクトル $\vec{u} = (-1, -m_1)$ と同じ向きをもつ。 同様に、 $$\vec{PR} = (2m_2 - a, m_2^2 - b) = (m_2 - m_1, m_2(m_2 - m_1)) = (m_2 - m_1)(1, m_2)$$ $m_2 - m_1 > 0$ であるから、$\vec{PR}$ はベクトル $\vec{v} = (1, m_2)$ と同じ向きをもつ。 $\angle QPR = \theta$ であるから、$\vec{u}$ と $\vec{v}$ のなす角が $\theta$ である。 $$\cos\theta = \frac{\vec{u} \cdot \vec{v}}{|\vec{u}||\vec{v}|} = \frac{-1 - m_1 m_2}{\sqrt{1+m_1^2}\sqrt{1+m_2^2}}$$ また、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $\sin\theta > 0$ であり、 $$\sin\theta = \sqrt{1 - \cos^2\theta} = \frac{\sqrt{(1+m_1^2)(1+m_2^2) - (-1-m_1m_2)^2}}{\sqrt{1+m_1^2}\sqrt{1+m_2^2}}$$ $$= \frac{\sqrt{m_1^2 - 2m_1 m_2 + m_2^2}}{\sqrt{1+m_1^2}\sqrt{1+m_2^2}} = \frac{m_2 - m_1}{\sqrt{1+m_1^2}\sqrt{1+m_2^2}}$$ したがって、 $$\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta} = \frac{m_2 - m_1}{-1 - m_1 m_2} = \frac{m_1 - m_2}{1 + m_1 m_2}$$ (この解法により、$\tan\theta$ の式が $m_1, m_2$ の符号によらず成立することが明示的に分かるため、(2)への接続がより自然になる。)


解説

放物線の2接線のなす角(交角)に関する軌跡の標準的な問題である。 最大のポイントは、(2)において「$\tan\theta > 0$」という条件から分母の符号に注目し、$y < -1$(点 $P$ が準線よりも下側にある)という隠れた変域を導き出せるかどうかである。放物線の準線上から引いた2接線は直交する(なす角が $\frac{\pi}{2}$ になる)という性質を知っていれば、「なす角が鋭角になるのは準線より下側である」と図形的に当たりをつけることも可能であり、検算に役立つ。


答え

(1) $$\tan\theta = \frac{m_1 - m_2}{1 + m_1 m_2}$$

(2) $$x^2 - (y+1)^2 \tan^2\theta - 4y = 0 \quad (y < -1)$$

(3) 頂点 $(0, -3-2\sqrt{2})$ をもち、2直線 $y = x - 3, y = -x - 3$ を漸近線とする双曲線 $\frac{(y+3)^2}{8} - \frac{x^2}{8} = 1$ の下側の枝($y \le -3-2\sqrt{2}$ にある下に凸な曲線)。

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