東京大学 1978年 理系 第6問 解説

方針・初手
点 $P$ における接線の方程式を求め、そこから直線 $y=0$ および $x=1$ との交点 $A, B$ の座標を特定して、2つの三角形の面積 $g(x), h(x)$ を計算する。 (2) では、図形 $M$ の上部境界である放物線が「下に凸」であることに着目し、三角形が $M$ に収まるための厳密な条件を考える。線分が曲線をはみ出さないためには、線分の端点が点 $P$ における接線より下側にあることが必要十分条件となる。
解法1
(1)
点 $P(x, x^2)$ ($0 < x < 1$)において、曲線 $y = x^2$ の微分は $y' = 2x$ である。 点 $P$ における接線の方程式は、変数を $X, Y$ とすると、
$$ Y - x^2 = 2x(X - x) $$
$$ Y = 2xX - x^2 $$
となる。直線 $Y=0$ との交点 $A$ の $X$ 座標は、$0 = 2xX - x^2$ より $X = \frac{x}{2}$ であるから、
$$ A \left( \frac{x}{2}, 0 \right) $$
直線 $X=1$ との交点 $B$ の $Y$ 座標は、$X = 1$ を代入して $Y = 2x - x^2$ であるから、
$$ B (1, 2x - x^2) $$
点 $C$ は $(1, 0)$ である。
$\triangle PAC$ について、辺 $AC$ を底辺とみる。$A$ と $C$ の $Y$ 座標は $0$ であり、$X$ 座標の差が底辺の長さとなるので、
$$ AC = 1 - \frac{x}{2} $$
高さは点 $P$ の $Y$ 座標であるから $x^2$ である。したがって面積 $g(x)$ は、
$$ g(x) = \frac{1}{2} \left( 1 - \frac{x}{2} \right) x^2 = \frac{1}{4} x^2 (2 - x) $$
$\triangle PCB$ について、辺 $CB$ を底辺とみる。$C$ と $B$ は直線 $X=1$ 上にあり、$Y$ 座標の差が底辺の長さとなる。$0 < x < 1$ において $2x - x^2 = x(2-x) > 0$ であるから、
$$ CB = 2x - x^2 $$
高さは点 $C, B$ の $X$ 座標 $1$ と点 $P$ の $X$ 座標 $x$ の差であるから $1 - x$ である。したがって面積 $h(x)$ は、
$$ h(x) = \frac{1}{2} (2x - x^2) (1 - x) = \frac{1}{2} x (2 - x) (1 - x) $$
条件 $g(x) \leqq h(x)$ より、
$$ \frac{1}{4} x^2 (2 - x) \leqq \frac{1}{2} x (2 - x) (1 - x) $$
$0 < x < 1$ の範囲では $x > 0$ かつ $2 - x > 0$ であるから、両辺を $\frac{1}{4} x (2 - x)$ で割ると、
$$ x \leqq 2 (1 - x) $$
$$ 3x \leqq 2 $$
$$ x \leqq \frac{2}{3} $$
前提条件 $0 < x < 1$ と合わせて、求める範囲は、
$$ 0 < x \leqq \frac{2}{3} $$
(2)
領域 $M$ は、不等式 $0 \leqq X \leqq 1, 0 \leqq Y \leqq X^2$ で表される。 $L$ 上の点 $P(x, x^2)$ を1つの頂点とし、$M$ に含まれる三角形を $\triangle PQR$ とする。 曲線 $Y = X^2$ は下に凸であるから、$M$ 内の点 $Q(X_Q, Y_Q)$ と $P$ を結ぶ線分 $PQ$ が $M$ に含まれるための必要十分条件は、点 $Q$ が $P$ における接線 $Y = 2xX - x^2$ の下側(または境界上)にあることである。
証明:線分 $PQ$ 上の点 $(X, Y)$ は $0 \leqq t \leqq 1$ を用いて $(X, Y) = (1-t)(x, x^2) + t(X_Q, Y_Q)$ と表せる。これが $M$ に含まれる条件は、すべての $t \in [0, 1]$ で $X^2 - Y \geqq 0$ となることである。 $f(t) = X^2 - Y = \{ (1-t)x + tX_Q \}^2 - \{ (1-t)x^2 + tY_Q \}$ とおいて整理すると、
$$ f(t) = t \{ t(X_Q - x)^2 + 2xX_Q - x^2 - Y_Q \} $$
$f(t) \geqq 0$ が恒等的に成り立つためには、括弧内が $t=0$ で非負、すなわち $Y_Q \leqq 2xX_Q - x^2$ が必要である。逆にこのとき、括弧内は常に非負となり $f(t) \geqq 0$ が成り立つ。
したがって、$\triangle PQR$ が $M$ に含まれるための条件は、点 $Q, R$ が $M$ に含まれ、かつ接線 $Y = 2xX - x^2$ の下側にあることである。 これらを満たす領域を $M'$ とすると、$M'$ は
$$ Y \geqq 0, \quad X \leqq 1, \quad Y \leqq 2xX - x^2 $$
の共通部分となる($Y \leqq 2xX - x^2 \leqq X^2$ より、接線の下側であれば自動的に $Y \leqq X^2$ を満たす)。 $Y \geqq 0$ と $Y \leqq 2xX - x^2$ から $2xX - x^2 \geqq 0$、すなわち $X \geqq \frac{x}{2}$ を得る。 以上より領域 $M'$ は、$X$ の範囲が $\frac{x}{2} \leqq X \leqq 1$ であり、直線 $Y=0$, $X=1$, $Y=2xX-x^2$ で囲まれた領域、すなわち $\triangle ABC$ に他ならない。 (点 $P$ 自身も $Y = 2xX - x^2$ を満たし、この境界線分 $AB$ 上にある)
$\triangle PQR$ は $\triangle ABC$ に含まれる三角形であり、点 $P$ は辺 $AB$ 上に固定されている。 このような三角形の面積が最大となるのは、点 $Q, R$ が $\triangle ABC$ の頂点 $A, B, C$ のいずれかに一致するときである。 候補となるのは $\triangle PAB, \triangle PAC, \triangle PBC$ であるが、$P, A, B$ は同一直線上にあるため面積は $0$ となる。 よって、最大面積 $f(x)$ は $\triangle PAC$ と $\triangle PCB$ の面積の最大値、すなわち、
$$ f(x) = \max \{ g(x), h(x) \} $$
である。(1)の結果を用いると、
(i)
$0 < x \leqq \frac{2}{3}$ のとき、$g(x) \leqq h(x)$ より
$$ f(x) = h(x) = \frac{1}{2} (x^3 - 3x^2 + 2x) $$
(ii)
$\frac{2}{3} < x < 1$ のとき、$g(x) > h(x)$ より
$$ f(x) = g(x) = \frac{1}{4} (-x^3 + 2x^2) $$
関数 $f(x)$ の極値を調べるために微分する。
(i)の範囲において、
$$ f'(x) = \frac{1}{2} (3x^2 - 6x + 2) $$
$f'(x) = 0$ とすると、$x = \frac{3 \pm \sqrt{3}}{3} = 1 \pm \frac{\sqrt{3}}{3}$ である。$0 < x \leqq \frac{2}{3}$ の範囲にあるのは $x = 1 - \frac{\sqrt{3}}{3}$ のみである。
(ii)の範囲において、
$$ f'(x) = \frac{1}{4} (-3x^2 + 4x) = \frac{x(4 - 3x)}{4} $$
$\frac{2}{3} < x < 1$ の範囲では常に $f'(x) > 0$ である。
また、$x = \frac{2}{3}$ における微分係数の左右の極限を調べると、
$$ \lim_{x \to \frac{2}{3}-0} f'(x) = \frac{1}{2} \left( 3 \cdot \frac{4}{9} - 6 \cdot \frac{2}{3} + 2 \right) = -\frac{1}{3} < 0 $$
$$ \lim_{x \to \frac{2}{3}+0} f'(x) = \frac{1}{4} \left( -3 \cdot \frac{4}{9} + 4 \cdot \frac{2}{3} \right) = \frac{1}{3} > 0 $$
となり、関数 $f(x)$ は $x = \frac{2}{3}$ で連続かつ減少から増加に転じるため、ここで極小値をとる。
以上より、増減表は次のようになる。
| $x$ | $(0)$ | $\cdots$ | $1 - \frac{\sqrt{3}}{3}$ | $\cdots$ | $\frac{2}{3}$ | $\cdots$ | $(1)$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | なし | $+$ | ||
| $f(x)$ | $(0)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ | $\left(\frac{1}{4}\right)$ |
極大値は $x = 1 - \frac{\sqrt{3}}{3}$ のときであり、これは $3x^2 - 6x + 2 = 0$ より $x^2 = 2x - \frac{2}{3}$ を満たす。次数を下げて計算すると、
$$ x^3 - 3x^2 + 2x = x \left( 2x - \frac{2}{3} \right) - 3 \left( 2x - \frac{2}{3} \right) + 2x = -\frac{2}{3}x + \frac{2}{3} $$
$$ f \left( 1 - \frac{\sqrt{3}}{3} \right) = \frac{1}{2} \left( -\frac{2}{3} \left( 1 - \frac{\sqrt{3}}{3} \right) + \frac{2}{3} \right) = \frac{\sqrt{3}}{9} $$
極小値は $x = \frac{2}{3}$ のときであり、
$$ f \left( \frac{2}{3} \right) = \frac{1}{4} \left( - \left(\frac{2}{3}\right)^3 + 2 \left(\frac{2}{3}\right)^2 \right) = \frac{4}{27} $$
グラフの概形は上記の増減表の通りである。各区間について $f''(x) < 0$ となるため、区間 $\left(0, \frac{2}{3}\right)$ と区間 $\left(\frac{2}{3}, 1\right)$ のそれぞれで上に凸の曲線を描き、$x = \frac{2}{3}$ において滑らかに繋がらずに尖った角を持つ形となる。
解説
(2)において「図形 $M$ の中に含まれる三角形」の条件を正しく立式できるかが最大の山場である。 放物線 $y = x^2$ が下に凸である性質から、境界線を含む領域 $M$ から線分がはみ出さないためには、その線分が接線よりも下になければならないという事実に気づく必要がある。 それが分かれば、探索範囲が直角三角形 $ABC$ に限定され、面積を最大化するには頂点を既存の三角形の頂点に取るべきだという結論に自然と行き着く。(1) の誘導が見事に機能する良問である。極小値の定義がわざわざ問題文で与えられているのは、$x=\frac{2}{3}$ のように微分不可能であっても条件を満たせば極値となることを受験生に喚起するためである。
答え
(1)
$$ 0 < x \leqq \frac{2}{3} $$
(2)
$$ f(x) = \begin{cases} \frac{1}{2} (x^3 - 3x^2 + 2x) & \left(0 < x \leqq \frac{2}{3}\right) \\ \frac{1}{4} (-x^3 + 2x^2) & \left(\frac{2}{3} < x < 1\right) \end{cases} $$
グラフは増減表および解説の通りである。
極大値: $x = 1 - \frac{\sqrt{3}}{3}$ のとき $\frac{\sqrt{3}}{9}$ 極小値: $x = \frac{2}{3}$ のとき $\frac{4}{27}$
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