九州大学 2001年 理系 第1問 解説

方針・初手
関数 $f(x)$ がある区間でつねに増加するための条件は、その区間において導関数 $f'(x) \ge 0$ が常につねに成り立つことである。本問では $f(x)$ の式にパラメータ $a, b$ が含まれており、特に $x^3$ の係数に $a$ があるため、$f'(x)$ は $a=0$ のときは1次関数、$a \neq 0$ のときは2次関数となる。したがって、$a=0$ の場合と $a \neq 0$ の場合で関数 $f'(x)$ のグラフの形状が変わることに注意して、場合分けを行いながら $f'(x) \ge 0$ となる条件を処理していく。
解法1
関数 $f(x) = \frac{2}{3}ax^3 + (a+b)x^2 + (b+1)x$ を $x$ で微分すると
$$f'(x) = 2ax^2 + 2(a+b)x + (b+1)$$
となる。
(1)
関数 $f(x)$ がつねに増加するための条件は、すべての実数 $x$ に対して $f'(x) \ge 0$ が成り立つことである。
(i) $a = 0$ のとき
$$f'(x) = 2bx + b + 1$$
これがすべての実数 $x$ に対して $f'(x) \ge 0$ となるためには、 $x$ の係数が $0$ であり、かつ定数項が $0$ 以上でなければならない。
$$2b = 0 \quad \text{かつ} \quad b+1 \ge 0$$
これを解いて $b = 0$ となる。
(ii) $a \neq 0$ のとき
$f'(x)$ は2次関数である。すべての実数 $x$ に対して $f'(x) \ge 0$ が成り立つためには、$y=f'(x)$ のグラフが下に凸であり、かつ $x$ 軸と交わらないか接する状態であればよい。 したがって、$x^2$ の係数について $2a > 0$ であり、かつ2次方程式 $f'(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると $D \le 0$ であればよい。
$$a > 0 \quad \cdots \text{①}$$
$$\frac{D}{4} = (a+b)^2 - 2a(b+1) \le 0$$
式を整理すると
$$a^2 + 2ab + b^2 - 2ab - 2a \le 0$$
$$a^2 - 2a + b^2 \le 0$$
$$(a-1)^2 + b^2 \le 1 \quad \cdots \text{②}$$
ここで、(i) で求めた $(a, b) = (0, 0)$ は、不等式 $(0-1)^2 + 0^2 = 1 \le 1$ を満たすので、② の領域に含まれる。また、② が表す領域 $(a-1)^2 + b^2 \le 1$ は中心 $(1, 0)$、半径 $1$ の円の内部および境界であり、この円は原点 $(0, 0)$ を通り $y$ 軸に接するため、$(a, b) = (0, 0)$ 以外の点では常に $a > 0$ を満たし、条件 ① と矛盾しない。
よって、求める条件は
$$(a-1)^2 + b^2 \le 1$$
である。その範囲を $ab$ 平面上に図示すると、中心 $(1, 0)$、半径 $1$ の円の内部および境界となる。(図は省略するが、答えの項に詳細を記述する)
(2)
$a = 0$ のとき、
$$f'(x) = 2bx + b + 1$$
である。関数 $f(x)$ が $x > -1$ においてつねに増加するための条件は、$x > -1$ を満たすすべての $x$ に対して $f'(x) \ge 0$ となることである。 $g(x) = 2bx + b + 1$ とおく。
(i) $b > 0$ のとき
$g(x)$ は単調に増加する1次関数である。$x > -1$ で常に $g(x) \ge 0$ となる条件は、$g(-1) \ge 0$ であることである。
$$g(-1) = 2b(-1) + b + 1 = -b + 1 \ge 0$$
よって $b \le 1$ となる。$b > 0$ であるから、 $0 < b \le 1$ である。
(ii) $b = 0$ のとき
$g(x) = 1$ となり、$x > -1$ において常に $g(x) \ge 0$ を満たす。よって適する。
(iii) $b < 0$ のとき
$g(x)$ は単調に減少する1次関数である。$x \to \infty$ のとき $g(x) \to -\infty$ となるため、$x > -1$ の範囲でつねに $g(x) \ge 0$ となることはなく、不適である。
以上より、求める $b$ の条件は
$$0 \le b \le 1$$
である。
(3)
関数 $f(x)$ が $x > -1$ においてつねに増加するための条件は、$x > -1$ を満たすすべての実数 $x$ に対して $f'(x) \ge 0$ が成り立つことである。 $h(x) = 2ax^2 + 2(a+b)x + (b+1)$ とおく。
(i) $a = 0$ のとき
(2) より、求める条件は
$$0 \le b \le 1 \quad \cdots \text{③}$$
(ii) $a < 0$ のとき
$y=h(x)$ のグラフは上に凸の放物線となる。$x \to \infty$ のとき $h(x) \to -\infty$ となるため、$x > -1$ を満たすすべての $x$ に対して $h(x) \ge 0$ となることはなく、不適である。
(iii) $a > 0$ のとき
$h(x)$ を平方完成すると
$$h(x) = 2a\left(x + \frac{a+b}{2a}\right)^2 - \frac{(a+b)^2}{2a} + (b+1)$$
となり、軸は直線 $x = -\frac{a+b}{2a}$ である。軸の位置と区間 $x > -1$ の位置関係で場合分けをする。
(ア) 軸が $x \le -1$ にあるとき
$$-\frac{a+b}{2a} \le -1$$
$a > 0$ より両辺に $-2a$ を掛けて向きを変えると
$$a+b \ge 2a \iff b \ge a$$
このとき、$x > -1$ の範囲において $h(x)$ は単調に増加するので、$h(x) \ge 0$ がつねに成り立つ条件は $h(-1) \ge 0$ であることである。
$$h(-1) = 2a(-1)^2 + 2(a+b)(-1) + b + 1 = 2a - 2a - 2b + b + 1 = -b + 1 \ge 0$$
よって $b \le 1$ となる。 したがって、この場合の条件は
$$a > 0 \quad \text{かつ} \quad a \le b \le 1 \quad \cdots \text{④}$$
(イ) 軸が $x > -1$ にあるとき
$$-\frac{a+b}{2a} > -1$$
$a > 0$ より
$$a+b < 2a \iff b < a$$
このとき、$x > -1$ の範囲において $h(x)$ は頂点で最小値をとるため、$h(x) \ge 0$ がつねに成り立つ条件は、頂点の $y$ 座標が $0$ 以上、すなわち判別式 $D \le 0$ である。 (1) と同様に計算して
$$(a-1)^2 + b^2 \le 1$$
したがって、この場合の条件は
$$a > 0 \quad \text{かつ} \quad b < a \quad \text{かつ} \quad (a-1)^2 + b^2 \le 1 \quad \cdots \text{⑤}$$
以上 (i), (ii), (iii) より、求める条件は③、④、⑤の和集合である。 領域の境界について考察する。 直線 $b=a$ と円 $(a-1)^2 + b^2 = 1$ の交点は、
$$(a-1)^2 + a^2 = 1$$
$$2a^2 - 2a = 0$$
$$2a(a-1) = 0$$
より $a = 0, 1$ となり、交点は $(0, 0)$ と $(1, 1)$ である。 点 $(1, 1)$ は直線 $b=1$ 上にもある。また、円 $(a-1)^2 + b^2 = 1$ は点 $(1, 1)$ において直線 $b=1$ に接している。
これらを踏まえて $ab$ 平面上に図示すると、求める領域は、直線 $b=a$ 、$y$軸、直線 $b=1$ で囲まれた三角形の領域と、円 $(a-1)^2 + b^2 \le 1$ のうち直線 $b=a$ の下側にある領域を合わせたものになる(境界線を含む)。
解説
関数の増減と導関数の符号の関係、および区間における2次不等式の成立条件(絶対不等式)を組み合わせた標準的な問題である。 最高次の係数に文字が含まれているため、$a=0$ の場合と $a \neq 0$ の場合で関数の次数が変わることに気づき、適切に場合分けをして処理することが最も重要である。 (3) では、2次関数の軸の位置によって最小値をとる場所が変わるため、さらに場合分けが必要になる。境界がどのようにつながるか(接するのか交わるのか)を交点を求めて正確に確認することで、正しい領域の図示が可能となる。
答え
(1) 条件:$(a-1)^2 + b^2 \le 1$ 図示:$ab$ 平面上において、中心 $(1, 0)$、半径 $1$ の円の内部および境界。
(2) $0 \le b \le 1$
(3) 条件:
$$\begin{cases} a=0 \text{ のとき } 0 \le b \le 1 \\ a>0 \text{ かつ } b \ge a \text{ のとき } b \le 1 \\ a>0 \text{ かつ } b < a \text{ のとき } (a-1)^2 + b^2 \le 1 \end{cases}$$
図示:$ab$ 平面上において、 ・$0 \le a \le 1$ かつ $a \le b \le 1$ で表される三角形の領域 ・$(a-1)^2 + b^2 \le 1$ かつ $b < a$ で表される円の一部 を合わせた領域。境界線はすべて含む。
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