東北大学 2002年 理系 第6問 解説

方針・初手
(1) は、積分記号の中身である $f_{n-1}(t) F_{n-1}(t)$ が、$\frac{1}{2} \{ F_{n-1}(t) \}^2$ の微分に等しいことに気づくことが鍵です。これにより定積分を計算でき、$f_n(x)$ の具体的な形が求まります。 (2) は、$f_n(x)$ の定義式の両辺を $x$ で微分して導関数を求め、(1)の結果を用いて符号を調べます。 (3) は、(2)までの結果から $f_4'(1)$ の式を立て、「非負の連続関数の定積分が $0$ になるならば、その被積分関数は常に $0$ である」という性質を繰り返し適用して $f_1(x)$ まで遡ります。
解法1
(1)
定義より、 $$ F_{n-1}(x) = \int_0^x f_{n-1}(t) dt $$ であり、両辺を $x$ で微分すると $$ F_{n-1}'(x) = f_{n-1}(x) $$ である。これを用いると、$f_n(x)$ の定義式は次のように変形できる。 $$ f_n(x) = \int_0^x f_{n-1}(t) F_{n-1}(t) dt = \int_0^x F_{n-1}'(t) F_{n-1}(t) dt $$
被積分関数は合成関数の微分法より $\frac{1}{2} \{ F_{n-1}(t) \}^2$ の導関数であるから、 $$ f_n(x) = \left[ \frac{1}{2} \{ F_{n-1}(t) \}^2 \right]_0^x = \frac{1}{2} \{ F_{n-1}(x) \}^2 - \frac{1}{2} \{ F_{n-1}(0) \}^2 $$ となる。ここで、 $$ F_{n-1}(0) = \int_0^0 f_{n-1}(t) dt = 0 $$ であるから、 $$ f_n(x) = \frac{1}{2} \{ F_{n-1}(x) \}^2 $$ が得られる。実数の2乗は $0$ 以上であるため、$n \ge 2$ のとき、すべての $x$ に対して $f_n(x) \ge 0$ であることが示された。
(2)
$n \ge 3$ とする。$f_n(x)$ の定義式 $$ f_n(x) = \int_0^x f_{n-1}(t) F_{n-1}(t) dt $$ の両辺を $x$ で微分すると、 $$ f_n'(x) = f_{n-1}(x) F_{n-1}(x) $$ となる。 (1)の結果より、$n \ge 3$ すなわち $n-1 \ge 2$ のとき、すべての $x$ に対して $f_{n-1}(x) \ge 0$ である。 したがって、$x \ge 0$ のとき、積分区間 $[0, x]$ 上で $f_{n-1}(t) \ge 0$ となるため、 $$ F_{n-1}(x) = \int_0^x f_{n-1}(t) dt \ge 0 $$ が成り立つ。 以上より、$x \ge 0$ のとき、$f_{n-1}(x) \ge 0$ かつ $F_{n-1}(x) \ge 0$ であるから、 $$ f_n'(x) = f_{n-1}(x) F_{n-1}(x) \ge 0 $$ であることが示された。
(3)
(2)の導関数に $n=4, x=1$ を代入すると、条件より $$ f_4'(1) = f_3(1) F_3(1) = 0 $$ が成り立つ。これより、$f_3(1) = 0$ または $F_3(1) = 0$ である。
(i) $f_3(1) = 0$ の場合 (1)で求めた式 $f_n(x) = \frac{1}{2} \{ F_{n-1}(x) \}^2$ より、 $$ f_3(1) = \frac{1}{2} \{ F_2(1) \}^2 = 0 $$ となり、$F_2(1) = 0$ を得る。
(ii) $F_3(1) = 0$ の場合 定義より、 $$ F_3(1) = \int_0^1 f_3(t) dt = \int_0^1 \frac{1}{2} \{ F_2(t) \}^2 dt = 0 $$ である。被積分関数 $\frac{1}{2} \{ F_2(t) \}^2$ は非負であり、かつ連続関数であるから、その定積分の値が $0$ になるためには、積分区間 $[0, 1]$ において常に被積分関数が $0$ でなければならない。 したがって、すべての $t \in [0, 1]$ に対して $F_2(t) = 0$ であり、特に $F_2(1) = 0$ を得る。
(i), (ii) いずれの場合においても、$F_2(1) = 0$ が成り立つことがわかった。 次に $F_2(1) = 0$ を用いると、 $$ F_2(1) = \int_0^1 f_2(t) dt = \int_0^1 \frac{1}{2} \{ F_1(t) \}^2 dt = 0 $$ となる。(ii) の議論と全く同様に、非負の連続関数の積分が $0$ になることから、区間 $[0, 1]$ において常に $\frac{1}{2} \{ F_1(t) \}^2 = 0$ が成り立つ。 したがって、すべての $0 \le x \le 1$ に対して $$ F_1(x) = 0 $$ である。
最後に、$F_1(x)$ の定義式 $F_1(x) = \int_0^x f_1(t) dt$ の両辺を $x$ で微分すると、$F_1'(x) = f_1(x)$ となる。 $0 \le x \le 1$ において $F_1(x)$ は定数 $0$ であるから、その導関数も $0$ となる。 ゆえに、すべての $0 \le x \le 1$ に対して $$ f_1(x) = 0 $$ であることが示された。
解説
微積分学の基本定理 $\frac{d}{dx} \int_a^x g(t) dt = g(x)$ と、合成関数の微分法 $\{ g(x)^2 \}' = 2 g(x) g'(x)$ を組み合わせた典型的な証明問題です。 (3) では、「連続関数 $g(x)$ が区間 $[a, b]$ において $g(x) \ge 0$ を満たすとき、$\int_a^b g(x) dx = 0$ ならば区間 $[a, b]$ で常に $g(x) = 0$ となる」という重要な性質を利用しています。論証の過程で、被積分関数が非負であることと連続であることを明記すると減点されません。
答え
(1) 略(解法参照) (2) 略(解法参照) (3) 略(解法参照)
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











