名古屋大学 2009年 文系 第1問 解説

方針・初手
ベクトルが成分表示で与えられており、大きさや内積の条件が具体的な数値として提示されているため、成分を用いた計算をそのまま実行していく。 (1)は、与えられた大きさと内積の定義式を成分で表して連立方程式を解く。 (2)は、ベクトルの内積を用いた三角形の面積公式を利用する。 (3)は、未知のベクトル $\overrightarrow{OC}$ を成分でおき、与えられた内積の条件から成分を特定する。頂点Aと頂点Bが $xy$ 平面上にあることに着目し、四面体の高さを点Cの $z$ 座標から求める。
解法1
(1)
$\overrightarrow{OA} = (1, 0, 0)$,$\overrightarrow{OB} = (a, b, 0)$ であり,$\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB} = \frac{1}{3}$ であるから,内積を成分で計算して,
$$ 1 \cdot a + 0 \cdot b + 0 \cdot 0 = \frac{1}{3} $$
これより,
$$ a = \frac{1}{3} $$
である。また,$|\overrightarrow{OB}| = 1$ であるから,$|\overrightarrow{OB}|^2 = 1$ より,
$$ a^2 + b^2 + 0^2 = 1 $$
$a = \frac{1}{3}$ を代入して,
$$ \left(\frac{1}{3}\right)^2 + b^2 = 1 $$
$$ b^2 = 1 - \frac{1}{9} = \frac{8}{9} $$
条件より $b$ は正の数であるから,$b > 0$ より,
$$ b = \frac{2\sqrt{2}}{3} $$
(2)
三角形 $OAB$ の面積 $S$ は,ベクトルの面積公式を用いて次のように計算できる。
$$ S = \frac{1}{2}\sqrt{|\overrightarrow{OA}|^2|\overrightarrow{OB}|^2 - (\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB})^2} $$
問題の条件より $|\overrightarrow{OA}| = 1$,$|\overrightarrow{OB}| = 1$,$\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB} = \frac{1}{3}$ であるため,これらを代入して,
$$ S = \frac{1}{2}\sqrt{1^2 \cdot 1^2 - \left(\frac{1}{3}\right)^2} $$
$$ S = \frac{1}{2}\sqrt{1 - \frac{1}{9}} = \frac{1}{2}\sqrt{\frac{8}{9}} $$
$$ S = \frac{1}{2} \cdot \frac{2\sqrt{2}}{3} = \frac{\sqrt{2}}{3} $$
(3)
$\overrightarrow{OC} = (x, y, z)$ とおく。
条件 $|\overrightarrow{OC}| = 1$ より,$|\overrightarrow{OC}|^2 = 1$ であるから,
$$ x^2 + y^2 + z^2 = 1 \quad \cdots \text{①} $$
条件 $\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OC} = \frac{1}{2}$ より,成分を用いて計算すると,
$$ 1 \cdot x + 0 \cdot y + 0 \cdot z = \frac{1}{2} $$
$$ x = \frac{1}{2} \quad \cdots \text{②} $$
条件 $\overrightarrow{OB} \cdot \overrightarrow{OC} = \frac{5}{6}$ より,成分を用いて計算すると,
$$ ax + by + 0 \cdot z = \frac{5}{6} $$
(1)で求めた $a = \frac{1}{3}$,$b = \frac{2\sqrt{2}}{3}$ と②を代入して,
$$ \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{2} + \frac{2\sqrt{2}}{3}y = \frac{5}{6} $$
$$ \frac{1}{6} + \frac{2\sqrt{2}}{3}y = \frac{5}{6} $$
$$ \frac{2\sqrt{2}}{3}y = \frac{4}{6} = \frac{2}{3} $$
よって,
$$ y = \frac{2}{3} \cdot \frac{3}{2\sqrt{2}} = \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2} \quad \cdots \text{③} $$
②,③を①に代入すると,
$$ \left(\frac{1}{2}\right)^2 + \left(\frac{\sqrt{2}}{2}\right)^2 + z^2 = 1 $$
$$ \frac{1}{4} + \frac{2}{4} + z^2 = 1 $$
$$ \frac{3}{4} + z^2 = 1 $$
$$ z^2 = \frac{1}{4} $$
したがって,
$$ z = \pm \frac{1}{2} $$
次に四面体 $OABC$ の体積 $V$ を求める。 底面を三角形 $OAB$ とすると,その面積は(2)より $S = \frac{\sqrt{2}}{3}$ である。 点Aおよび点Bの $z$ 座標は $0$ であり,三角形 $OAB$ は $xy$ 平面上にあるため,四面体 $OABC$ の高さ $h$ は頂点 $C$ の $z$ 座標の絶対値に等しい。
$$ h = |z| = \left| \pm \frac{1}{2} \right| = \frac{1}{2} $$
よって,求める体積 $V$ は,
$$ V = \frac{1}{3} S h = \frac{1}{3} \cdot \frac{\sqrt{2}}{3} \cdot \frac{1}{2} = \frac{\sqrt{2}}{18} $$
解説
空間ベクトルにおける成分表示と図形量の関係を問う標準的な問題である。 (1)と(3)は、与えられたベクトルの大きさと内積の条件をそのまま成分による方程式に翻訳して解き進めることで、自然に答えにたどり着くことができる。 (2)の面積はベクトルを用いる公式で計算するのが確実であるが、点Aが $x$ 軸上、点Bが $xy$ 平面上にあることから、底辺を $OA=1$ としたときの高さが点Bの $y$ 座標 $b$ に等しいと図形的に把握してもよい($S = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot b$)。 同様に、(3)でも点Aと点Bがともに $xy$ 平面上にあるという設定が効いており、四面体の高さがそのまま点Cの $z$ 座標の絶対値として求まる。垂線の足の座標などを求める一般的な体積計算を回避できるため、状況を正しく図形的に解釈することが計算量の削減に繋がる。
答え
(1) $a = \frac{1}{3}$, $b = \frac{2\sqrt{2}}{3}$
(2) $S = \frac{\sqrt{2}}{3}$
(3) $V = \frac{\sqrt{2}}{18}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











