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九州大学 2006年 理系 第1問 解説

数学2/指数対数数学3/微分法数学3/極限テーマ/不等式の証明
九州大学 2006年 理系 第1問 解説

方針・初手

関数 $f(x) = \frac{\log x}{x}$ の増減、極限を調べ、グラフの概形を把握することが出発点である。方程式の実数解の個数は、曲線 $y = f(x)$ と直線 $y = \frac{1}{3n}$ の共有点の個数に帰着させる。不等式の証明は、(1) で調べた $f(x)$ の単調性を利用し、$y$ 座標の大小関係から $x$ 座標の大小関係を示す。

解法1

(1)

関数 $f(x)$ を $f(x) = \frac{\log x}{x}$ とおく。定義域は真数条件より $x > 0$ である。 $f(x)$ を微分すると、

$$ f'(x) = \frac{\frac{1}{x} \cdot x - \log x \cdot 1}{x^2} = \frac{1 - \log x}{x^2} $$

$f'(x) = 0$ とすると、$1 - \log x = 0$ より $x = e$ である。 $x > 0$ における $f(x)$ の増減表は以下のようになる。

$x$ $(0)$ $\cdots$ $e$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$
$f(x)$ $\nearrow$ $\frac{1}{e}$ $\searrow$

増減表と、問題文で与えられた極限 $\lim_{x \to \infty} \frac{\log x}{x} = 0$、および $\lim_{x \to +0} \frac{\log x}{x} = -\infty$ より、$y = f(x)$ のグラフは以下の性質をもつ。 ・区間 $0 < x \le e$ で単調に増加し、値域は $(-\infty, \frac{1}{e}]$ ・区間 $x \ge e$ で単調に減少し、値域は $(0, \frac{1}{e}]$

方程式 $\frac{\log x}{x} = \frac{1}{3n}$ の実数解の個数は、曲線 $y = f(x)$ と直線 $y = \frac{1}{3n}$ の共有点の個数に等しい。 問題文の条件より $e < 3$ であり、$n$ は自然数であるから $1 \le n$ である。よって $e < 3 \le 3n$ が成り立ち、

$$ 0 < \frac{1}{3n} < \frac{1}{e} $$

であることがわかる。 したがって、直線 $y = \frac{1}{3n}$ は、区間 $0 < x < e$ において曲線 $y = f(x)$ と1点で交わり、区間 $x > e$ においても曲線 $y = f(x)$ と1点で交わる。 以上より、方程式 $\frac{\log x}{x} = \frac{1}{3n}$ は $x > 0$ の範囲にちょうど2つの実数解をもつことが示された。

(2)

(1) より、2つの実数解 $\alpha_n, \beta_n$ ($\alpha_n < \beta_n$) は、それぞれ $0 < \alpha_n < e < \beta_n$ を満たす。 また、$f(\alpha_n) = \frac{1}{3n}$、$f(\beta_n) = \frac{1}{3n}$ である。

(i) $1 < \alpha_n < e^{\frac{1}{n}}$ の証明

$x=1, \alpha_n, e^{\frac{1}{n}}$ はすべて区間 $0 < x \le e$ に属する。この区間において $f(x)$ は単調増加であるから、$f(1) < f(\alpha_n) < f(e^{\frac{1}{n}})$ を示せば十分である。 それぞれの関数値を計算する。

$$ f(1) = \frac{\log 1}{1} = 0 $$

$$ f(\alpha_n) = \frac{1}{3n} $$

$$ f(e^{\frac{1}{n}}) = \frac{\log e^{\frac{1}{n}}}{e^{\frac{1}{n}}} = \frac{\frac{1}{n}}{e^{\frac{1}{n}}} = \frac{1}{n e^{\frac{1}{n}}} $$

$n$ は自然数であるから、$0 < \frac{1}{3n}$ は明らかである。よって $f(1) < f(\alpha_n)$。 次に、$f(\alpha_n) < f(e^{\frac{1}{n}})$ すなわち $\frac{1}{3n} < \frac{1}{n e^{\frac{1}{n}}}$ について考える。両辺に $3n e^{\frac{1}{n}} > 0$ を掛けると、

$$ e^{\frac{1}{n}} < 3 $$

となる。$n \ge 1$ より $\frac{1}{n} \le 1$ であるから、$e^{\frac{1}{n}} \le e^1 = e$ である。問題文の条件 $e < 3$ より、$e^{\frac{1}{n}} < 3$ は常に成り立つ。 したがって $f(\alpha_n) < f(e^{\frac{1}{n}})$ が示された。 以上より $f(1) < f(\alpha_n) < f(e^{\frac{1}{n}})$ であり、$0 < x \le e$ における $f(x)$ の単調増加性から、

$$ 1 < \alpha_n < e^{\frac{1}{n}} $$

が成り立つ。

(ii) $ne < \beta_n$ の証明

$x=\beta_n, ne$ はいずれも区間 $x \ge e$ に属する($n \ge 1$ より $ne \ge e$)。この区間において $f(x)$ は単調減少であるから、$f(\beta_n) < f(ne)$ を示せば十分である。

$$ f(\beta_n) = \frac{1}{3n} $$

$$ f(ne) = \frac{\log(ne)}{ne} $$

$f(\beta_n) < f(ne)$ すなわち $\frac{1}{3n} < \frac{\log(ne)}{ne}$ について考える。両辺に $3ne > 0$ を掛けると、

$$ e < 3 \log(ne) $$

となる。$n \ge 1$ より $ne \ge e$ であるから、$\log(ne) \ge \log e = 1$ である。 よって $3 \log(ne) \ge 3$ となり、問題文の条件 $e < 3$ を合わせると、

$$ e < 3 \le 3 \log(ne) $$

となるため、$e < 3 \log(ne)$ が成り立つ。 したがって $f(\beta_n) < f(ne)$ が示された。 $x \ge e$ における $f(x)$ の単調減少性から、

$$ ne < \beta_n $$

が成り立つ。

(iii) $\lim_{n \to \infty} \alpha_n$ の計算

(i) で示した不等式

$$ 1 < \alpha_n < e^{\frac{1}{n}} $$

において、$n \to \infty$ の極限をとる。 $\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} = 0$ であるから、

$$ \lim_{n \to \infty} e^{\frac{1}{n}} = e^0 = 1 $$

となる。 はさみうちの原理より、

$$ \lim_{n \to \infty} \alpha_n = 1 $$

である。

解説

微分法を用いて関数のグラフの概形を描き、方程式の実数解の個数を視覚化する典型問題である。 (2) の不等式証明は、直接 $\alpha_n$ や $\beta_n$ の値を求めることができないため、「関数 $f(x)$ の単調性を用いて、元の定義域での $x$ 座標の大小関係と、値域での $y$ 座標の大小関係を行き来する」という手法を用いる。 この発想は難関大の微積分で頻出であり、$f(\text{左辺})$ と $f(\text{右辺})$ の大小関係を計算によって示すことで、間接的に証明を完了させるアプローチを習得しておきたい。極限の計算は不等式で挟まれている形をみたら「はさみうちの原理」を思い浮かべるのが自然である。

答え

(1) 略(解説参照) (2) 前半の証明は略(解説参照)、$\lim_{n \to \infty} \alpha_n = 1$

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