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東北大学 1969年 理系 第5問 解説

数学2/指数対数数学3/微分法テーマ/不等式の証明
東北大学 1969年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた3つの関数はすべて $x$ を $-x$ に置き換えても形が変わらない偶関数である。したがって、$x>0$ の場合についてのみ大小関係を調べればよい。

そのまま引き算をして微分しても解くことはできるが、式が煩雑になるため工夫が必要である。 分数関数同士の比較は、分母がともに正であることを確認した上で、分母同士の大小比較に帰着させると計算が楽になる。また、対数関数を含む関数の比較では、式の中にある共通の塊(ここでは $\frac{1}{x^2}$)を別の文字に置き換えることで見通しが良くなる。

解法1

与えられた3つの関数をそれぞれ次のように定義する。

$$ f(x) = \frac{1}{1+x^2} $$

$$ g(x) = \frac{1}{2e^{|x|}-1} $$

$$ h(x) = \log\left(1+\frac{1}{x^2}\right) $$

これらはすべて $x$ の偶関数($|-x|=|x|$、$(-x)^2=x^2$ であるため)である。したがって、$x>0$ の範囲で大小を調べれば、対称性より $x \neq 0$ 全体での大小関係がわかる。以下、$x>0$ として調べる。

(1) $f(x)$ と $g(x)$ の比較

$f(x) > g(x)$ を示すために、両者の分母を比較する。$x>0$ のとき、各分母は正であるから、$1+x^2$ と $2e^x-1$ の大小関係を調べればよい。

差をとって $A(x) = (2e^x-1) - (1+x^2) = 2e^x - x^2 - 2$ とおく。 $A(x)$ を $x$ で微分すると

$$ A'(x) = 2e^x - 2x $$

$$ A''(x) = 2e^x - 2 $$

$x>0$ において $e^x > 1$ であるから、$A''(x) > 0$ となる。 したがって $A'(x)$ は $x>0$ において単調増加であり、

$$ A'(x) > A'(0) = 2 - 0 = 2 > 0 $$

これより $A(x)$ も $x>0$ において単調増加であり、

$$ A(x) > A(0) = 2 - 0 - 2 = 0 $$

よって、$x>0$ において $2e^x - 1 > 1+x^2$ が成り立つ。 両辺ともに正であるから、逆数をとることで大小関係が逆転し、

$$ \frac{1}{1+x^2} > \frac{1}{2e^x-1} $$

すなわち $f(x) > g(x)$ が示された。

(2) $h(x)$ と $f(x)$ の比較

$h(x) = \log\left(1+\frac{1}{x^2}\right)$ と $f(x) = \frac{1}{1+x^2}$ を比較する。 $f(x)$ の分母と分子をそれぞれ $x^2$ で割ると

$$ f(x) = \frac{\frac{1}{x^2}}{1+\frac{1}{x^2}} $$

となる。ここで、$t = \frac{1}{x^2}$ とおくと、$x>0$ より $t>0$ であり、

$$ h(x) = \log(1+t) $$

$$ f(x) = \frac{t}{1+t} $$

となる。これらの差をとって $B(t) = \log(1+t) - \frac{t}{1+t}$ とおく。 $t>0$ について $B(t)$ を $t$ で微分すると

$$ B'(t) = \frac{1}{1+t} - \frac{1 \cdot (1+t) - t \cdot 1}{(1+t)^2} = \frac{1}{1+t} - \frac{1}{(1+t)^2} = \frac{t}{(1+t)^2} $$

$t>0$ のとき $B'(t) > 0$ であるから、$B(t)$ は単調増加である。したがって

$$ B(t) > B(0) = \log 1 - 0 = 0 $$

よって、$t>0$ において $\log(1+t) > \frac{t}{1+t}$ が成り立つ。 $t = \frac{1}{x^2}$ に戻すことで

$$ \log\left(1+\frac{1}{x^2}\right) > \frac{1}{1+x^2} $$

すなわち $h(x) > f(x)$ が示された。

以上の (1)(2) より、$x>0$ において $h(x) > f(x) > g(x)$ が成り立つ。 これらは偶関数であるため、$x<0$ でも同様の大小関係となる。

解説

典型的な関数の大小比較問題であるが、まともに差をとって微分すると計算量が膨れ上がり、正負の判定が困難になりやすい。 「分子が定数の分数関数は、分母の大小関係に帰着させる」「共通の形があれば、まるごと別の文字に置換する」という2つの定石を用いることで、計算の負担を大きく減らすことができる。 特に $t=\frac{1}{x^2}$ の置換は秀逸であり、入試でも頻出の不等式 $\log(1+t) > \frac{t}{1+t} \ (t>0)$ の証明にそのまま持ち込める点が重要である。また、最初に偶関数であることを指摘し、定義域を $x>0$ に限定することで、絶対値記号の処理や $x<0$ での符号の考慮を安全に省略できる。

答え

$$ \log\left(1+\frac{1}{x^2}\right) > \frac{1}{1+x^2} > \frac{1}{2e^{|x|}-1} $$

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