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九州大学 2022年 理系 第1問 解説

数学C/空間ベクトル数学2/図形と式数学2/微分法テーマ/最大・最小テーマ/空間図形
九州大学 2022年 理系 第1問 解説

方針・初手

空間ベクトルにおいて、平面に垂直な法線ベクトル、平面に関する対称点、および平面上の点を経由する折れ線の長さの最小値を求める標準的な問題である。 (1) は、2つのベクトル $\vec{a}, \vec{b}$ の両方に垂直であるという条件から内積が $0$ になることを用い、連立方程式を解いて成分を求める。 (2) は、(1)で求めた法線ベクトルを用いて、点 $P$ から平面 $\alpha$ に下ろした垂線の足を求め、そこから対称点 $P'$ の位置ベクトルを決定する。 (3) は、平面 $\alpha$ を鏡に見立てる定石通り、点 $P$ の代わりに平面 $\alpha$ に関する対称点 $P'$ を用いて、$P', R, Q$ が一直線上に並ぶ条件を考える。

解法1

(1) 求める法線ベクトルを $\vec{n} = (x, y, z)$ とおく。 $\vec{n}$ は $\vec{a} = (1, 1, 0)$ と $\vec{b} = (2, 1, 2)$ の両方に垂直であるから、$\vec{n} \cdot \vec{a} = 0$ かつ $\vec{n} \cdot \vec{b} = 0$ が成り立つ。

$$ \begin{cases} x + y = 0 \\ 2x + y + 2z = 0 \end{cases} $$

これらを解くと、$y = -x$ であり、$2x - x + 2z = 0$ より $z = -\frac{1}{2}x$ となる。 よって、$\vec{n} = \left(x, -x, -\frac{1}{2}x\right) = \frac{x}{2}(2, -2, -1)$ と表せる。 $\vec{n}$ の大きさは $1$ であるから、$|\vec{n}|^2 = 1$ より、

$$ x^2 + (-x)^2 + \left(-\frac{1}{2}x\right)^2 = 1 $$

$$ \frac{9}{4}x^2 = 1 $$

条件より $x > 0$ であるから、$x = \frac{2}{3}$ を得る。 したがって、求めるベクトル $\vec{n}$ は、

$$ \vec{n} = \left(\frac{2}{3}, -\frac{2}{3}, -\frac{1}{3}\right) $$

(2) 点 $P$ から平面 $\alpha$ に下ろした垂線の足を $H$ とすると、直線 $PH$ は平面 $\alpha$ の法線ベクトル $\vec{n}$ に平行であるから、実数 $k$ を用いて $\overrightarrow{PH} = k\vec{n}$ と表せる。 点 $H$ は平面 $\alpha$ 上の点であり、平面 $\alpha$ は原点 $O$ を通るから、$\overrightarrow{OH} \cdot \vec{n} = 0$ が成り立つ。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{OH} &= \overrightarrow{OP} + \overrightarrow{PH} \\ &= (4, 0, -1) + k\left(\frac{2}{3}, -\frac{2}{3}, -\frac{1}{3}\right) \\ &= \left(4 + \frac{2}{3}k, -\frac{2}{3}k, -1 - \frac{1}{3}k\right) \end{aligned} $$

$\overrightarrow{OH}$ が $\vec{n}$ と垂直であるから、内積をとると、

$$ \frac{2}{3}\left(4 + \frac{2}{3}k\right) - \frac{2}{3}\left(-\frac{2}{3}k\right) - \frac{1}{3}\left(-1 - \frac{1}{3}k\right) = 0 $$

展開して整理すると、

$$ \frac{8}{3} + \frac{4}{9}k + \frac{4}{9}k + \frac{1}{3} + \frac{1}{9}k = 0 $$

$$ k + 3 = 0 $$

よって、$k = -3$ となる。 このとき、$\overrightarrow{PH} = -3 \left(\frac{2}{3}, -\frac{2}{3}, -\frac{1}{3}\right) = (-2, 2, 1)$ である。 点 $P'$ は平面 $\alpha$ に関して点 $P$ と対称な点であるから、$\overrightarrow{PP'} = 2\overrightarrow{PH} = (-4, 4, 2)$ となる。 ゆえに、

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{OP'} &= \overrightarrow{OP} + \overrightarrow{PP'} \\ &= (4, 0, -1) + (-4, 4, 2) \\ &= (0, 4, 1) \end{aligned} $$

したがって、点 $P'$ の座標は $(0, 4, 1)$ である。

(3) まず、平面 $\alpha$ に対して点 $P, Q$ が同じ側にあるかを確認する。 点 $P, Q$ の位置ベクトルの $\vec{n}$ 方向の成分(内積)を調べる。 $\overrightarrow{OP} \cdot \vec{n} = 4 \cdot \frac{2}{3} + 0 + (-1) \cdot \left(-\frac{1}{3}\right) = 3 > 0$ $\overrightarrow{OQ} \cdot \vec{n} = 4 \cdot \frac{2}{3} + 0 + 5 \cdot \left(-\frac{1}{3}\right) = 1 > 0$ 内積の符号が一致するため、点 $P$ と点 $Q$ は平面 $\alpha$ に関して同じ側にある。

平面 $\alpha$ 上の任意の点 $R$ について、対称性から $|\overrightarrow{PR}| = |\overrightarrow{P'R}|$ が成り立つので、

$$ |\overrightarrow{PR}| + |\overrightarrow{RQ}| = |\overrightarrow{P'R}| + |\overrightarrow{RQ}| \geqq |\overrightarrow{P'Q}| $$

等号が成立し、和が最小となるのは、点 $R$ が線分 $P'Q$ 上にあるとき、すなわち点 $R$ が直線 $P'Q$ と平面 $\alpha$ の交点となるときである。 このとき、点 $R$ は直線 $P'Q$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて次のように表せる。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{OR} &= (1-t)\overrightarrow{OP'} + t\overrightarrow{OQ} \\ &= (1-t)(0, 4, 1) + t(4, 0, 5) \\ &= (4t, 4 - 4t, 1 + 4t) \end{aligned} $$

点 $R$ は平面 $\alpha$ 上の点であるため、$\overrightarrow{OR} \cdot \vec{n} = 0$ が成り立つ。

$$ \frac{2}{3}(4t) - \frac{2}{3}(4 - 4t) - \frac{1}{3}(1 + 4t) = 0 $$

両辺を $3$ 倍して整理すると、

$$ 8t - 2(4 - 4t) - (1 + 4t) = 0 $$

$$ 12t - 9 = 0 $$

これを解いて、$t = \frac{3}{4}$ を得る。 これを $\overrightarrow{OR}$ の式に代入すると、

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{OR} &= \left(4 \cdot \frac{3}{4}, 4 - 4 \cdot \frac{3}{4}, 1 + 4 \cdot \frac{3}{4}\right) \\ &= (3, 1, 4) \end{aligned} $$

したがって、求める点 $R$ の座標は $(3, 1, 4)$ である。

解説

空間座標において、平面の方程式の代わりとなる法線ベクトルを効果的に利用する問題である。 (1) においては、外積の知識があれば $\vec{a} \times \vec{b} = (1 \cdot 2 - 0 \cdot 1, 0 \cdot 2 - 1 \cdot 2, 1 \cdot 1 - 1 \cdot 2) = (2, -2, -1)$ と計算することで、法線ベクトルの方向を瞬時に見つけることができ、検算としても役立つ。 (3) の最短経路問題は、平面を鏡に見立てて対称点をとる定石である。ただし、論述の際には「2点 $P, Q$ が平面 $\alpha$ に対して同じ側にある」ことを示しておくと、場合分けや図形的配置の議論に飛躍がなくなり、より完成度の高い答案となる。平面の同じ側にあるかどうかは、法線ベクトルとの内積の符号が一致するかどうかで簡単に判定できる。

答え

(1) $\vec{n} = \left(\frac{2}{3}, -\frac{2}{3}, -\frac{1}{3}\right)$

(2) $P'(0, 4, 1)$

(3) $R(3, 1, 4)$

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