名古屋大学 1984年 文系 第2問 解説

方針・初手
放物線 $y = b - ax^2$ と折れ線 $y = 1 - |x|$ はいずれも $y$ 軸に関して対称であることに着目する。 (1) では、$y$ 軸対称性を利用し、$x > 0$ の領域で放物線と直線 $y = 1 - x$ が接する条件を考える。 (2) では、対称性を利用して $x \ge 0$ の部分の面積を計算し、それを $2$ 倍することで全体の面積を求める。上下関係と接することを利用して、被積分関数を平方のかたちにまとめるのがポイントである。
解法1
(1)
放物線 $C: y = -ax^2 + b$ と折れ線 $L: y = 1 - |x|$ はともに $y$ 軸に関して対称である。 $C$ の頂点は $(0, b)$、$L$ の尖点は $(0, 1)$ である。 条件 $b < 1$ より、これらが $y$ 軸上で交わることはないため、$C$ と $L$ が接するとき、その接点は $x \neq 0$ の位置にある。
$x > 0$ の領域において、$L$ の方程式は $y = 1 - x$ となる。 $C$ と $L$ が $x > 0$ で接するための条件は、方程式 $$ -ax^2 + b = 1 - x $$
すなわち $$ ax^2 - x + 1 - b = 0 $$
が $x > 0$ の範囲に重解をもつことである。 この $2$ 次方程式の判別式を $D$ とすると、接するための条件は $D = 0$ であるから、 $$ D = (-1)^2 - 4a(1 - b) = 1 - 4a(1 - b) = 0 $$
$$ 4a(1 - b) = 1 $$
このとき、重解(接点の $x$ 座標)は $x = \frac{1}{2a}$ となる。 $a > 0$ であるから、この重解は正の値をとり、適する。 $x < 0$ の領域でも、対称性から $x = -\frac{1}{2a}$ で接する。 したがって、求める条件は $$ 4a(1 - b) = 1 $$
である。
(2)
(1) の結果より、$1 - b = \frac{1}{4a}$ である。 $C$ と $L$ で囲まれた領域の面積を $S$ とする。 対称性より、$S$ は $x \ge 0$ における囲まれた部分の面積の $2$ 倍である。 $x > 0$ において、 $$ (1 - x) - (-ax^2 + b) = ax^2 - x + 1 - b = ax^2 - x + \frac{1}{4a} = a\left( x - \frac{1}{2a} \right)^2 \ge 0 $$
であるから、この区間において折れ線 $L$ は放物線 $C$ の上側にある。 したがって、求める面積 $S$ は、 $$ \begin{aligned} S &= 2 \int_{0}^{\frac{1}{2a}} \left\{ (1 - x) - (-ax^2 + b) \right\} dx \\ &= 2 \int_{0}^{\frac{1}{2a}} a\left( x - \frac{1}{2a} \right)^2 dx \\ &= 2a \left[ \frac{1}{3} \left( x - \frac{1}{2a} \right)^3 \right]_{0}^{\frac{1}{2a}} \\ &= \frac{2a}{3} \left\{ 0 - \left( -\frac{1}{2a} \right)^3 \right\} \\ &= \frac{2a}{3} \cdot \frac{1}{8a^3} \\ &= \frac{1}{12a^2} \end{aligned} $$
となる。
解説
グラフの対称性を最大限に活用することで、見通しよく計算を進めることができる問題である。 絶対値を含む関数は場合分けが基本であるが、$y$ 軸対称(偶関数)であることを利用すれば $x \ge 0$ の範囲だけを考えれば十分となる。 また、面積計算においては、被積分関数が接点 $\alpha$ を用いて $a(x - \alpha)^2$ と因数分解できる形になることを利用すると、展開して項ごとに積分するよりも大幅に計算を簡略化でき、計算ミスを防ぎやすくなる。
答え
(1) $$ 4a(1 - b) = 1 $$
(2) $$ \frac{1}{12a^2} $$
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