北海道大学 2019年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) 関数の微分を行い、導関数 $f'(x) = 0$ となる $x$ の条件を求める。極値をもつことを示すためには、導関数の符号変化を確認する必要がある。その際、関数の定義域(分母が $0$ になる点を除外)と $f'(x) = 0$ となる $x$ の大小関係を丁寧に調べて増減を判定する。
(2) 中点の座標 $(X, Y)$ を $\alpha, \beta$ と $t$ を用いて表し、$X, Y$ の関係式を導く。その際、$Y$ 座標の計算において $f(\alpha), f(\beta)$ にそのまま代入すると計算が極めて煩雑になるため、$f'(\alpha) = 0, f'(\beta) = 0$ となる関係式を用いて式の形を簡略化することがポイントである。
解法1
(1)
関数 $f(x)$ の定義域は $x \neq 0, \frac{1}{t}$ である。
$$f(x) = \frac{x+t}{x(1-tx)} = \frac{x+t}{x-tx^2}$$
商の微分法を用いて導関数を求める。
$$f'(x) = \frac{1 \cdot (x-tx^2) - (x+t)(1-2tx)}{(x-tx^2)^2}$$
分子を展開して整理する。
$$(x-tx^2) - (x - 2tx^2 + t - 2t^2x) = tx^2 + 2t^2x - t = t(x^2+2tx-1)$$
したがって、
$$f'(x) = \frac{t(x^2+2tx-1)}{x^2(1-tx)^2}$$
となる。ここで、$t > 0$ であり、分母の $x^2(1-tx)^2$ は定義域において常に正である。 したがって、$f'(x)$ の符号は分子の2次関数 $g(x) = x^2+2tx-1$ の符号と一致する。
方程式 $g(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると、
$$\frac{D}{4} = t^2 - (-1) = t^2+1$$
$t^2+1 > 0$ であるため、$g(x) = 0$ は異なる2つの実数解をもつ。これらを $\alpha, \beta \ (\alpha < \beta)$ とおく。 これらが定義域の除外点 $x=0, \frac{1}{t}$ とならないこと、および各点との大小関係を確認する。
$$g(0) = -1 < 0$$
$$g\left(\frac{1}{t}\right) = \left(\frac{1}{t}\right)^2 + 2t \cdot \frac{1}{t} - 1 = \frac{1}{t^2} + 1 > 0$$
放物線 $y=g(x)$ は下に凸であり、軸は直線 $x=-t$ である。 $0 < t < 1$ より $-t < 0 < \frac{1}{t}$ である。 $g(0) < 0$ より、2解は $0$ を挟むため $\alpha < 0 < \beta$ である。 また、$\beta > 0$ であり、$x>0$ の範囲において $g\left(\frac{1}{t}\right) > 0$ であるから、$\beta < \frac{1}{t}$ である。
以上より、$\alpha, \beta, 0, \frac{1}{t}$ の大小関係は
$$\alpha < 0 < \beta < \frac{1}{t}$$
となる。これより $\alpha, \beta$ は定義域に含まれる。 $f'(x)$ の符号は $g(x)$ の符号と一致するため、定義域内の各区間における符号は以下のようになる。
- $x < \alpha$ のとき $f'(x) > 0$
- $\alpha < x < 0$ のとき $f'(x) < 0$
- $0 < x < \beta$ のとき $f'(x) < 0$
- $\beta < x < \frac{1}{t}$ のとき $f'(x) > 0$
- $\frac{1}{t} < x$ のとき $f'(x) > 0$
したがって、$f(x)$ は $x=\alpha$ の前後で単調増加から単調減少に変わるため極大となり、$x=\beta$ の前後で単調減少から単調増加に変わるため極小となる。 ゆえに、$f(x)$ は極大値と極小値を1つずつもつ。
(2)
点 $P(\alpha, f(\alpha))$ と $Q(\beta, f(\beta))$ の中点を $M(X,Y)$ とする。
$$X = \frac{\alpha+\beta}{2}, \quad Y = \frac{f(\alpha)+f(\beta)}{2}$$
$\alpha, \beta$ は2次方程式 $x^2+2tx-1=0$ の2解であるから、解と係数の関係より
$$\alpha+\beta = -2t, \quad \alpha\beta = -1$$
が成り立つ。よって、$X$ 座標は
$$X = \frac{-2t}{2} = -t$$
となる。$0 < t < 1$ であるから、
$$-1 < X < 0$$
である。次に $Y$ 座標を求める。$f'(\alpha) = 0$ より、(1) の微分の計算過程から
$$\alpha-t\alpha^2 - (\alpha+t)(1-2t\alpha) = 0$$
$$\alpha-t\alpha^2 = (\alpha+t)(1-2t\alpha)$$
が成り立つ。ここで、$\alpha+t = 0$ と仮定すると $\alpha = -t$ となり、$g(-t) = (-t)^2+2t(-t)-1 = -t^2-1 < 0$ より $g(\alpha)=0$ に矛盾する。よって $\alpha+t \neq 0$ であるため、両辺を $\alpha+t$ で割ることができ、さらに $\alpha-t\alpha^2 = \alpha(1-t\alpha)$ も $0$ ではないため、
$$f(\alpha) = \frac{\alpha+t}{\alpha-t\alpha^2} = \frac{1}{1-2t\alpha}$$
と変形できる。まったく同様にして、$f(\beta) = \frac{1}{1-2t\beta}$ となる。 これを用いて $Y$ 座標を計算する。
$$Y = \frac{1}{2} \left( \frac{1}{1-2t\alpha} + \frac{1}{1-2t\beta} \right) = \frac{1}{2} \cdot \frac{1-2t\beta + 1-2t\alpha}{(1-2t\alpha)(1-2t\beta)} = \frac{1}{2} \cdot \frac{2-2t(\alpha+\beta)}{1-2t(\alpha+\beta)+4t^2\alpha\beta}$$
解と係数の関係 $\alpha+\beta = -2t, \alpha\beta = -1$ を代入する。
$$Y = \frac{1}{2} \cdot \frac{2 - 2t(-2t)}{1 - 2t(-2t) + 4t^2(-1)} = \frac{1}{2} \cdot \frac{2 + 4t^2}{1 + 4t^2 - 4t^2} = 1+2t^2$$
$t = -X$ を代入すると、
$$Y = 1 + 2(-X)^2 = 2X^2+1$$
が得られる。$X$ の変域は $-1 < X < 0$ である。 以上より、点 $M$ の軌跡は放物線 $y = 2x^2+1$ の $-1 < x < 0$ の部分となる。
解説
極値の座標や軌跡を求める問題において、極値を与える $x$ の値(本問の $\alpha, \beta$)をそのまま関数に代入すると、無理式や高次式が現れて計算が非常に煩雑になることが多い。このような場合、$\alpha, \beta$ が方程式 $f'(x) = 0$ の解であることを利用して次数を下げたり、形を簡略化する手法が極めて有効である。 特に本問のような分数関数 $f(x) = \frac{P(x)}{Q(x)}$ の場合、$f'(x) = \frac{P'(x)Q(x)-P(x)Q'(x)}{\{Q(x)\}^2} = 0$ から $P'(x)Q(x) = P(x)Q'(x)$ となり、極値においては $f(x) = \frac{P'(x)}{Q'(x)}$ が成り立つという性質がある。この関係に気づけば、(2) の計算量を劇的に減らすことができる。
答え
(1) $f(x)$ は極大値と極小値を 1 つずつもつ。
(2) 放物線 $y = 2x^2+1$ の $-1 < x < 0$ の部分
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