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東京大学 2018年 文系 第3問 解説

数学2/微分法数学2/図形と式テーマ/最大・最小テーマ/軌跡・領域テーマ/場合分け
東京大学 2018年 文系 第3問 解説

方針・初手

(1) 与えられた関数 $f(x)$ を微分して導関数 $f'(x)$ を求め、増減表を作成する。「指定された区間で単調増加する」という条件を、「指定された区間で $f'(x) \geqq 0$ となる」という条件に言い換えて $a$ の範囲を求める。

(2) 方程式 $f(x)=b$ の実数解は、$ab$ 平面ではなく $xy$ 平面における曲線 $y=f(x)$ と直線 $y=b$ の交点の $x$ 座標として捉える。グラフの概形から、交点を3つもつための $b$ の範囲を求め、さらに真ん中の解 $\beta$ が $1$ より大きくなるための条件を視覚的に定式化する。最後に $ab$ 平面上にその条件を図示する。

解法1

(1)

$f(x) = x^3 - 3a^2x$ を $x$ について微分すると、

$$ f'(x) = 3x^2 - 3a^2 = 3(x+a)(x-a) $$

$a > 0$ であるから、$f'(x) = 0$ となる $x$ の値は $x = \pm a$ である。 $f(x)$ の増減表は以下のようになる。

$x$ $\cdots$ $-a$ $\cdots$ $a$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ $\nearrow$ $2a^3$ $\searrow$ $-2a^3$ $\nearrow$

$f(x)$ が $x \geqq 1$ の範囲で単調に増加するための条件は、区間 $x \geqq 1$ において常に $f'(x) \geqq 0$ が成り立つことである。 増減表より、$f'(x) \geqq 0$ となる区間は $x \leqq -a$ または $x \geqq a$ である。 したがって、$x \geqq 1$ の範囲が $x \geqq a$ の範囲に含まれればよいので、

$$ a \leqq 1 $$

問題の条件 $a > 0$ と合わせて、求める条件は

$$ 0 < a \leqq 1 $$

(2)

条件1について

方程式 $f(x) = b$ が相異なる3つの実数解をもつ条件は、$xy$ 平面において曲線 $y = f(x)$ と直線 $y = b$ が異なる3つの交点をもつことである。 増減表より、$f(x)$ は $x = -a$ で極大値 $2a^3$、$x = a$ で極小値 $-2a^3$ をもつ。 したがって、直線 $y = b$ が極小値と極大値の間を通ればよいので、求める条件は

$$ -2a^3 < b < 2a^3 \quad \cdots \text{①} $$

条件2について

不等式①が成り立つとき、曲線 $y = f(x)$ と直線 $y = b$ は3つの交点をもつ。その $x$ 座標を $\alpha, \beta, \gamma \ (\alpha < \beta < \gamma)$ とすると、増減表の各区間と交点の関係から、

$$ \alpha < -a < \beta < a < \gamma $$

が成り立つ。 ここで $\beta > 1$ を満たすためには、$\beta$ が存在する区間 $(-a, a)$ の右端が $1$ より大きくなければならない。よって、

$$ a > 1 \quad \cdots \text{②} $$

このとき、$x = 1$ は区間 $(-a, a)$ に含まれており、この区間において $f(x)$ は単調減少している。 したがって、交点の $x$ 座標 $\beta$ について $\beta > 1$ となるためには、$x=1$ における関数の値 $f(1)$ よりも直線 $y=b$ の方が下側になければならない。 すなわち、

$$ b < f(1) $$

$f(1) = 1 - 3a^2$ であるから、

$$ b < 1 - 3a^2 \quad \cdots \text{③} $$

①、②、③より、点 $(a,b)$ の満たすべき条件は

$$ a > 1 \text{ かつ } -2a^3 < b < 1 - 3a^2 \text{ かつ } b < 2a^3 $$

ここで、$a > 1$ のときの $-2a^3$ と $1 - 3a^2$ の大小を比較する。

$$ \begin{aligned} (1 - 3a^2) - (-2a^3) &= 2a^3 - 3a^2 + 1 \\ &= (a - 1)^2(2a + 1) \end{aligned} $$

$a > 1$ のとき、$(a - 1)^2 > 0$ かつ $2a + 1 > 3 > 0$ であるから、$(a - 1)^2(2a + 1) > 0$ となる。 よって、$-2a^3 < 1 - 3a^2$ が成り立つ。 さらに $a > 1$ のとき $1 - 3a^2 < 0 < 2a^3$ は明らかであるから、$b < 2a^3$ の条件は $b < 1 - 3a^2$ に含まれる。 以上より、点 $(a,b)$ の動きうる範囲は

$$ a > 1 \text{ かつ } -2a^3 < b < -3a^2 + 1 $$

である。 これを座標平面上に図示する。 境界線となる2曲線 $b = -2a^3$ と $b = -3a^2 + 1$ について、$a=1$ を代入するとどちらも $b=-2$ となり、点 $(1, -2)$ を通る。 また、それぞれの導関数は $\frac{db}{da} = -6a^2$、$\frac{db}{da} = -6a$ であり、$a=1$ のときの接線の傾きはいずれも $-6$ となるため、2曲線は点 $(1, -2)$ で接する。 求める範囲は、$ab$ 平面において、放物線 $b = -3a^2 + 1$ の下側かつ3次曲線 $b = -2a^3$ の上側の領域のうち、$a > 1$ を満たす部分である(境界線を含まない)。

解説

(1) は導関数を利用して関数の増減を判定する基本問題である。指定された区間が、導関数が正となる区間にすっぽりと含まれるように不等式を立てる。

(2) は方程式の解の配置をグラフの交点に帰着させて考える典型的なアプローチを用いる。 $\alpha < \beta < \gamma$ のうち、真ん中の解 $\beta$ は必ず極大値をとる $x$ と極小値をとる $x$ の間(すなわち単調減少する区間)に存在するという性質を利用する。 この単調減少区間において、「$\beta > 1$ であること」と「$f(\beta) < f(1)$ であること」が同値になる(減少関数であるため不等号の向きが逆転する)ことに気づけるかが最大の鍵である。 最後に図示を行う際、境界となる2つの曲線の上下関係や交点・接点を確認する(差をとって因数分解する)手続きを怠らないようにしたい。

答え

(1)

$$ 0 < a \leqq 1 $$

(2)

点 $(a,b)$ の動きうる範囲は

$$ \begin{cases} a > 1 \\ -2a^3 < b < -3a^2 + 1 \end{cases} $$

これを図示すると、下図の斜線部分のようになる。(境界線はすべて含まない)

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