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名古屋大学 2007年 文系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/図形と式テーマ/図形総合
名古屋大学 2007年 文系 第1問 解説

方針・初手

与えられた図形における点と線の関係を示すために、位置ベクトルを導入する。頂点 $A, B, C$ の位置ベクトルを基準として設定し、内分点の公式を用いて点 $A', B', C'$ および点 $A'', B'', C''$ の位置ベクトルを順に求めていく。直線 $AA'', BB'', CC''$ が $\triangle ABC$ の重心で交わることを示すには、これら3本の直線のすべてが $\triangle ABC$ の重心を通ること、すなわち、点 $A, A''$ と重心が同一直線上にあること(共線条件)をベクトルの実数倍で示せばよい。

解法1

空間内の任意の点を原点とし、各点 $A, B, C$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ とする。

$\triangle ABC$ の重心を $G$ とすると、その位置ベクトル $\vec{g}$ は次のように表される。

$$ \vec{g} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3} $$

点 $A', B', C'$ はそれぞれ辺 $AB, BC, CA$ を $2:1$ に内分する点であるから、それらの位置ベクトルを $\vec{a'}, \vec{b'}, \vec{c'}$ とすると、以下のようになる。

$$ \vec{a'} = \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{3} $$

$$ \vec{b'} = \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3} $$

$$ \vec{c'} = \frac{\vec{c} + 2\vec{a}}{3} $$

さらに、点 $A'', B'', C''$ はそれぞれ辺 $A'B', B'C', C'A'$ を $2:1$ に内分する点であるから、それらの位置ベクトルを $\vec{a''}, \vec{b''}, \vec{c''}$ とすると、以下のようになる。

$$ \vec{a''} = \frac{\vec{a'} + 2\vec{b'}}{3} = \frac{1}{3} \left( \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{3} + 2 \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3} \right) = \frac{\vec{a} + 4\vec{b} + 4\vec{c}}{9} $$

$$ \vec{b''} = \frac{\vec{b'} + 2\vec{c'}}{3} = \frac{1}{3} \left( \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3} + 2 \frac{\vec{c} + 2\vec{a}}{3} \right) = \frac{4\vec{a} + \vec{b} + 4\vec{c}}{9} $$

$$ \vec{c''} = \frac{\vec{c'} + 2\vec{a'}}{3} = \frac{1}{3} \left( \frac{\vec{c} + 2\vec{a}}{3} + 2 \frac{\vec{a} + 2\vec{b}}{3} \right) = \frac{4\vec{a} + 4\vec{b} + \vec{c}}{9} $$

ここで、点 $A, A'', G$ の関係を調べるために、$\overrightarrow{AG}$ と $\overrightarrow{AA''}$ を $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ を用いて表す。

$$ \overrightarrow{AG} = \vec{g} - \vec{a} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3} - \vec{a} = \frac{-2\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3} $$

$$ \overrightarrow{AA''} = \vec{a''} - \vec{a} = \frac{\vec{a} + 4\vec{b} + 4\vec{c}}{9} - \vec{a} = \frac{-8\vec{a} + 4\vec{b} + 4\vec{c}}{9} $$

これらを比較すると、次のような関係が成り立つ。

$$ \overrightarrow{AA''} = \frac{4}{3} \left( \frac{-2\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3} \right) = \frac{4}{3} \overrightarrow{AG} $$

すなわち、

$$ \overrightarrow{AG} = \frac{3}{4} \overrightarrow{AA''} $$

であるから、点 $G$ は直線 $AA''$ 上にある(線分 $AA''$ を $3:1$ に内分する点である)。

文字 $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ の対称性から、他についても同様の計算が成り立つ。

$$ \overrightarrow{BG} = \frac{3}{4} \overrightarrow{BB''} $$

$$ \overrightarrow{CG} = \frac{3}{4} \overrightarrow{CC''} $$

よって、点 $G$ は直線 $BB''$ 上にも、直線 $CC''$ 上にも存在する。

以上より、直線 $AA'', BB'', CC''$ はすべて $\triangle ABC$ の重心 $G$ を通るため、この1点で交わることが示された。

解説

内分点の位置ベクトルと、3点が同一直線上にあるための条件(共線条件)を用いる典型的なベクトル幾何の問題である。図形的な性質を利用するアプローチもあるが、平面幾何の定理に頼るよりも、基準となるベクトル(今回は $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$)を設定して機械的に計算を進める方が、発想を必要とせず確実に解にたどり着くことができる。1つの直線上にあることを示せば、他の2つの直線については対称性を用いて記述を簡略化できることもポイントである。

答え

位置ベクトルを導入し、内分点の公式から点 $A'', B'', C''$ の位置ベクトルを求めたうえで、$\overrightarrow{AG} = \frac{3}{4} \overrightarrow{AA''}$ 等の関係を導き、直線 $AA'', BB'', CC''$ がいずれも $\triangle ABC$ の重心を通ることを示した。

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