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名古屋大学 1973年 理系 第5問 解説

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名古屋大学 1973年 理系 第5問 解説

方針・初手

点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とおき、接線の方程式を立てて、面積 $S(t)$ を定式化する。面積を最小にする点を見つけるため、$S(t)$ を $t$ で微分し、増減を調べる。その際、$f''(x) > 0$ (曲線が下に凸であること)を利用して被積分関数の大小関係と、導関数の符号を判定する。

解法1

点 $P$ の $x$ 座標を $t$ ($a \leqq t \leqq b$) とおく。 点 $P(t, f(t))$ における接線の方程式は、

$$y = f'(t)(x - t) + f(t)$$

である。

問題の条件より、$a \leqq x \leqq b$ において $f''(x) > 0$ であるから、曲線 $y = f(x)$ は常に下に凸である。 したがって、区間内の任意の $x$ に対して、曲線は接線の上側または接線上にある。すなわち、

$$f(x) \geqq f'(t)(x - t) + f(t)$$

が成り立つ。

曲線 $y = f(x)$、点 $P$ における接線、および2直線 $x = a$、$x = b$ で囲まれた部分の面積を $S(t)$ とすると、

$$S(t) = \int_{a}^{b} \{ f(x) - ( f'(t)(x - t) + f(t) ) \} dx$$

と表せる。 これを $x$ についての積分として整理すると、

$$S(t) = \int_{a}^{b} f(x) dx - f'(t) \int_{a}^{b} (x - t) dx - f(t) \int_{a}^{b} dx$$

となる。ここで、各項の積分を計算すると、

$$\int_{a}^{b} (x - t) dx = \left[ \frac{1}{2}x^2 - tx \right]_{a}^{b} = \frac{1}{2}(b^2 - a^2) - t(b - a) = (b - a)\left( \frac{a+b}{2} - t \right)$$

$$\int_{a}^{b} dx = b - a$$

であるから、$S(t)$ は次のように書ける。

$$S(t) = \int_{a}^{b} f(x) dx - f'(t)(b - a)\left( \frac{a+b}{2} - t \right) - f(t)(b - a)$$

次に、$S(t)$ の最小値を求めるために、$t$ について微分する。 第1項 $\int_{a}^{b} f(x) dx$ は $t$ に依存しない定数であるため、微分すると $0$ になる。積の微分法を用いて計算すると、

$$S'(t) = 0 - \left\{ f''(t)(b - a)\left( \frac{a+b}{2} - t \right) + f'(t)(b - a)(-1) \right\} - f'(t)(b - a)$$

$$S'(t) = - f''(t)(b - a)\left( \frac{a+b}{2} - t \right) + f'(t)(b - a) - f'(t)(b - a)$$

$$S'(t) = f''(t)(b - a)\left( t - \frac{a+b}{2} \right)$$

区間 $a \leqq x \leqq b$ を考えることから $a < b$ であり $b - a > 0$ である。 また、条件より常に $f''(t) > 0$ である。 したがって、$S'(t)$ の符号は $t - \frac{a+b}{2}$ の符号と一致する。

$t = \frac{a+b}{2}$ のとき、$S'(t) = 0$ となる。 $a \leqq t < \frac{a+b}{2}$ のとき、$t - \frac{a+b}{2} < 0$ より $S'(t) < 0$ となる。 $\frac{a+b}{2} < t \leqq b$ のとき、$t - \frac{a+b}{2} > 0$ より $S'(t) > 0$ となる。

これより、$S(t)$ の増減表は以下のようになる。

$t$ $a$ $\cdots$ $\frac{a+b}{2}$ $\cdots$ $b$
$S'(t)$ $-$ $0$ $+$
$S(t)$ $\searrow$ 極小かつ最小 $\nearrow$

増減表より、$S(t)$ は $t = \frac{a+b}{2}$ のとき最小値をとる。 ゆえに、面積を最小にするには、点 $P$ の $x$ 座標を区間 $[a, b]$ の中点にとればよい。

解説

面積の関数をパラメータ $t$ を用いて立式し、その導関数を求めて増減を調べるという、微積分の基本に忠実な典型問題である。 関数が具体的な式ではなく $f(x)$ と与えられているため、定積分を含んだ関数を微分することになるが、積分変数 $x$ とパラメータ $t$ を混同しないように注意する必要がある。

$S(t)$ を計算する際、被積分関数を $x$ の多項式として展開・積分し、その後に $t$ で微分すると見通しよく計算できる。結果的に $S'(t)$ を計算すると $f'(t)$ を含む項が見事に相殺され、$f''(t)$ のみを含む非常にシンプルな式になるのが本問の美しい点である。 「正の第2次導関数をもつ」という条件は、「曲線が常に接線上にある(面積を積分で表すための絶対値外し)」ことの保証と、「$S'(t)$ の符号判定」の2箇所で用いられている。

答え

点 $P$ の $x$ 座標を $x = \frac{a+b}{2}$ にとる。 (区間 $[a, b]$ の中点にとる。)

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