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名古屋大学 1966年 文系 第5問 解説

数学2/指数対数数学3/微分法数学1/方程式不等式テーマ/不等式の証明
名古屋大学 1966年 文系 第5問 解説

方針・初手

不等式の証明における定石通り、(大きい方の式) - (小さい方の式) を関数として定義し、その関数の増減を微分を用いて調べる。 今回は $f(x) = \frac{x}{1-x} - \log_e(1+x)$ とおき、$0 \leqq x < 1$ の範囲で $f'(x) > 0$ であり、かつ $f(0) = 0$ であることを示すのが最も素直な方針となる。 また、対数関数 $\log_e(1+x)$ に着目して、平均値の定理を利用して評価する別解も考えられる。

解法1

$$ f(x) = \frac{x}{1-x} - \log_e(1+x) $$

とおき、定義域を $0 \leqq x < 1$ とする。 この関数 $f(x)$ を $x$ について微分すると、

$$ \begin{aligned} f'(x) &= \frac{1 \cdot (1-x) - x \cdot (-1)}{(1-x)^2} - \frac{1}{1+x} \\ &= \frac{1}{(1-x)^2} - \frac{1}{1+x} \\ &= \frac{(1+x) - (1-x)^2}{(1-x)^2(1+x)} \\ &= \frac{1+x - (1 - 2x + x^2)}{(1-x)^2(1+x)} \\ &= \frac{3x - x^2}{(1-x)^2(1+x)} \\ &= \frac{x(3-x)}{(1-x)^2(1+x)} \end{aligned} $$

となる。 ここで、$0 < x < 1$ のとき、$x > 0$、$3-x > 0$、$(1-x)^2 > 0$、$1+x > 0$ はすべて成り立つ。 したがって、この区間において

$$ f'(x) > 0 $$

が成り立つ。 これにより、関数 $f(x)$ は $0 \leqq x < 1$ において単調に増加することがわかる。 さらに、$x=0$ のときの $f(x)$ の値は

$$ f(0) = \frac{0}{1-0} - \log_e 1 = 0 $$

である。 $f(x)$ は単調増加であるから、$0 < x < 1$ のとき

$$ f(x) > f(0) = 0 $$

が成り立つ。 すなわち、

$$ \frac{x}{1-x} - \log_e(1+x) > 0 $$

であり、移項して

$$ \log_e(1+x) < \frac{x}{1-x} $$

が成り立つことが示された。

解法2

関数 $g(t) = \log_e(1+t)$ は $t \geqq 0$ で連続であり、$t > 0$ で微分可能である。 条件の $0 < x < 1$ を満たす任意の $x$ に対して、区間 $[0, x]$ において平均値の定理を適用すると、

$$ \frac{\log_e(1+x) - \log_e 1}{x - 0} = g'(c) $$

を満たす実数 $c$ が $0 < c < x$ の範囲に存在する。 $g'(t) = \frac{1}{1+t}$ であるから、上式は

$$ \frac{\log_e(1+x)}{x} = \frac{1}{1+c} $$

となる。 ここで、$0 < c < x < 1$ より $1 < 1+c < 1+x$ であるため、

$$ \frac{1}{1+c} < 1 $$

が成り立つ。 一方、$0 < x < 1$ より $0 < 1-x < 1$ であるから、

$$ 1 < \frac{1}{1-x} $$

が成り立つ。 これらを組み合わせると、

$$ \frac{\log_e(1+x)}{x} = \frac{1}{1+c} < 1 < \frac{1}{1-x} $$

となる。したがって、

$$ \frac{\log_e(1+x)}{x} < \frac{1}{1-x} $$

が得られる。 $x > 0$ であるから、この不等式の両辺に $x$ を掛けても不等号の向きは変わらず、

$$ \log_e(1+x) < \frac{x}{1-x} $$

が成り立つことが示された。

解説

不等式の証明としては標準的な問題であり、関数の差をとって微分する解法1が最も一般的である。解法1のように1回の微分だけで導関数の符号が確定する場合は、この方針をそのまま進めるのが確実である。 もし1回の微分で符号がわからない場合は、さらに2次導関数 $f''(x)$ を調べる必要があるが、本問ではその手間はかからない。 解法2は、関数 $\log_e(1+x)$ に対する平均値の定理の利用という、もう一つの重要なアプローチを示している。複雑な関数の不等式評価において、平均値の定理を用いると計算量を大幅に減らして簡潔に示せる場面があるため、別解の手法も習得しておきたい。

答え

(証明は解法1または解法2の通り)

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