名古屋大学 1973年 文系 第4問 解説

方針・初手
与えられた2つの放物線の式は $y^2 = 4a(x+a)$ と $y^2 = 4b(b-x)$ であり、どちらも $y$ の2次関数として $x$ を表すことができます。したがって、$y$ について解くよりも、$x$ について解き、$y$ 軸方向($y$ を変数として)積分して面積を求める方針が自然です。
交点の $y$ 座標を求め、上下関係($x$ 軸方向の大小関係)を把握したうえで積分計算を行い、$S$ を $a, b$ を用いて表します。その後、$a+b=1$ という条件のもとで、相加平均と相乗平均の大小関係などを用いて $S$ の最大値を求めます。
解法1
2つの放物線の式をそれぞれ $x$ について解くと、
$$ x = \frac{y^2}{4a} - a $$
$$ x = b - \frac{y^2}{4b} $$
となる。これらを連立させて交点の $y$ 座標を求める。
$$ \frac{y^2}{4a} - a = b - \frac{y^2}{4b} $$
移項して整理すると、
$$ \left(\frac{1}{4a} + \frac{1}{4b}\right) y^2 = a + b $$
$$ \frac{a+b}{4ab} y^2 = a + b $$
$a, b$ は正数であるから $a+b > 0$ であり、両辺を $a+b$ で割ることができる。
$$ \frac{1}{4ab} y^2 = 1 $$
$$ y^2 = 4ab $$
$$ y = \pm 2\sqrt{ab} $$
交点の $y$ 座標は $y = -2\sqrt{ab}$ と $y = 2\sqrt{ab}$ である。
$-2\sqrt{ab} \leqq y \leqq 2\sqrt{ab}$ の区間において、
$$ \left( b - \frac{y^2}{4b} \right) - \left( \frac{y^2}{4a} - a \right) = a + b - \frac{a+b}{4ab} y^2 = \frac{a+b}{4ab} (4ab - y^2) \geqq 0 $$
となるため、右側にある放物線は $x = b - \frac{y^2}{4b}$ である。
したがって、求める面積 $S$ は次のように計算できる。
$$ S = \int_{-2\sqrt{ab}}^{2\sqrt{ab}} \left\{ \left( b - \frac{y^2}{4b} \right) - \left( \frac{y^2}{4a} - a \right) \right\} dy $$
$$ S = \frac{a+b}{4ab} \int_{-2\sqrt{ab}}^{2\sqrt{ab}} (4ab - y^2) dy $$
$$ S = -\frac{a+b}{4ab} \int_{-2\sqrt{ab}}^{2\sqrt{ab}} (y - 2\sqrt{ab})(y + 2\sqrt{ab}) dy $$
ここで、定積分 $\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx = -\frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3$ の公式を用いると、
$$ S = -\frac{a+b}{4ab} \left\{ -\frac{1}{6} \left( 2\sqrt{ab} - (-2\sqrt{ab}) \right)^3 \right\} $$
$$ S = \frac{a+b}{24ab} \left( 4\sqrt{ab} \right)^3 $$
$$ S = \frac{a+b}{24ab} \cdot 64ab\sqrt{ab} $$
$$ S = \frac{8}{3} (a+b) \sqrt{ab} $$
次に、$a+b=1$ のときの $S$ の最大値を求める。 $a+b=1$ を代入すると、
$$ S = \frac{8}{3} \sqrt{ab} $$
となる。$a>0, b>0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$ \frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab} $$
が成り立つ。$a+b=1$ であるから、
$$ \frac{1}{2} \geqq \sqrt{ab} $$
等号が成立するのは、$a=b$ のときであり、$a+b=1$ と合わせると $a = b = \frac{1}{2}$ のときである。これは $a>0, b>0$ を満たす。
この不等式を $S$ の式に適用すると、
$$ S = \frac{8}{3} \sqrt{ab} \leqq \frac{8}{3} \cdot \frac{1}{2} = \frac{4}{3} $$
したがって、$S$ の最大値は $\frac{4}{3}$ である。
解説
放物線の軸が $x$ 軸に平行な形($x = p y^2 + q y + r$ の形)となっているため、$y$ を変数として積分を行うのが定石です。交点を求め、積分の $\frac{1}{6}$ 公式を正しく適用できるかが第一の関門となります。
面積を求めた後の最大値問題では、条件式 $a+b=1$ が与えられていること、そして $S$ が積 $ab$ の平方根を含んでいることから、相加・相乗平均の大小関係の利用を思いつくことが重要です。不等式を用いた最大値・最小値の決定では、等号成立条件の確認を必ず行う必要があります。
答え
$$ S = \frac{8}{3} (a+b) \sqrt{ab} $$
最大値は $\frac{4}{3}$
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