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名古屋大学 1969年 理系 第5問 解説

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名古屋大学 1969年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた関数 $f(x)$ の第2次導関数 $f''(x)$ を計算し、$f''(x) \leqq 0$ となる条件を式で表す。対数関数の真数条件から、関数の定義域は $ax^2 + bx + c > 0$ を満たす $x$ の範囲となる。この定義域における $f''(x)$ の符号を調べるため、$f''(x)$ の分子を平方完成し、判別式に相当する $b^2 - 4ac$ を用いて式を整理する。その後、$b^2 - 4ac$ の符号によって場合分けを行い、必要性と十分性をそれぞれ確認する。

解法1

$g(x) = ax^2 + bx + c$ とおく。

関数 $f(x) = \log g(x)$ の定義域は、真数条件より $g(x) > 0$ を満たす実数 $x$ の集合である。 合成関数の微分法により、$f(x)$ の導関数および第2次導関数を求める。

$$ f'(x) = \frac{g'(x)}{g(x)} $$

$$ \begin{aligned} f''(x) &= \frac{g''(x)g(x) - \{g'(x)\}^2}{\{g(x)\}^2} \\ &= \frac{2a(ax^2 + bx + c) - (2ax + b)^2}{(ax^2 + bx + c)^2} \\ &= \frac{2a^2x^2 + 2abx + 2ac - (4a^2x^2 + 4abx + b^2)}{(ax^2 + bx + c)^2} \\ &= \frac{-2a^2x^2 - 2abx + 2ac - b^2}{(ax^2 + bx + c)^2} \end{aligned} $$

定義域 $g(x) > 0$ において、分母 $(ax^2 + bx + c)^2 > 0$ である。 したがって、$f''(x) \leqq 0$ となる条件は、分子が $0$ 以下になることである。

$$ -2a^2x^2 - 2abx + 2ac - b^2 \leqq 0 $$

両辺に $-1$ を掛けて整理する。

$$ 2a^2x^2 + 2abx + b^2 - 2ac \geqq 0 $$

左辺を $x$ について平方完成する。

$$ \begin{aligned} 2a^2\left(x^2 + \frac{b}{a}x\right) + b^2 - 2ac &\geqq 0 \\ 2a^2\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 - 2a^2\left(\frac{b}{2a}\right)^2 + b^2 - 2ac &\geqq 0 \\ 2a^2\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 - \frac{b^2}{2} + b^2 - 2ac &\geqq 0 \\ 2a^2\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 + \frac{b^2 - 4ac}{2} &\geqq 0 \quad \cdots (*) \end{aligned} $$

問題の条件は、「$g(x) > 0$ を満たすすべての $x$ について、不等式 $(*)$ が成り立つこと」である。ここで $b^2 - 4ac$ の符号によって場合分けを行う。

(i) $b^2 - 4ac \geqq 0$ のとき

すべての実数 $x$ に対して $2a^2\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 \geqq 0$ であり、仮定より $\frac{b^2 - 4ac}{2} \geqq 0$ であるから、すべての実数 $x$ について不等式 $(*)$ が成り立つ。 したがって、当然 $g(x) > 0$ を満たす $x$ の範囲においても不等式 $(*)$ は成り立ち、$f''(x) \leqq 0$ となる。(十分性の証明)

(ii) $b^2 - 4ac < 0$ のとき

$a > 0$ より、すべての実数 $x$ に対して以下が成り立つ。

$$ g(x) = ax^2 + bx + c = a\left(x + \frac{b}{2a}\right)^2 - \frac{b^2 - 4ac}{4a} > 0 $$

すなわち、「$g(x) > 0$ を満たすすべての $x$」という条件は「すべての実数 $x$」を意味する。 しかし、不等式 $(*)$ において $x = -\frac{b}{2a}$ とすると、左辺の値は次のようになる。

$$ 2a^2 \cdot 0 + \frac{b}{2a} = \frac{b^2 - 4ac}{2} < 0 $$

これは、すべての実数 $x$ に対して $(*)$ が成り立つことに反する。 すなわち、$f''(x) > 0$ となる $x$ が存在するため、条件を満たさない。(必要性の証明)

以上 (i), (ii) より、不等式 $ax^2 + bx + c > 0$ を満たすすべての $x$ について $f''(x) \leqq 0$ となるための必要十分条件は、$b^2 - 4ac \geqq 0$ であることが示された。

解説

分数関数の微分計算を正確に行う力と、論理的条件を適切に処理する力が問われる問題である。 分子の二次式を平方完成することで、問題文にある $b^2 - 4ac$ の塊が自然と現れるため、見通しよく議論を進めることができる。 また、「定義域内でのみ条件が成立すればよい」という点に注意が必要である。$b^2 - 4ac < 0$ のときは定義域が実数全体に広がるため反例が作れるが、$b^2 - 4ac \geqq 0$ のときはそもそも常に条件式が $0$ 以上となるため、定義域がどうであれ条件を満たすことになる。

答え

題意は証明された。(証明の詳細は解法1を参照)

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