九州大学 2001年 理系 第2問 解説

方針・初手
- (1) 点対称の定義にしたがい、対称の中心が2点の中点となる条件を利用する。
- (2) 一般の点 $(p, q)$ に関して対称となる条件式 $f(p+t) + f(p-t) = 2q$ (または $f(x) + f(2p-x) = 2q$)が、すべての実数で成り立つような $(p, q)$ が存在することを示す。
- (3) 直線に関する対称点の2つの条件である「結ぶ線分が直線と垂直に交わる」ことと「線分の中点が直線上にある」ことを連立して解く。
- (4) 背理法を用いる。(3) で求めた対称点の座標が元の3次関数上にあると仮定し、方程式の両辺の多項式としての次数を比較することで矛盾を導く。
(1)
解法1
求める対称な点の座標を $(X', Y')$ とする。
点 $(p, q)$ は、点 $(X, Y)$ と点 $(X', Y')$ を結ぶ線分の中点である。したがって、次が成り立つ。
$$\frac{X + X'}{2} = p, \quad \frac{Y + Y'}{2} = q$$
これを $X', Y'$ について解く。
$$X' = 2p - X, \quad Y' = 2q - Y$$
よって、求める点の座標は $(2p - X, 2q - Y)$ である。
(2)
解法1
関数を $f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ とおく。
$G$ がある点 $(p, q)$ に関して点対称であるとは、任意の $G$ 上の点 $(x, f(x))$ に対して、点 $(p, q)$ に関して対称な点も常に $G$ 上に存在することである。
(1) の結果より、点 $(x, f(x))$ の点 $(p, q)$ に関する対称点の座標は $(2p - x, 2q - f(x))$ である。これが $G$ 上にあるための条件は、すべての実数 $x$ について次が成り立つことである。
$$2q - f(x) = f(2p - x)$$
すなわち、次の式が $x$ についての恒等式となるような $(p, q)$ の存在を示せばよい。
$$f(x) + f(2p - x) = 2q$$
$x = p + t$ とおくと $2p - x = p - t$ となるから、上の式はすべての実数 $t$ について次が成り立つことと同値である。
$$f(p + t) + f(p - t) = 2q$$
ここで、$f(p + t)$ を展開して整理する。
$$\begin{aligned} f(p + t) &= (p + t)^3 + a(p + t)^2 + b(p + t) + c \\ &= t^3 + (3p + a)t^2 + (3p^2 + 2ap + b)t + (p^3 + ap^2 + bp + c) \end{aligned}$$
$t^2$ の項の係数が $0$ になるように $3p + a = 0$ とすると、$p = -\frac{a}{3}$ である。このとき、
$$\begin{aligned} f(p + t) &= t^3 + \left(3\left(-\frac{a}{3}\right)^2 + 2a\left(-\frac{a}{3}\right) + b\right)t + f(p) \\ &= t^3 + \left(-\frac{a^2}{3} + b\right)t + f(p) \end{aligned}$$
となる。ゆえに $f(p - t)$ は $t$ を $-t$ に置き換えて、
$$f(p - t) = -t^3 - \left(-\frac{a^2}{3} + b\right)t + f(p)$$
となる。したがって、すべての実数 $t$ について次が成り立つ。
$$f(p + t) + f(p - t) = 2f(p)$$
$q = f(p) = -\frac{a^3}{27} + \frac{a^3}{9} - \frac{ab}{3} + c = \frac{2a^3}{27} - \frac{ab}{3} + c$ と定めれば、$t$ (すなわち $x$)の値に関わらず $f(x) + f(2p - x) = 2q$ が成り立つ。
以上より、$G$ は点 $\left(-\frac{a}{3}, \frac{2a^3}{27} - \frac{ab}{3} + c\right)$ に関して点対称であることが示された。
(3)
解法1
直線 $mx + ny = 0$ を $l$ とし、求める対称な点を $(X', Y')$ とする。
点 $(X, Y)$ と点 $(X', Y')$ が異なる場合、直線 $l$ は2点を結ぶ線分の垂直二等分線となるため、以下の2つの条件を満たす。
(i) 線分の中点が $l$ 上にある。
$$m\left(\frac{X + X'}{2}\right) + n\left(\frac{Y + Y'}{2}\right) = 0$$
$$mX' + nY' = -(mX + nY) \quad \cdots ①$$
(ii) 2点を結ぶ線分と直線 $l$ は垂直に交わる。
直線 $l$ の法線ベクトルは $(m, n)$ であり、これがベクトル $(X' - X, Y' - Y)$ と平行である。したがって、ある実数 $k$ を用いて次のように表せる。
$$X' - X = km, \quad Y' - Y = kn$$
すなわち
$$X' = X + km, \quad Y' = Y + kn \quad \cdots ②$$
② を ① に代入する。
$$m(X + km) + n(Y + kn) = -(mX + nY)$$
$$mX + km^2 + nY + kn^2 = -mX - nY$$
$$k(m^2 + n^2) = -2(mX + nY)$$
仮定より $m, n$ は共には $0$ でないので $m^2 + n^2 \neq 0$ であり、$k$ は次のように求まる。
$$k = -\frac{2(mX + nY)}{m^2 + n^2}$$
これを ② に代入して整理する。
$$\begin{aligned} X' &= X - \frac{2m(mX + nY)}{m^2 + n^2} = \frac{(m^2 + n^2)X - 2m^2X - 2mnY}{m^2 + n^2} = \frac{(n^2 - m^2)X - 2mnY}{m^2 + n^2} \\ Y' &= Y - \frac{2n(mX + nY)}{m^2 + n^2} = \frac{(m^2 + n^2)Y - 2mnX - 2n^2Y}{m^2 + n^2} = \frac{-2mnX + (m^2 - n^2)Y}{m^2 + n^2} \end{aligned}$$
点 $(X, Y)$ が直線 $l$ 上にある場合、対称な点は自身となるが、上の結果の式に $mX+nY=0$ を代入すると $(X', Y') = (X, Y)$ となり、この場合も満たす。
よって、求める点の座標は
$$\left( \frac{(n^2 - m^2)X - 2mnY}{m^2 + n^2}, \frac{-2mnX + (m^2 - n^2)Y}{m^2 + n^2} \right)$$
(4)
解法1
関数を $f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ とする。
$G: y = f(x)$ が、原点を通るある直線 $l: mx + ny = 0$ ($m, n$ は共には $0$ でない)に関して線対称であると仮定して矛盾を導く。
仮定より、任意の $G$ 上の点 $P(x, f(x))$ の $l$ に関する対称点 $P'(X', Y')$ も常に $G$ 上にある。すなわち、すべての実数 $x$ について $Y' = f(X')$ が成り立つ。
(3) の結果より、対称点の座標は次の通りである。
$$X' = \frac{(n^2 - m^2)x - 2mnf(x)}{m^2 + n^2}$$
$$Y' = \frac{-2mnx + (m^2 - n^2)f(x)}{m^2 + n^2}$$
ここで、$m$ と $n$ の値によって場合分けを行う。
(i) $mn \neq 0$ のとき
$X'$ は $x$ の3次式であり、その $x^3$ の係数は $-\frac{2mn}{m^2 + n^2} \neq 0$ である。 したがって、$f(X') = (X')^3 + a(X')^2 + bX' + c$ を $x$ について展開したとき、その最高次の項は $(X')^3$ に由来する $x^9$ の項となり、その係数は $\left(-\frac{2mn}{m^2 + n^2}\right)^3 \neq 0$ となる。つまり $f(X')$ は $x$ の9次関数である。 一方、$Y'$ は $x$ と $f(x)$ の一次結合であるため、$x$ の3次関数である。 これがすべての実数 $x$ に対して $Y' = f(X')$ を満たすことはなく、矛盾する。
(ii) $mn = 0$ のとき
$m, n$ は共には $0$ でないので、$m = 0$ または $n = 0$ である。
(ア) $m = 0$ かつ $n \neq 0$ のとき 直線 $l$ の方程式は $y = 0$($x$軸)である。(3) の結果に代入すると、点 $(x, f(x))$ の対称点は $(x, -f(x))$ となる。 これが $G$ 上にあるためには、すべての実数 $x$ に対して $-f(x) = f(x)$、すなわち $f(x) = 0$ となる必要があるが、$f(x)$ は3次関数であるため矛盾する。
(イ) $n = 0$ かつ $m \neq 0$ のとき 直線 $l$ の方程式は $x = 0$($y$軸)である。(3) の結果に代入すると、点 $(x, f(x))$ の対称点は $(-x, f(x))$ となる。 これが $G$ 上にあるためには、すべての実数 $x$ に対して $f(x) = f(-x)$ となる必要がある。
$$x^3 + ax^2 + bx + c = (-x)^3 + a(-x)^2 + b(-x) + c$$
$$2x^3 + 2bx = 0$$
これがすべての実数 $x$ で成り立つ恒等式となるためにはすべての係数が $0$ でなければならないが、$x^3$ の係数は $2 \neq 0$ であるため矛盾する。
以上 (i), (ii) のすべてのケースで矛盾が生じる。 したがって、$G$ は原点を通るどんな直線に関しても線対称ではない。
解説
- この問題は、図形の対称性(点対称および線対称)を数式として表現し、論証する力を問うものである。
- (2) では「3次関数のグラフは変曲点に関して点対称である」という重要な性質を証明している。未知の点 $(p, q)$ に対して恒等式を作る方針は、定石として押さえておきたい。
- (3) は直線に関する対称点を求める一般的な導出である。結果の式はやや複雑になるが、焦らず計算を進めることが求められる。
- (4) は(3)の結果を利用する。まともに方程式を立てて係数比較をすると計算が膨大になるが、背理法を用いて多項式としての「次数」に着目することで、計算を回避して論理的に矛盾を突くことができる点が最大のポイントである。
答え
(1) $(2p - X, 2q - Y)$
(2) 解説の通り($G$ は点 $\left(-\frac{a}{3}, \frac{2a^3}{27} - \frac{ab}{3} + c\right)$ に関して点対称であることを示した)
(3) $\left( \frac{(n^2 - m^2)X - 2mnY}{m^2 + n^2}, \frac{-2mnX + (m^2 - n^2)Y}{m^2 + n^2} \right)$
(4) 解説の通り
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